ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
2,231 / 2,518

第2231話 新たな事実

しおりを挟む
 昼食は風景を邪魔しないように机や椅子を使わずに、地面にシートとクッションを置きました! と説明があった……シートはともかく、クッションは風景にあわなくないか?

 そう心の中で突っ込みながら食事が準備されている場所へ……

 ちょっとまった。おかしいな、俺の席にクッションがないのだが?

「ご主人様は、風景にあわないと思っておられる様子なので、クッションのご準備はしておりませんが?」

 何当たり前のことを聞いているんですか? と言わんばかりの雰囲気だ。

 まてまて。俺は別に風景を壊すからクッションが必要ないと言ったわけじゃない。風景の事を考えるなら、クッションはどうなんだ? と考えただけだろ! 後自然に俺の考えを読まないでくれ。

 シンラたちには必要だと思うから、準備してくれて助かるよ。

 それでもクッションを出してもらえなかったので、俺は硬い地面の上に座ることになった。

 最近は当たり前になってきた、こういう時の行楽弁当を前に、シンラたちがワクワクしている。

 この子たちは、放っておくと食べ過ぎてしまうので、別に弁当を詰めていた時期があったのだが、俺たちと同じものを食べたいと3人で騒いだので、大人たちの弁当からシンラたち用の弁当箱に目の前で詰めることにしていた。

 あらかじめ準備していたのも、食べやすく加工しているとはいえ同じ物なのだが、一緒にお弁当を楽しみたいのか、目の前で詰めることに意味があるらしい。

 シンラたちに弁当箱を渡して、みんなで昼食を食べ始める。

 美味しい食事を食べ終わり再び探検かと思ったが、午前中にはしゃぎすぎてシンラたちの電池がほとんどなくなってしまっていた。

 なので、お昼寝をした後に探検を再開することになった。

 普段はこの時間にあまり寝なくなったウルたちも、シンラたちと一緒に休むと言って、姉弟仲良くスライムベッドの上で寝ている。

 妻たちは、午前中に子どもたちと一緒にいられなかったので、どんな風に遺跡の中で過ごしていたのか聞かれた。誰かの指示で写真を撮っていたスライムたちが、写真を準備してくれなかったら、俺はほとんど妻たちに説明できなかったかもしれないな。

 1時間も経たないうちにウルたちが起きて、あまり寝すぎないようにシンラたちにも起きてもらう。

 午後は、歩いて探検も悪くないと思ったが、趣向を変えてこんなものを準備してみた。

「「「「「「「ドローン!」」」」」」」

 子どもたちの声がはもった。

 ドローンを飛ばして、遺跡の中を縦横無尽に移動するのも面白いと思い、運転がしやすいタイプのドローンを5台召喚している。

 俺が1台、子どもたちに1台、妻たちに3台という形で割り振っている。

 子どもたちは、ウルを中心に姉たちが飛ばすことになるだろう。妻たちは交代で自由に飛ばすことになり、シンラたちはそれをながめて指示を出すことになるだろう。

 ただ、この位置では太陽の日差しが強すぎて、映像が見難いので少し離れた位置にコンテナ野営地を建て、中を少し暗くしてそこでみんなで楽しむことにした。

 妻たちの中には、午後も歩きたいと言って、1人で行ったり少数でまとまったりして、行動開始した。

 おっと、シンラがいつの間にか一番いいポジションにいて、スライムクッションに埋もれながら画面を見ている。その近くで姉たちに抱かれたプラムとシオンもいるな。しっかりとシンラの服を掴んでいるあたり、プラムとシオンの大好き攻撃が止まらんな。

 各々ドローンを飛ばし、遺跡の中を移動し始める。

 俺は、少し高い位置から遺跡をながめるように飛ばす。

 ん~なんというか、不思議なところだな。歩いている時も思ったけど、よくこんなところに小さいとはいえ集落を作ったもんだ。食料の確保だって大変だっただろうに、水の確保だって大変だっただろうに……

 水はおそらく雨水をうまく利用していたと思うが、食料は……最大750人を養えるだけの収穫があったのかね? 俺は農業もやってはいるが、精霊がほとんど担当しているので、どのくらいの収穫ができるのか分かっていない。

 素人知識では、無理なんじゃないか? と思うくらいしかできないけどな。

 工夫すれば運んでくることは可能だから、ここですべてを生産する必要はないか……

 日本で考えれば、山の上に荷物を運ぶ人たちがいるんじゃなかったっけ? そういう人たちが行き来していた可能性はあるよな。

 避暑地として使われていた可能性があると言われているから、多少険しくても行き来が可能なわけだし、運び屋みたいな人もいた可能性はあるか。

 ってかさ、ここ以外にも集落はあったはずだけど、その形跡って言うのは無くなってたのかね? それとも、ここにポツンと集落があって他のはかなり離れていたとか?

 ん~考えても良く分からんな。でも楽しい!

 俺だったらどうやってここに住んだかとか考えるのも面白い。

 それなりの数の人間が住んでいたってことは、水の確保がしっかりとできていたってことだから……無駄遣いできないとはいえ、しっかりと生活ができていたんだよな。日本人には難しい気がする場所だけどな。

 水が潤沢に使えないってことは、お風呂にはいれないわけだしな。一部の人間を除いて、長期間済むのは厳しそうだな。

 そう考えると、魔法のありがたみを再度確認できた。ディストピアなんて、全ての水を魔道具でまかなってるからな、壊れたら大変だと思うけど、壊れないように修復機能もあるし、物理的に壊されない限りは水が沸き続けるようになっている。

 でもさ、この水が沸き続けている状態って、大丈夫なのかと思うこともある。物理的に水が増え続けているわけだし、大陸がいずれ小さくなったりしねえかな?

『変なこと気にしてるわね。魔法で生み出せるってことは、物質を魔力に変換できるスキームもしっかりと汲まれているわよ』

 せっかく思考を楽しんでいたのに、チビ神にぶった切られた。悩みが解決したのはいいけど、その理由が異世界的だったな……
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...