ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2266話 子どもたちと遊ぶ

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 どうでもいい思考を振り払うと、お腹がいっぱいだったためか眠たくなってきた。昨日は徹夜だったので、午前中の睡眠だけでは、眠気を解消できなかったようだ。

 ゲームエリアは、お昼寝も出来るように広く作ってあるので、シンラたちがそこで寝たのを見て俺もそこで寝ることにした。シンラたちはスライムクッションで寝ているので、俺は……空いているソファーで寝るかな。

 ここで寝すぎると、夜に目が覚めてしまうので、シンラたちと同じくらいで起こしてもらうように、お願いすることにした。

 ソファーは、寝るために作られていないので、若干狭い感じはあるが、この微妙な感じが昼寝にはちょうどいいかもしれないな。目を覚ます時に色々な誘惑を簡単に取り払えそうだ。

 シンラたちの寝息が聞こえていると思ったら、ふと聞こえなくなった。なんてことは無い、俺が寝てしまったのだ。それを自覚していたわけではないが、何かあったのであればブラウニーたちが反応するだろうから、俺はそのままゆっくりとする。

 お昼に起こされた時と同じように、胸と顔を叩かれて目が覚める。今回はソファーの下から俺の事を叩いていた。乗っていないのは、ここで乗ると危ないからということらしい。スライムたちが、×を作って乗せないといったみたいだな。

 シンラが俺の上に乗るのは、やっぱりスライムたちの協力があってなのか。シンラが自分で登るなら、さすがに途中で気付くだろうしな。

 うっし、まだ眠たい気はするけど、これ以上は寝ない方がいいから、体でも動かして目を覚ますか!

 今日はこの時間にも体を動かすみたいで、ゲームはおやつの後からだそうだ。俺に時間を合わせてくれるみたいで、ミーシャたちがみんなで体を動かしたいと言ってきたので、一緒に体を動かすことになった。

 体を動かす内容が決まっているのか聞くと、

「今日はね! 格闘の練習をしてから、みんなでプールで泳ぐ予定だよ!」

 と、ブルムが教えてくれた。

 上の子たちは、拙いながらも徒手格闘の訓練をできているが、下の子たちは手足をバタバタさせているだけなんだよな。多分姉たちの動きをまねているつもりなんだけど、体がイメージにまったく追い付いていないから、バタバタさせて遊んでいるようにしか見えなかったんだっけな。

 この歳の子に真似をしろと言っても、難しいから仕方がないだろう。この年齢の子は自由にやらせて楽しむか、型を覚えさせるかのどちらかだと思うんだよな。

 ただ、地味な型の練習をシンラたちがやるかどうか……イメージ通りに動けるようになれば、面白く感じるかもしれないけど、上手くできなければ反対に苦痛にしかならないんだよな。

 ミーシャたちの時はどうしていたんだろう?

 気付いたら妻たちが訓練をしていた気がするんだよな。親の行動を真似ることで、格闘技に興味を持ったんだっけ?

 シンラたちも動機は近いものだから、ミーシャたちみたいに楽しめれば問題ないだろう。

 乱暴者になってほしいわけではないので、心の部分も鍛えていかないといけないだろうな。ただただ力を持った子どもは、質が悪いだけだからな。力を使う所を間違えずに行使できるようになってもらわないといけない!

 準備運動をしながらそんなことを考えていると、頭を叩かれて意識が現実に戻ってくる。

「何変なこと考えてるのよ。スミレたちが体を動かすからって、こっちに呼ばれてきてみたら、物騒なこと考えてないで、一緒に楽しめばいいのよ。この子たちの時だって始めは、一緒に遊んでいただけなんだからね。その延長上で、戦い方を教えただけよ」

 遊びの延長上で教えたのか。日本なら戦う力なんて無くてもいいけど、この世界ではそうは言ってられないからな。特に俺の子どもとなれば、ある程度の力は求められるようになるだろう。知られていなくても、上の子たちは冒険者になると言っているから、強いにこしたことは無い。

 シンラは領主になる気があるならなってもらうつもりだし、それなら戦える力はあった方がいい。それを支えるであろうプラムとシオンも、やはりついていくなら強いにこしたことは無い。体を鍛えても、書類仕事が中心になるだろうけどな。領主の仕事なんてそんなもんだ。

 俺はガリアとグリエルに任せているから、かなり少ない方だろうけど、それでもゼロにはならないのが領主の仕事っぽい。全部任せるなら、グリエルたちが領主でもいいのではと思うけど……

 タブレットにメールが届く。

『何やら不穏な気配を感じました。領主は、シュウ様以外ありえないですからね! 代行もいたしません! 補佐はしますので、絶対にバカな事は考えないでくださいね』

 こんな感じで、離れているのにこの話題には敏感なんだよな。この世界にはよくわからない原理の事柄が多すぎて困る!

 シンラたちの指導は、カエデたちに任せよう。せっかくミーシャたちが誘ってくれたのだから、俺は上の子たちと遊ぶぞ。

 最近はミーシャたちと一緒に訓練できていなかったから、どれだけ動けるようになっているか楽しみだ。

 ミーシャたちについているリリーが若干不穏なことを言っている。

「お父さんはどれだけ強く攻撃しても、シュリお母さんより頑丈だから、遠慮せずに攻撃してくるんだよ」

 だってさ。思いっきり聞こえてるんですけど! しかも、ニヤニヤしているところを見ると、分かっていてやっている確信犯だということだ。

 死ななければエリクサーとかで何とでもなるけど、子どもにボコボコにされて意識不明の重体に何てなりたくないんだが?

「お母さんたちも良く分かっていないんだけど、何でもありで戦うと2人がかりでもお父さんの事を倒せないのよね。シュリお母さんだって、1対1で勝てなくなるんだから、本当に不思議なの。だから、遠慮はしちゃだめだよ!」

 子どもたちを煽るな!

 何でもありになれば俺が強いのは、戦い方の差だろう。この世界ではイメージできることの大半は、魔法で再現が可能だ。模擬戦だから力を押さえて戦ってはいるが、実戦ではもっとえげつない事をすることだってできるわけで、本気で戦っているわけじゃないのに俺に勝てないのは、戦い方が直線的過ぎるんだよな。

 先読みしやすい攻撃が多いんだよね。

 剣道の試合で例えれば、いろんなフェイントなんかをするだろうが、籠手・面・胴といった攻撃に集約されるけど、俺の闘い方はこれ以外にも普通に足も接近して殴ったりも投げたりもする。戦場格闘技に近いものだからな。根本的に違うんだよね。

 妻たちに使うことは無いけど、バザールや綾乃の力を借りて、対人戦用にいくつも魔法を開発していたりする。地球で言えば、人道に反しているので使用を禁止しているようなものだな。
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