ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
2,320 / 2,518

第2320話 いつもと違う

しおりを挟む
 体を揺すられる感覚で目が覚めた。

「とーたん、何でこんなところで寝てるの?」

 そう疑問を発したのはスミレだった。周りにはシンラたちの行動を止めようとしている、ミーシャとブルムの姿があった。ミーシャがプラムとシオンを抱えており、シンラはブルムに抱えられている。

「日が昇る前に目が覚めたから、お風呂に入ったら眠気に勝てなくて、ここでそのまま寝たんだよ。昨日、疲れてそのまま寝たから、お風呂に入ってなくてちょうどよかったからな」

 シンラと一緒だったことは言わなかった。手足をバタバタさせていたシンラが動きを止めたので、もしかしたら、朝一緒にお風呂に入った事を隠しておきたかったのかもしれないな。さっきまで必死の形相だったのに、余裕の表情をし始めたシンラを見てそう感じた。

 シンラの行動は分かったけど、プラムとシオンは……例の如くと言っていいのか、俺に攻撃をしたいだけなのだろうか? それを察したミーシャたちが押さえてくれた感じだな。

 シンラよ様子を見て、何かしら感じたのだろうか? 幼くても女の子は女の子ということなんだろうな。

 別にやましい事をしたわけでも無いから俺はかまわないのだが、シンラにとっては死活問題かもしれないので、何もなかったということにしておく。シンラよ、むしろ2人の間に寝かせた俺のファインプレーを褒めるのだ!

 なんてな。

 ミーシャたちには、こんなところで寝ないの! と怒られた。シンラたちが真似したらどうするの! だってさ。良いお姉さんをしているな。

 まぁ、ここで寝たとしても、スライムたちが運んでくれるから問題ないと思っていると……

「とーたん! 真似するのがいけない事なの! 寝ても運んでくれるとか考えちゃダメ! 全くもう……」

 スミレが俺の考えを読んで、俺の行動で悪いと思うような事をするなと。

 この様子を見ていた妻たちが全員、笑っている……これは、明らかに俺が悪いので助けてはくれないだろう。素直に謝って、次から出来る限り無い様に努力すると伝えた。

 大人の常とう手段というべきか、絶対と言わないズルさを使って、娘たちの追及を回避する。

 朝食を子どもたち全員と一緒の机で食べることになり、賑やかな朝食となった。最近は、シンラたちが俺の前にいて、食べ物の取り合いをしている姿を見ているが、今日はそんな様子もなく珍しい食事風景を見ることとなった。

 シンラが中心にいることは変わりないのだが、プラムとシオンがいる位置にスミレとブルムがいるので、シンラがプラムとシオンと攻防を繰り広げることは無い。

 プラムたちも成長したのか、このくらいでは怒ることは無いので安心してみてられるな。

 やっぱり食べる量は3人とも同じくらいだな。普段は、シンラの食事がとられることが前提になっていて、2人分の食事をシンラの皿に置いているから、今日のシンラのお皿は大分少なく感じるな。ミーシャは俺の隣にいて、反対側にはウルが座っている。久しぶりに子どもたちに囲まれての食事だな。

 ミーシャが中心となって、昨日の訓練の様子を話してくれる。ウルも妹たちの成長を感じていて、ニコニコと話を聞いているな。ウルも良いお姉さんをしていますな。

 今度、ウルの話も聞いてあげよう。ミーシャたちが自分の話をするように、ウルも誰かに聞いてほしいかもしれないだろうからな。

 俺は、シルキーたちから勉強の様子を聞いているから、どんな状況かは分かっているけど、直接聞いていないからウルは俺が知っているとは知らないだろうからな。知ってたとしても、自分の口で言いたくなるのが子どもだよな。

 今度、シンラたちのゲームの時間にウルとの時間を作るか? それなら、今日でも問題ないだろうから、何をする予定か聞いてみようかな。

「ウル、今日の夕食の後に何かする予定あるか?」

「えっ? 何かあったのお父さん?」

「いや、特に何もないけど、最近あまり話をしていないと思ってね。ウルが頑張っていることは聞いているけど、ウルの口からもどんな事をしているか聞いてみたいと思ってるんだけど嫌かな?」

「ううん、そんなこと無いよ。最近は勉強が忙しかったりして、お父さんとも話ができてなかったから、時間を作ってくれるのは嬉しいな」

 そんな話をしていると、ミーシャたちもウルの話を聞きたいのか、俺と一緒に話を聞きたいと言い出したので、ウルに確認して今日の夕食後は一緒にお風呂に入って、そのままみんなでお話回になった。もちろんシンラたちは、ゲームをすると言っていて、こっちの話には興味がなさそうだ。

 ミーシャたちとは、おやつの後に昨日みたいに訓練の様子を見に行くと話し、ウルとは一緒に庁舎に行くことになった。

 シルキーたちが、何故か一緒に行くように指示を出したので、俺とウルはのんびりと庁舎まで歩いていく。歩いている時に話したのは、弟妹たちの話だった。自分の話は夕食の後にみんなの前でしたいからといって、ウルの視点からみた弟妹たちの様子を教えてくれた。

 後からシルキーたちが来るとは言っていたが、何で俺と一緒に行くのかは教えてくれなかったので、何かしらの理由があったのだろう。

 ウルは何か聞いているみたいで、俺の仕事の様子を見たいと言っていたので、多分仕事に関することなのだろう。

 本人のしたいようにやらせてはいるけど、子どもなんだからもっと遊んでもいいと思うんだけどな……

 生臭い話は聞かせられないけど、俺の仕事している姿で良ければ、いくらでも見ていていいぞ。

 俺が昨日指摘した内容をグリエルたちがまとめており、俺は箇条書きにした情報を交換した。

 俺は数字には何故か強いので追加の仕事として、グリエルたちがいくつか気になっている報告書を持ってきたのだ。

 お前たちが調べても分からなかったのに、俺に持ってこられても困るんだが? 何かがおかしいと分かっても、君たちがきちんと調べて対処してくれるから、俺自体は大したことはできないんだけどな。

 準備された資料に目を通していく。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...