ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2324話 予定外の模擬戦

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 体が温まってきたので意識を切り替え、人造ゴーレムを倒す気で可能な限り全力を出そう。

 まずは分かりやすく、大振りにで横に薙ぎ払うように力を込めて、思いっきり大薙刀を振るう。

 途轍もない音が訓練場に響き渡るが、俺は人造ゴーレムを1ミリも動かすことができなかったことを瞬時に理解する。

 人造ゴーレムは、金属で作れてれているから相応に重い。俺より少し大きな体なのだが、体重は10倍以上ある。それを吹き飛ばすつもりで振るった大薙刀だったが、自分がふった勢いで弾かれそうになったのを気合で押し込むことで、打ち込んだところに止めることができた。

 まさか遠心力も使って、通常の何倍も重い大薙刀の一撃でびくともしないなんて……

 正直こいつらの事を舐めていたのかもしれない。いくら人造ゴーレムでも、少しくらいは動くだろうと簡単に考えていた自分を怒りたい。

 ただ重いだけだったらさすがに、俺の力と大薙刀の重さとスピードで倒れるはずなのだが、絶妙な力加減でピクリとも動かずに俺の攻撃を受け止めたのだ。

 こいつは予想以上にハードな模擬戦になりそうだ。

 意識を更に切り替えて、体のギアも上げていく。

 誰かを殺すためにギアをあげるのではなく、目の前に用意された動く金属の塊をどうにかして動かす……ただそれだけを考えながら、大薙刀で攻撃していく。

 10回ほど打ち込んで、人造ゴーレムの動きを何となく理解する。

 俺の攻撃に合わせて、持っている金属の塊でおれの攻撃を受けるように命令されているようだ。

 綾乃の言った通り、攻撃をしてくる様子は無いが、俺は油断はしない。油断した時に何かの条件を満たして、不意打ちをされる可能性だってゼロではないのだ。

 だけど、こいつを俺の力で1ミリでも動かせない限りは、ありえない気もする。

 意識を切り替えはしたが、動かすよりも先にしなければならないことを思い出した。

 自分の動きがイメージに沿ってできているか。そのイメージより動きやすい動きは無いのか。模擬戦をしながらでも、確認したいことはいくらでもあったのだ。人造ゴーレムを動かしたいではあるのだが、それより先にするべきことを思い出す。

 右、右、左、下、左、右、上……

 大薙刀を振り回し体を回転させながら、重く強い攻撃も放っていく。

 人造ゴーレムは、先回りするかのように金属の塊を持っており、完璧に受けきる。

 全身を金属で作っているとはいえ、ゴーレム化しているので完全に硬直するのは難しかったはずなのに、俺の目で確認する範囲では、微動だにしていない。

 人造ゴーレムは、自分の体を完全に硬直させることができているのだろう。いくら機械のような体と言っても、ここまで完璧に硬直できるとはな。

 地球で考えれば、金属は一部の物を除けば基本的に押された力で押し返し、押された力が耐えられる限界を越えれば、滑ったり転がったり倒れたりする。

 目の前にいる人造ゴーレムより早い動きをできるかは謎であるが、ロボットの仕組み上、関節などの可動部は構造上動くはずだし。人間サイズにまとめられているとはいえ、俺の攻撃は自動車の衝突を遥かに上回る物だったはず。

 それを1ミリも動かずに受け止めているのは、全身を完全に硬直させたうえで、俺の攻撃に耐えうる姿勢で、必要に過不足ないレベルで足に力を入れているということだな。

 車の衝突以上の力が加わっているはずなのに、何で全く動かないのだろう?

 前からだけではなく、左右に回り込んだり、全体体重も乗るように打ち込んだりしているのだが、足が滑りもしない。

 足の裏だけの接地面しかないのに、どうやってこんなことができるのやら。

 もし俺が自分の攻撃を受け止めることになったら、完全に硬直して受けるのではなく、威力をことすようにしながら、腕や体をひくだろうが……それが全くないんだよな。

 俺のは技術で威力を減算させるが、人造ゴーレムは真正面から受けきっている。

 そんな様子が腹立たしくなってきた。

 別にこいつが俺に何かをしたわけではない。ただ命令通り俺の攻撃を受け止めているだけだ。それだけなのに、俺はこいつに対抗意識を燃やしていた。

 1ミリも動いていないと言っているが、俺が攻撃した時に受け止める姿勢が動いていないだけであって、両足を地面から離していないわけではない。

 回り込めばそれに合わせて動くし、攻撃を受けるために突っ立っている状態で受けきれないと判断すれば、姿勢を変え腰を落として人間のように受けるが、体を完全に硬直させて受けているだけだ。

 そのせいで、大きな反動が俺の体にかかって、若干腕が痺れている。

 20分ほど打ち込んだところで、一度休憩をとる。

 休憩していると、綾乃とバザールが近付いてきて、ドヤ顔でこちらを見ていた。

 骨なのにドヤ顔が分かるなんて、なんて表情が豊かな骨なのだろうか?

 少しイラっとしたので、魔力を込めたただの小さな球を、マシンガンのように撃ち込んでやった。

 魔物の中でも最上位に近いノーライフキングの体を持っているバザールには、この程度の攻撃では嫌がらせにもならなかった。

 骨の間を抜ける球もあったのだが、当たっても骨の丸みで滑ってしまっているようだ。変な方向に球が逸れるため、近くにいた綾乃に当たりそうになって、バザールが怒られていた。

 理不尽な状況ではあるが、バザールは綾乃の八つ当たりを優しく受け止めている。

 というか、何で近付いて来たのか聞いてみると、動きに不自然なところがなかったのかを確認してきた。

 しばらく考えて、口を開いた。
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