ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
2,352 / 2,518

第2352話 やっぱお前たち有能だな

しおりを挟む
 余計な心配をしていた気がする。今のままであれば、シンラたちは特に問題ないだろう。それに、矯正してくれる人もたくさんいるわけだし、道を踏み外しても問題ないだろう。強制的に、外れた道から戻してくれるだろう。俺も妻たちもいるしな。

 一番の安心材料なのは、シンラたちはお姉ちゃん子であり、姉たちのいうことは基本的に素直に聞いている。反発するところは見たこと無いし、特にウルにはミーシャたちより懐いているらしい。

 俺は一緒にいる姿をあまり見ないが、ウルとシンラたちは、メチャクチャ仲が良いらしい。子ども部屋でウルが寝る時は、プラムたちがウルにくっ付いて寝るくらいには慕っているんだってさ。

 いつもの様子を見る限り、嘘だろ? って思ったのだが、くっ付いて寝ている姿の写真を見せられ、納得するしかなかった。その時、シンラは放置されているわけではなく、プラムかシオンのどちらかに腕を取られているため、1人で寝ているわけではなさそうだ。

 それでも、動けないように両サイドを固められて寝ている時よりは、寝顔が穏やかなので苦労は少ないのだろう。それでも自由に動けないという事実には変わりがないのに、険しい顔をしていないのだから、少しは安らぎがあるんだろうな。

 将来の事を考えても、今はどうにもならないので気をつけるようにして、みんなで子どもたちの事を見守ろうか。少なくとも横暴な人間にだけはならないように、注意しておこうか。

 さて、今日は何をするべきかね。まだシルキーたちからも妻たちからも、仕事の許可が出ていないので、運動せずに自由にしていろということだ。

 マジですることが無いと困るな……

 運動しなければいいのだろうか? 少し気になることがあるから、そちらに行ってみるのもいいかもしれないけど、一応シルキーたちに確認してからな。

 話してみたら、特に運動をするわけでも魔法を使うわけでもないので、いってきても問題ないと許可がもらえた。

 俺が向かう先は、ダンジョン農園の家畜エリア……農園なのに家畜エリアって、改めて考えると変だよな? だけど、このダンジョン自体を農園と名付けたから、ダンジョン農園で定着しているし、今更感が半端ないな。

 ここに来た目的は、白ソーセージを食べたくなったからだ。

 白ソーセージとは、ヴァイスヴルストと呼ばれ、ドイツ・バイエルン州の伝統的なソーセージで、よく挽いた仔牛肉、新鮮な豚肉のベーコンから作るソーセージだ。通常の風味づけはパセリ、レモン、ナツメグ、タマネギ、ショウガ、カルダモンを、様々なバリエーションで使用する。

 そういったソーセージである。

 特徴としては、非常に傷みやすく作った日の夜には、もう味がかなり劣化しているのだとか。冷蔵技術が発達していても、これだけ早く痛むため、日本ではほとんど見ることができないと聞いた覚えがある。

 そこまでするほど美味しいものかと言われたら、俺には分からないけど、普通のソーセージとは食感が違うので、たまに食べる分にはかなり美味しく感じる。普通のソーセージに比べれば作るのも手間なので、うちでもあまり作られていない。

 俺がこうやって食べたいといった時用に、時間経過の無い収納のアイテムにしまっている物を提供してくれる形だ。

 じゃぁ、今回は何で作りたいという話になったかというと、単なる興味本位だな。

 前にもソーセージつくりはしているし、子どもたちとも来たけど、たまにやりたくなるんだよね。きれいに成形できるわけではないけど、なんかね……

 大半はブラウニーたちがやってくれるので、俺が大変な所なんて1つもないんだけどね。

 後、家畜エリアに来たのには理由がある。昨日作ったブラウニーたち専用のエリアで、解体用のナイフとかを持って行ったのが、ここのブラウニーたちだ。そのブラウニーたちが使っている場面を見たいというのもあり、家畜の屠殺場兼解体所にも行きたいのだ。

 ブラウニーにそのことを話した10分後に、そろそろ出かけようと思うと、ドタバタと玄関の方が騒がしくなっていた。

 何事かと確認すれば、昨日正座をさせられていたドワーフたちが、わらわらと集まっていたのだ。

 そこに顔を出すと、よし行くぞ! と、意味不明な状況でダンジョン農園に連行された……どういうことだ?

 移動中に御付きのブラウニーに聞いてみると、ドワーフたちもナイフの事が気になっており、俺が行くならわしらだっていいだろ? という話になり、手の空いているドワーフたちが集まったみたいだ。

「よし分かった。とりあえず止まれ。俺が言っている内に聞いておいた方がいいぞ」

 そういうと、渋々だがしたがって止まってくれた。

「全員並べ! 行先は、家畜エリアの前に、風呂だ。その状態で行っても、絶対に入れてもらえないぞ。まず初めに、汚い。次に汚い。最後に汚い。とりあえず、体をきれいに洗ってからだ。そうしないと、お前らは入れてもらえないぞ」

 俺がそういうと、絶望したような表情をして、こっちを見てきた。

 ドワーフって、風呂が嫌いってわけじゃないよな? なんで、絶望したような顔をするんだろうか?

 本当なら、もじゃもじゃと汚く伸ばしている髪やひげも整えたいんだけどな……

 そんなことを思っていると、スライムたちによって運ばれてきたシリウス君が、混乱した表情でこちらを見ている。

 ダマもそうだけど、シリウス君もこき使ってくる大半の従魔たちより強いのに、序列によって不遇な扱いを受けているんだよな。それなのに怒らないんだから、大らかなのか小心者なのか……

 でも、スライムたちよ良い判断だ!

 とりあえず、逃げないようにスライムたちで足を拘束しよう。

「シリウス君、面倒かけてすまないが協力してくれ。終わったら解体所で好きな肉を食べて良いから、こいつらの全身をきれいに洗ってくれ。垢が全部落ちるくらいにゴリゴリお願い。レベルが高いから、皮まではげることはないから遠慮せずに綺麗にしてくれ」

 久しぶりに、シリウス君の人間洗濯機をやってもらう。ドワーフたちは抵抗して逃げようとするが、風呂にはいらないなら、これ位は甘んじで受けてくれ。

 センスのいいスライムたちも遅れてやってきたので、シリウス君の洗濯機魔法が終わったら、体に張り付き水分を吸収すると同時に、髭や髪の毛を切りそろえてくれた。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...