ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
2,415 / 2,518

第2416話 考えるだけで頭が痛い

しおりを挟む
「勇者の仲間と兵士たちは、分けて対応するように考えよう。まとめておくと頭が混乱するし、対応に遅れが出そうだからな。で、2人に対策がないか聞きたいけど、思いつくものはないか? 勇者の仲間でなければ、シャドウやサイレントアサシンが有効だと思うけど、どうかな?」

 以前街で勇者とその仲間にゾンビアタックの如くサイレントアサシンをけしかけた時は、かなりの数が死んだからな。数で押し込んだけど、HPの低い陰に潜む系の魔物は、特に勇者もつ魔物特効と相性が悪いのだ。

 普通の人間であれば、あそこまでポンポン死ぬことはないのだが、あれのせいで簡単に死んでしまうから、勇者やその仲間にあてたくないんだよな。そいつらに対処するのは、S級スケルトンと人造ゴーレムの予定だからな。

「勇者の仲間に関しては、速力のあるケンタウロス型人造ゴーレムに、S級スケルトンとか他の人造ゴーレムとかを乗せたらいいんじゃないかな? 追撃戦っていう前提だけど、追いついた後に2体でかかれば、少なくとも逃がさないと思うんだけど、どうかな?」

 なるほど、ケンタウロス型であれば、確かに早いな。それに戦力を追加で乗せて、2体で戦うなら逃げられることはないか。

「それはありだな。スケルトンかゴーレムかどっちを乗せるべきか。バザールはどっちがいい?」

「ん~、スケルトンなら軽いでござるから、2~3体乗せてもいいのではござらんか?」

 ケンタウロス1体に対して、1体しか載せないつもりだったのはなぜだろうか? 思い込みのようなものかな。複数のせたって問題ないのなら、乗せるべきだろう。それで逃がす可能性が低くなるんだから、それで問題ないな。

「勇者の仲間分だけ準備よろしく。どこかに出してたりするなら、回収して今回の戦争に使うようにしよう。今使っている場所では、しばらく無しで頑張ってもらうか休んでもらおう。こっちが最優先だな」

 兵士たちが野盗化するのも可能な限り防ぎたいが、絶対に防ぎたいのは勇者の仲間の野盗化だな。おそらく他の街に逃げずにダンジョンへ帰りそうだけど、絶対ではないので帰らないなら追撃してしとめて、帰るコースで追いつかない状況だったら放置でもいいと考えている。

 最終的にダンジョンを潰す必要はあるだろうけど、勇者の仲間がダンジョンに逃げるのなら、無理につぶす必要はないと思っている。

 最悪を想定して動く必要があるので、追撃準備は念入りにするぞ。

 勇者対策をしていると、

『シュウ君、今収納のアイテムの確認をしていたのだけど、毒の確認が取れたわ。量はそこまで多くないけど、調べたところ結構危険な毒だったわ』

 ミリーから連絡が入った。

「毒って、地球の毒? それとも、こっちの毒?」

『どっちにもあるけど、こちらではあまり使われていな動物から採取された毒みたい』

「散布できるかできないかで話は変わるけど、この世界にもある毒なら、万能薬の持続効果で無効化できるだろうけど、全員分の万能薬を準備するのか? それも、戦闘中効果が切れないようにするためには、複数必要だよな。無駄とは言わないけど、かなりの消費だよな」

『まだ半分くらいだから、もっと危険なものを持っているかもしれないから、継続して調べるね。何かわかったら連絡するわ』

「助かる。他の皆にもお礼言っておいてほしい」

 ミリーからの連絡が切れ、深いため息をついた。

「やっぱり毒は準備してたか。まだ半分っていうから、他にも危険なものをもってそうだよな。レイリーに一応報告しておくか」

 階段を上りレイリーへ報告する。

「毒ですか……戦争で使われることはあまりないですが、準備しているということはいつでも使えるわけですよね? 気になったのですが、毒を使うのは自爆覚悟ですかね? 何か対策用の道具などがあるのでしょうか?」

 言われてみれば、そこらへんはどうなんだろうか?

 ミリーへ連絡を取り、毒を持っていた人間たちにマークを入れてもらい、自分たちでも調べることにした。

「おかしいな。毒を無効化にできるようなものは無いな。近くの人間にもそれらしきものは無いし、勇者の仲間にもそれらしきものは無いな……どういうことだ?」

「飛ばすためのカタパルトのようなものは無いし、自分たちで投げるのかしら?」

「距離次第では、有効な攻撃方法になるか?」

「よるとかに野営地に投げ込まれたりしたら、かなり危険ではござらんか?」

 予想以上に面倒な感じだな。気化した毒の有効範囲も分からない。ただ毒の効果として、致死性ではなく神経毒のようなものみたいだな。神経を麻痺させて、死に至らしめるタイプっぽい。

 少量でも動きが鈍るから危険ではあるけど、自分たちも近付けないんじゃないか? 毒が無産化するまで待てば問題ないか……

「パッと見た限り、この毒以外は換えの装備だったり食事が中心で、他の物がほとんどないな」

 全員が収納のアイテムを持っているわけではないが、かなりの数があるのに、攻城兵器のパーツのようなものもないし、壁を越えたりするときに使う道具もない。毒か真正面からの戦闘でどうにかする予定なのか?

「気化するタイプの毒であれば、風魔法で処理できるので、魔法を使える兵士たちに徹底させておきます。毒の容器を発見したら、土魔法で埋めたりする方法も検討します。それと、解毒の魔法薬をお願いします」

 万能薬ではなく解毒のポーションをお願いしてきた。万能薬のストックはそこまで多くないが、このタイプの毒の解毒薬ならスキルLvを上げる際に作った解毒薬で、十分解毒できるのでそれを放出しよう。

 それにしても、この世界でも稀にある毒を使った戦争の体験ができると、反対に喜んでいそうだな。それで死人が大量に出たら意味がないのだが、そこらへんは大丈夫なのだろうか?

 いろいろと対策をしていたが、この後にミリーからもたらされる情報で、状況が一変する。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

処理中です...