ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
2,476 / 2,518

第2476話 予想以上に深刻だった

しおりを挟む
 いや……昨日はビックリしたな。下の子たちが下の子らしくなかったわ。

 シンラは俺と風呂入るのは嫌がらないが、プラムとシオンはめっちゃ嫌がるはずなのに、昨日は俺から離れなかったから、一緒にお風呂にも入ったんだよね。

 シンラの左右から離れはせずに、俺の前でどっしりと座るシンラの横にいたんだよな。

 寝る時も俺と同じベットへもぐりこんできて、シンラの隣を確保していたんだよな。シンラがここに来ようとすれば、全力で止めようとしていた気がするけど、今回は自分たちから来たからな。

 嫌われていなかったことが分かっただけでも、嬉しい事が知れてよかったわ。

 朝起きたら、子どもたちにまとわりつかれてて起きられず、シンラが顔によじ登る過程を経験したわ。あんな風にして登ってくるとは思ってなかったわ。

 前はスライムたちに手伝ってもらって登っていたそうだが、今回は自力でよじ登って顔に腹を押さえつける形だったな。両手は押さえつけられているので、顔に登ってくるのを阻止できなかったんだよな。

 首を左右に振っても落ちないんだからビックリするわ。ダイ〇ンもビックリな吸引力だな。

 1時間くらいして両腕を解放され、シンラを引き剥がすことに成功したよ。

 その後はいつものようになったけど、プラムとシオンからはあっち行けといったオーラは感じられなかった。

 子どもたちのスケジュールは元に戻って、勉強や運動を始めるため、俺には構っていられないといわんばかりに行動を開始していた。

 今日の俺のスケジュールは、シュリに相手をしてもらう予定だ。

 昨日から、今日の運動に付き合ってもらうために予約を入れておいたんだよね。本気で体を動かすとなると、シュリじゃないと力が拮抗しないから、一方的になる可能性があるんだよね。

 レイリーの力がシュリの8割くらいあるならよかったんだけど、半分くらいしかないから力での押し合いになると、どうしても俺の方が有利になってしまうから、全力で動けないのよな。その力の押し合いも技術でカバーするから、いい勝負にはなるんだけどね。

 しっかりと朝食を食べた後は、体をほぐしてから少し走ってみた。ジョギングくらいのスピードだけど、すぐに自分の体がなまっていることに気付いた。

 やっぱり2週間寝込んで、残りの1週間ちょっと部屋に籠っていたから、体力がかなり落ちているな。シュリに付き合ってもらう予定だけど、俺がどこまで耐えれるか心配になってきたわ。

 訓練場へ行くと、既にシュリに準備は終わっていた。いつからかつけ始めたか忘れたが、打撃の衝撃が和らぐように作られた全身をカバーする革鎧を身に着け、拳も傷めないように2重構造にして間に砂鉄を詰めている。革鎧も似たような造りなんだけどね。

 俺も全身に革鎧を身に着け、まずは徒手格闘で体を動かすことにした。

 まずは、準備運動の打撃戦。

 ガードを固めているシュリに向かって、左右のパンチを繰り出すところから始まる。

 お返しに返ってくるシュリの攻撃は、重い。体の芯に響くような攻撃なんだよな。同じように叩いているのに、まったく効果が違う……

 蹴りも重いし、体の芯が響く……

「だはっ! もう無理……」

 30分ほどで根を上げてしまった。

「約1ヶ月で大分体力が落ちてしまいましたね。力はステータスの補正でそこまで落ちていない気がしますが、体力はかなり落ちてますね。準備運動だけで根をあげるなんて、今までありませんでしたからね」

 準備運動の打撃戦は体の慣らしだったのに、先に体力が尽きるというポンコツぶり。これには自分でも驚いてしまった。

「無理にでも体を動かして、強引に限界を超えた方が後が楽かもしれないな……大分情けない姿を見せるけど、勘弁してくれな」

 そう謝ってから、再度体を動かすために打撃戦を開始する。

 体力が回復していない状態で、また体を動かし始める。

 呼吸を可能な限り整えながら、攻めよりも守りを重視して、体力の回復をはかりつつ、余裕があるところは自分から攻めていく。

 かなり苦しくて、体を動かしているのもしんどいのだが、シュリが1段階ギアをあげると体が次第に追いつかなくなり、ガードの上からでも響くような攻撃が何発も入るようになる。

 最後に躱しきれず、キレイにボディーブローが決まり、俺はその場で吐いてしまった。

 ここにきて、しっかりと食事を取ってしまったことが裏目に出た。

 魔法を使い吐しゃ物をキレイに流した後、タオルなどで顔を拭きうがいもしておく。

 ほとんど休憩をせずに、再度シュリに向かって体を動かす。

 シュリは俺の気持ちにこたえ、構えと取ってくれた。

 ギアを落とした段階から始まり、少しずつギアがあがっていく。そして攻撃をさばけなくなり攻撃をくらい悶絶する。

 これを繰り返すこと7回。

 自分の体に変化が現れた。

 体力や体の動きは変わらないのだが、意識が覚醒したというべきか、最適解に近い体の動きをしてくれる。

 体への負担が減り、シュリがギアをあげても体力を回復する余裕が少し生まれた。それが積み重なり、やっと全力で動けるほどに体力が回復する。

 息は荒く、肩で吸っている状態でも、体を動かす力は増えている感じだ。とても不思議な感覚……

 体を前に突き動かし、シュリに肉薄する。意識が研ぎ澄まされ、シュリの全力に近い動きの攻撃を防ぎきり、拮抗している。

 さすがに全力があると、体力を回復する隙が無くなり、ジリ貧になってしまう。

 そして、攻撃を受けそこない、ミスガードした左腕の骨が折れた……

 骨が折れた痛みで、目の前が白くなる。

 シュリが慌てて駆けつけ、俺の体を抑えてから腕の位置を調整し、回復魔法をかけてくれた。

 元の位置に戻さずに回復すると、変な風に治ることがあるので、しっかりと真っすぐにしてくれた形だな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

処理中です...