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おまけ
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あれから少し経っても僕の傷は完治していない。だからずっと森であの人の手当を受けている。
その場所というのが、入り組んだ森の奥にあった、今は使われていない木こりの家だ。
「で、なんでカエルがいるんだ?」
「口の利き方に気をつけろ! 誰がお前の腹にあいたでかい穴を塞いでやったと思っておる?」
「ヘレナ」
ヘレナというのは、あの女の人の名前だ。(カエルを通して)教えてもらった。
「違う、私だ! 薬草なんかじゃ間に合わない傷じゃった。あの女は魔法なんて使えんからな」
きっとヘレナが慌てて僕を運んでくれたんだろう。蜂は大丈夫だっただろうか。
「どうせなら完治させといてよ」
憎まれ口を叩くと、濁った目にぎろっと睨まれる。どうやらこのカエルは、本来の自分ができて、今はできないことが嫌らしい。
人間だった頃はさぞ自信のある嫌味な魔法使いだったのだろう。
「どうしてここにいるのかという問いじゃが……」
カエルが仰々しく話をかえた。
「あのヘレナという女、中々見る目のある若者でな。この私を訪ねて森まで来たという」
「それは、どうして?」
「奴は医者になりたいらしい。ん? 薬剤師だったか? まあさほど変わらん。それで多種多様な知識を持つ私を頼ってきたそうだ」
カエルはえっへんといった感じで言ってきた。嬉しかったんだろう。
「ヘレナはこれからどうするんだろう」
「世界を旅するとか言ってたぞ。動植物を助けながら生きるとかほざいておった」
「一々言い方がひどいね……カエルお前もついていくの?」
「当然じゃ」
「じゃ、僕も行く」
「…………」
カエルの眠たげな目がじっと僕を見てきた。買う物の品定めをする人間はあんな目をする。
「私も人間なのだから、当然名前はある。これからカエルと呼ばず、名前で呼ぶことが同行の条件の一つである」
「知らないんだけど」
「教えてくださいと言うなら教えよう」
僕は優しいヘレナの元へ跳んでいきたくなった。
でもヘレナと意思疎通がはかれないから、このカエルの力を借りなければならない。
性格の悪いカエルと優しいヘレナと、善良な僕が旅をしたら、一体どうなるんだろう。
楽しいかもしれない。
「なまえはなんですかおしえてください」
「……我が名はアキサハル・ラグー。ヘレナの姓名はガーネットだ。覚えたか低脳」
「へえ、ガーネットっていうんだ、あの人」
「忘れたら言え。頭を潰して思い出させてやるから」
僕に名前はないんだろうか?
「名前は誰にもらう物?」
「生みの親とか……誰でもいいんじゃないか。それより低脳、私の名前は覚えたか? 言ってみろ」
「じゃあ僕はヘレナに決めてもらいたいな。ヘレナにそう伝えておいてよ」
「おい、私の名前はどうした」
僕は軽やかに跳ね、ヘレナを探しに行った。後ろから何か聞こえるけど知らない。
見つけたヘレナはエプロンをつけており、そのお腹にポケットがあったため、当然のように僕は大ジャンプを繰り出し、ヘレナのポケットの中に潜り込む。
「びっくりしたっ。どうしたの、スライム君」
手がポケットに入ってきて、僕は掴まれ外に引きずり出された。この時少し治りかけの傷を圧迫されて痛かった。
明るく笑うヘレナを間近で見れて、僕は嬉しい。
ヘレナ、ヘレナ。大好きだよ。
後日僕の名前は、ヘレナによってナナくんと名付けられた。
―君のための最期を始まりに―終
その場所というのが、入り組んだ森の奥にあった、今は使われていない木こりの家だ。
「で、なんでカエルがいるんだ?」
「口の利き方に気をつけろ! 誰がお前の腹にあいたでかい穴を塞いでやったと思っておる?」
「ヘレナ」
ヘレナというのは、あの女の人の名前だ。(カエルを通して)教えてもらった。
「違う、私だ! 薬草なんかじゃ間に合わない傷じゃった。あの女は魔法なんて使えんからな」
きっとヘレナが慌てて僕を運んでくれたんだろう。蜂は大丈夫だっただろうか。
「どうせなら完治させといてよ」
憎まれ口を叩くと、濁った目にぎろっと睨まれる。どうやらこのカエルは、本来の自分ができて、今はできないことが嫌らしい。
人間だった頃はさぞ自信のある嫌味な魔法使いだったのだろう。
「どうしてここにいるのかという問いじゃが……」
カエルが仰々しく話をかえた。
「あのヘレナという女、中々見る目のある若者でな。この私を訪ねて森まで来たという」
「それは、どうして?」
「奴は医者になりたいらしい。ん? 薬剤師だったか? まあさほど変わらん。それで多種多様な知識を持つ私を頼ってきたそうだ」
カエルはえっへんといった感じで言ってきた。嬉しかったんだろう。
「ヘレナはこれからどうするんだろう」
「世界を旅するとか言ってたぞ。動植物を助けながら生きるとかほざいておった」
「一々言い方がひどいね……カエルお前もついていくの?」
「当然じゃ」
「じゃ、僕も行く」
「…………」
カエルの眠たげな目がじっと僕を見てきた。買う物の品定めをする人間はあんな目をする。
「私も人間なのだから、当然名前はある。これからカエルと呼ばず、名前で呼ぶことが同行の条件の一つである」
「知らないんだけど」
「教えてくださいと言うなら教えよう」
僕は優しいヘレナの元へ跳んでいきたくなった。
でもヘレナと意思疎通がはかれないから、このカエルの力を借りなければならない。
性格の悪いカエルと優しいヘレナと、善良な僕が旅をしたら、一体どうなるんだろう。
楽しいかもしれない。
「なまえはなんですかおしえてください」
「……我が名はアキサハル・ラグー。ヘレナの姓名はガーネットだ。覚えたか低脳」
「へえ、ガーネットっていうんだ、あの人」
「忘れたら言え。頭を潰して思い出させてやるから」
僕に名前はないんだろうか?
「名前は誰にもらう物?」
「生みの親とか……誰でもいいんじゃないか。それより低脳、私の名前は覚えたか? 言ってみろ」
「じゃあ僕はヘレナに決めてもらいたいな。ヘレナにそう伝えておいてよ」
「おい、私の名前はどうした」
僕は軽やかに跳ね、ヘレナを探しに行った。後ろから何か聞こえるけど知らない。
見つけたヘレナはエプロンをつけており、そのお腹にポケットがあったため、当然のように僕は大ジャンプを繰り出し、ヘレナのポケットの中に潜り込む。
「びっくりしたっ。どうしたの、スライム君」
手がポケットに入ってきて、僕は掴まれ外に引きずり出された。この時少し治りかけの傷を圧迫されて痛かった。
明るく笑うヘレナを間近で見れて、僕は嬉しい。
ヘレナ、ヘレナ。大好きだよ。
後日僕の名前は、ヘレナによってナナくんと名付けられた。
―君のための最期を始まりに―終
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