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第8章 ヴァロン王国遠征
第247話 小休憩
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「くっ……せっかく、仲間だと思っていたのにっ!」
「ん? クレア、何か言ったか?」
「えっ!? へ、ヘンリー様、何でもありませんよ?」
クレアが獣人族の姿になったヴィクトリーヌを見ながら、何か呟いていたけれど、一体何だったのだろうか。
「じゃあ、改めて奥へ進もうか」
ヴィクトリーヌが進む気になってくれた所で、ダンジョンの奥へと足を踏み入れると、そこから先はモンスターの軍団が出てくるとか、落とし穴だとか、上から岩が落ちてくるとか……エルフとは違い、物理的というか、直接的な障害ばかりだった。
なので、俺たちの足を止める程の物では無く、ズンズンと進んで行くと、
「……明らかに階層が変わったな」
「そう……ですね。今までは地面を掘ったという感じのダンジョンでしたが、ここは……元々あった場所でしょうか」
「ヘンリー殿。ここは流石に、厳しいと思うのだが」
道の左右が壁の代わりに溶岩となっていた。
これは、流石に落ちたらやばいよなぁ。
『やばいなんてものではないですよっ! 流石に死んじゃいますっ! というか、これで死ななかったら人間じゃないですからっ!』
(だよなぁ)
「ヘンリー隊長。す、少しだけ引き返して欲しいのです。休憩が必要なのです」
「そうだな。ここまで、ほぼ休憩無しで来たし、少しだけ引き返して、休憩しよう」
プリシラの意見に従い、クルりと背を向け……俺は大変な事に気付いてしまった。
何という事だろうか。
俺は、俺は今までとんでもないミスを犯していた。
「ニーナ! すまないっ! まさかニーナが、そんなに俺の事を好きでいてくれたなんてっ!」
「た、隊長さんっ!? いきなり何っ!? どうしたボクに抱きつくのっ!?」
「だって、上半身はシャツ一枚で、下半身はパンツだけ……これは俺に対する好意だよねっ!?」
「ち、違う……というか、この状況でどうして隊長さんは、そんなに元気なのっ!? ボクが下着姿なのは暑いからだよぉー」
そう言うと、ニーナがフラフラになって俺から逃れようとする。
そんな……俺に襲ってくれと言わんばかりの格好なのに、ただ暑かっただけだって!?
……いやまぁ、確かに暑いのは暑いけど、嫁入り前の美少女が半裸になる程の暑さなのだろうか。
「にーに。ねーねも、だっこするのー?」
「え? あ、うん。ニーナお姉ちゃんも辛そうだから、抱っこしてあげようと思ったんだけどね、もう少し頑張るんだって」
「そっかー」
危ない、危ない。
下着姿のニーナを見て一瞬で理性がふっとんでしまったけど、俺はユーリヤをおんぶしていたんだった。
というか、そんな大事な事を忘れるなんて、俺も暑さでどうかしていたのかもしれない。
一先ず溶岩が視界に入らない所まで戻ると、具現化魔法で家を作り、いつもお風呂を作る場所に魔法で作りだした氷を置いてみた。
「な……ヘンリー殿。今の魔法は!?」
「そんな事より、皆で涼みながら休憩しましょう。俺はまだ平気だけど、ニーナとヴィクトリーヌさんが限界っぽいしね」
「……確かに。では、お言葉に甘えて休憩させてもらおう」
俺とユーリヤはいつも通りに。
ニーナは本当に限界だったらしく、下着姿のまま寝てしまったので、チラチラとその姿を見ていたら、不機嫌そうなプリシラがマントを掛けて、汗だくのニーナの身体を隠してしまった。
減るものじゃないんだから、見せてくれても良いのに。
ちなみに、ドロシーは何故かやたらとテンションが高い。
「この暑さ……良いッス。苦しくて、汗が止まらなくて、でも師匠は足を止めなくて……この、まるで師匠に攻めてもらっているかのような感じが、とても良いダンジョンッス!」
なるほど。気配を読む訓練の代わりに、スタミナを鍛える訓練をしているのか。
ドロシーは本当に訓練が好きだよな。
このまま頑張れば、きっと凄く強くなれるだろう。
それから、残るクレアはというと、何故かニーナと一緒にぐったりしていた。
「クレア? どうしたんだ? 大丈夫か?」
「ヘンリー様……すみません。ちょっと魔法の使い過ぎで、疲労が」
「魔法の使い過ぎ? 何か魔法を使っていたっけ?」
「……実は、途中からずっと、暑さを軽減する耐熱魔法を使用していました」
あー、そっか。この中で唯一宮廷魔術師のクレアは、当然騎士たちに比べて体力が少ないし、暑さにも弱いか。
俺たちの足を止めない為に、こっそり防御魔法を使って頑張っていたというのに、隊長の俺が全く気付かないなんて。
「すまない、クレア。ある程度回復したら、ここから先は、俺がおんぶして進もうか?」
「……えぇっ!? ヘンリー様!? 今、何と!?」
「だから、おんぶしようか? って」
「……よ、よろしいのですか!?」
「あぁ。悪かったな。気が効かなくて」
クレアは歩かなくて良くなるのが余程嬉しいのか、満面の笑みを浮かべながら、眠りに就いた。
ニーナの下着姿に気付かなかった事といい、クレアが気を使ってくれていた事といい、もっと仲間の事をみないといけないな。
そんな俺の未熟さに気付いたからか、気付けばプリシラが不機嫌そうに俺を見ていた。
うーん。もっと頑張らないとな。
汗一つかいていないユーリヤを抱きかかえると、俺も皆と同じ様に少しだけ仮眠をとる事にした。
「ん? クレア、何か言ったか?」
「えっ!? へ、ヘンリー様、何でもありませんよ?」
クレアが獣人族の姿になったヴィクトリーヌを見ながら、何か呟いていたけれど、一体何だったのだろうか。
「じゃあ、改めて奥へ進もうか」
ヴィクトリーヌが進む気になってくれた所で、ダンジョンの奥へと足を踏み入れると、そこから先はモンスターの軍団が出てくるとか、落とし穴だとか、上から岩が落ちてくるとか……エルフとは違い、物理的というか、直接的な障害ばかりだった。
なので、俺たちの足を止める程の物では無く、ズンズンと進んで行くと、
「……明らかに階層が変わったな」
「そう……ですね。今までは地面を掘ったという感じのダンジョンでしたが、ここは……元々あった場所でしょうか」
「ヘンリー殿。ここは流石に、厳しいと思うのだが」
道の左右が壁の代わりに溶岩となっていた。
これは、流石に落ちたらやばいよなぁ。
『やばいなんてものではないですよっ! 流石に死んじゃいますっ! というか、これで死ななかったら人間じゃないですからっ!』
(だよなぁ)
「ヘンリー隊長。す、少しだけ引き返して欲しいのです。休憩が必要なのです」
「そうだな。ここまで、ほぼ休憩無しで来たし、少しだけ引き返して、休憩しよう」
プリシラの意見に従い、クルりと背を向け……俺は大変な事に気付いてしまった。
何という事だろうか。
俺は、俺は今までとんでもないミスを犯していた。
「ニーナ! すまないっ! まさかニーナが、そんなに俺の事を好きでいてくれたなんてっ!」
「た、隊長さんっ!? いきなり何っ!? どうしたボクに抱きつくのっ!?」
「だって、上半身はシャツ一枚で、下半身はパンツだけ……これは俺に対する好意だよねっ!?」
「ち、違う……というか、この状況でどうして隊長さんは、そんなに元気なのっ!? ボクが下着姿なのは暑いからだよぉー」
そう言うと、ニーナがフラフラになって俺から逃れようとする。
そんな……俺に襲ってくれと言わんばかりの格好なのに、ただ暑かっただけだって!?
……いやまぁ、確かに暑いのは暑いけど、嫁入り前の美少女が半裸になる程の暑さなのだろうか。
「にーに。ねーねも、だっこするのー?」
「え? あ、うん。ニーナお姉ちゃんも辛そうだから、抱っこしてあげようと思ったんだけどね、もう少し頑張るんだって」
「そっかー」
危ない、危ない。
下着姿のニーナを見て一瞬で理性がふっとんでしまったけど、俺はユーリヤをおんぶしていたんだった。
というか、そんな大事な事を忘れるなんて、俺も暑さでどうかしていたのかもしれない。
一先ず溶岩が視界に入らない所まで戻ると、具現化魔法で家を作り、いつもお風呂を作る場所に魔法で作りだした氷を置いてみた。
「な……ヘンリー殿。今の魔法は!?」
「そんな事より、皆で涼みながら休憩しましょう。俺はまだ平気だけど、ニーナとヴィクトリーヌさんが限界っぽいしね」
「……確かに。では、お言葉に甘えて休憩させてもらおう」
俺とユーリヤはいつも通りに。
ニーナは本当に限界だったらしく、下着姿のまま寝てしまったので、チラチラとその姿を見ていたら、不機嫌そうなプリシラがマントを掛けて、汗だくのニーナの身体を隠してしまった。
減るものじゃないんだから、見せてくれても良いのに。
ちなみに、ドロシーは何故かやたらとテンションが高い。
「この暑さ……良いッス。苦しくて、汗が止まらなくて、でも師匠は足を止めなくて……この、まるで師匠に攻めてもらっているかのような感じが、とても良いダンジョンッス!」
なるほど。気配を読む訓練の代わりに、スタミナを鍛える訓練をしているのか。
ドロシーは本当に訓練が好きだよな。
このまま頑張れば、きっと凄く強くなれるだろう。
それから、残るクレアはというと、何故かニーナと一緒にぐったりしていた。
「クレア? どうしたんだ? 大丈夫か?」
「ヘンリー様……すみません。ちょっと魔法の使い過ぎで、疲労が」
「魔法の使い過ぎ? 何か魔法を使っていたっけ?」
「……実は、途中からずっと、暑さを軽減する耐熱魔法を使用していました」
あー、そっか。この中で唯一宮廷魔術師のクレアは、当然騎士たちに比べて体力が少ないし、暑さにも弱いか。
俺たちの足を止めない為に、こっそり防御魔法を使って頑張っていたというのに、隊長の俺が全く気付かないなんて。
「すまない、クレア。ある程度回復したら、ここから先は、俺がおんぶして進もうか?」
「……えぇっ!? ヘンリー様!? 今、何と!?」
「だから、おんぶしようか? って」
「……よ、よろしいのですか!?」
「あぁ。悪かったな。気が効かなくて」
クレアは歩かなくて良くなるのが余程嬉しいのか、満面の笑みを浮かべながら、眠りに就いた。
ニーナの下着姿に気付かなかった事といい、クレアが気を使ってくれていた事といい、もっと仲間の事をみないといけないな。
そんな俺の未熟さに気付いたからか、気付けばプリシラが不機嫌そうに俺を見ていた。
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