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第48話 魚の匂いがする草
右腕から溢れた血が、指先まで流れ、床に落ちる。
傷自体は、大した事が無い。
傷口を消毒して、包帯でも巻いておけばすぐに治るだろう。
だけど、あの男性が言っていた、即死性の強い毒……おそらく、本当だと思う。
「アリスっ! 傷を見せてっ!」
「タマちゃん!? だ、ダメっ! 毒が……」
私の制止を無視して、タマちゃんが傷口を一舐めする。
タマちゃんなりに治してくれようとしているのだと思うけど、そんな事をしたらタマちゃんにまで毒が回ってしまう!
「なるほど。これなら……リアムっ! 魚の匂いがする草を探してっ!」
「魚の匂いがする草?」
「早くっ! それでアリスが助かるんだよっ!」
「わ、わかった!」
どうやらタマちゃんは、私の傷を舐めて治そうとした訳ではなく、私が受けた毒を分析してくれたみたい。
料理で様々な食材の味を調べてきたけど、流石に毒の味は知らないわ……ね。
「アリスさん! 少しだけ待っていて! 絶対に薬草を探して戻って来るから!」
リアムさんが、元の大きさに戻ったタマちゃんを抱きかかえ、部屋を出て行こうとしたところで……ステラちゃんのお父さんから待ったがかかる。
「待つのだ」
「ブレッセ国王陛下! 無礼なのは承知しております。ですが、今は大切な人の命が掛かっているので、失礼します!」
「そうではない! その魚の匂いがする草なら、我々が持っている。使うが良い」
「えっ!? あ、ありがとうございます!」
どういう訳か、ステラちゃんのお父さんがタマちゃんの求める毒消し草を持っていたらしく、護衛の騎士さんが緑色の草を取り出し、リアムさんに渡した。
あぁ、あの草……なるほど。ステラちゃんのお父さんは、きっと普段から料理に使うのね。
毒消しの効果があるっていうのは知らなかったけど、食材としてはよく知っているし、日本でお茶にして飲んだ事もある。
独特の香りがあるけど、この世界では魚の匂いって言うみたいだ。
「リアム。それを持って、キッチンへ! 綺麗な水で煮るよっ!」
タマちゃんの言葉でリアムさんが走って部屋を出ていくと、ステラちゃんのお父さんがやって来た。
「ふむ。この傷なら……あの者が解毒薬を作った後に綺麗に消えるだろう。もう少しの辛抱だ……気をしっかり持つのだ」
「あ、ありがとうございます」
その一方で、父が恐る恐るといった様子で声を掛けてくる。
「あ、あの、国王陛下。先程の者は、顔見知りではありますが、当家とは無関係の者でして……」
「今回の襲撃については無関係なのだろう。だが、傷付いた自分の娘を前にして、己の保身の事しか考えぬ愚か者とは、金輪際我が国として関わる事がないであろう」
「そ、そんな! プレッセ国には我が領地の作物を大量に買い取っていただいておりまして……」
「その作物を活かす方法を碌に理解しておらぬ者が領主とは。早々に引退し、後継者に家を継ぐのだな」
ステラちゃんのお父さんにきっぱり言われ、父が項垂れる。
まぁ兄がいるし、早く領主を譲れば良いんじゃないかな。
朧げにそんな事を考えていると、凄い勢いで誰かが……リアムさんが部屋に入ってきた。
「リアム! さっきの液をアリスの傷口に!」
「アリスさん。氷で冷やしてはいますが、少し我慢してください」
小さな瓶からエメラルドグリーンの液体が溢れ、私の腕へ。
熱くはないけど、染みるような痛さで顔が歪む。
だけど、タマちゃん曰く、もう大丈夫らしい。
「ならば、次は余の番か。……ヒール」
「治癒魔法!? プレッセ国王陛下! ありがとうございます」
「娘の友人だ。この程度の協力は惜しまぬよ。ただ、治癒魔法は怪我は治せても解毒や、病気の治癒は出来ぬからな。アリス嬢を救ったのは、間違いなくお主たちであろう」
淡い光が腕の痛みを和らげていき……完全に痛みがなくなった。
もう、大丈夫……なのかな?
ずっと気を張って耐えていたけど。
「皆さん。ありがとうございます……」
「アリスー! 無理しないでー!」
「アリスさん……部屋で休みましょう」
タマちゃんとリアムさんの言葉が聞こえたのを最後に……私の意識が途切れた。
傷自体は、大した事が無い。
傷口を消毒して、包帯でも巻いておけばすぐに治るだろう。
だけど、あの男性が言っていた、即死性の強い毒……おそらく、本当だと思う。
「アリスっ! 傷を見せてっ!」
「タマちゃん!? だ、ダメっ! 毒が……」
私の制止を無視して、タマちゃんが傷口を一舐めする。
タマちゃんなりに治してくれようとしているのだと思うけど、そんな事をしたらタマちゃんにまで毒が回ってしまう!
「なるほど。これなら……リアムっ! 魚の匂いがする草を探してっ!」
「魚の匂いがする草?」
「早くっ! それでアリスが助かるんだよっ!」
「わ、わかった!」
どうやらタマちゃんは、私の傷を舐めて治そうとした訳ではなく、私が受けた毒を分析してくれたみたい。
料理で様々な食材の味を調べてきたけど、流石に毒の味は知らないわ……ね。
「アリスさん! 少しだけ待っていて! 絶対に薬草を探して戻って来るから!」
リアムさんが、元の大きさに戻ったタマちゃんを抱きかかえ、部屋を出て行こうとしたところで……ステラちゃんのお父さんから待ったがかかる。
「待つのだ」
「ブレッセ国王陛下! 無礼なのは承知しております。ですが、今は大切な人の命が掛かっているので、失礼します!」
「そうではない! その魚の匂いがする草なら、我々が持っている。使うが良い」
「えっ!? あ、ありがとうございます!」
どういう訳か、ステラちゃんのお父さんがタマちゃんの求める毒消し草を持っていたらしく、護衛の騎士さんが緑色の草を取り出し、リアムさんに渡した。
あぁ、あの草……なるほど。ステラちゃんのお父さんは、きっと普段から料理に使うのね。
毒消しの効果があるっていうのは知らなかったけど、食材としてはよく知っているし、日本でお茶にして飲んだ事もある。
独特の香りがあるけど、この世界では魚の匂いって言うみたいだ。
「リアム。それを持って、キッチンへ! 綺麗な水で煮るよっ!」
タマちゃんの言葉でリアムさんが走って部屋を出ていくと、ステラちゃんのお父さんがやって来た。
「ふむ。この傷なら……あの者が解毒薬を作った後に綺麗に消えるだろう。もう少しの辛抱だ……気をしっかり持つのだ」
「あ、ありがとうございます」
その一方で、父が恐る恐るといった様子で声を掛けてくる。
「あ、あの、国王陛下。先程の者は、顔見知りではありますが、当家とは無関係の者でして……」
「今回の襲撃については無関係なのだろう。だが、傷付いた自分の娘を前にして、己の保身の事しか考えぬ愚か者とは、金輪際我が国として関わる事がないであろう」
「そ、そんな! プレッセ国には我が領地の作物を大量に買い取っていただいておりまして……」
「その作物を活かす方法を碌に理解しておらぬ者が領主とは。早々に引退し、後継者に家を継ぐのだな」
ステラちゃんのお父さんにきっぱり言われ、父が項垂れる。
まぁ兄がいるし、早く領主を譲れば良いんじゃないかな。
朧げにそんな事を考えていると、凄い勢いで誰かが……リアムさんが部屋に入ってきた。
「リアム! さっきの液をアリスの傷口に!」
「アリスさん。氷で冷やしてはいますが、少し我慢してください」
小さな瓶からエメラルドグリーンの液体が溢れ、私の腕へ。
熱くはないけど、染みるような痛さで顔が歪む。
だけど、タマちゃん曰く、もう大丈夫らしい。
「ならば、次は余の番か。……ヒール」
「治癒魔法!? プレッセ国王陛下! ありがとうございます」
「娘の友人だ。この程度の協力は惜しまぬよ。ただ、治癒魔法は怪我は治せても解毒や、病気の治癒は出来ぬからな。アリス嬢を救ったのは、間違いなくお主たちであろう」
淡い光が腕の痛みを和らげていき……完全に痛みがなくなった。
もう、大丈夫……なのかな?
ずっと気を張って耐えていたけど。
「皆さん。ありがとうございます……」
「アリスー! 無理しないでー!」
「アリスさん……部屋で休みましょう」
タマちゃんとリアムさんの言葉が聞こえたのを最後に……私の意識が途切れた。
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