厨二病バンザイ

しんけい

文字の大きさ
4 / 4

リフレクション4

しおりを挟む
 しかしながら、通行者に反応はなく、ただただ歩き去っていくのみだった。彼には足音と木々の葉が擦れあう音しか聞こえていないのだろう。二葉の方を見ることさえなかった。

 
 そうして、足音が見えなくなった時、二葉はカカシを見た。何も変化はない。そういえばこのカカシは倒れかけた時、少し動いていたが、こいつは動けるのか?とも思った。

「ほら。反応がなかっただろう?私の声が聞こえている時点で確定なんだよ。あとはどんな能力が出るかってだけ。近いうちに分かってくるよ」

 カカシは少し嬉しそうであった。

「…分かった。確かに分かった。俺が厨二病ってやつなのは」

「分かったのなら良かった。今後の事は君次第だ。能力の使い方は多岐にわたるから、何にでもなれる気になれるよ」

 
 二葉は靴紐が解けてるのに気づいた。かがんで結ぶ。その間、彼は考えていた。やはりこのカカシは何が知っている。言っていることに自信がありすぎる。そもそもカカシが喋っていることもおかしいけどな、と。

 
 先程まで狼狽えていた二葉は、現実を理解した事で、冷静となっていた。しかし、あまりに冷静となりすぎていた。このまま素直に帰った方が賢明だったのだ。

「…何か質問はあるかい?と言っても答えられる事は少ないけどね。帰りたいなら、帰ってくれた方が助かるな」

 と、カカシは言った。二葉は前々からの疑問を投げかけた。少し目には意思が宿っていた。

「…うーん。そういえば、なんだが、なんであんたは喋れるんだ?」 

 と、頭をかきながら二葉。

「それは私も厨二病だからさ。隠してて悪かったね」

「なんでカカシの姿なんだ?」

「それはこの方が都合がいいからさ」

 
 二葉は確信した。やはりこのカカシは何か持っている、と。元々二葉は学校でも「切れ物」タイプであった。問題を解くのも早いし、要点を見つけるのがとにかくうまい者であった。

「あと、あんたは厨二病の判別が出来るのか?さっきは厨二病のことはあまり分かってないって言ってたが…」

「…判別は出来るよ。ただ、それは私の能力だけどね。他の者が出来るかはわからないな」

 カカシの回答には少し躊躇いがあった。少しうっとおしくなっているのかもしれない。声のトーンも若干違っていた。

「あんたの能力ってのは?」

「それは言えないな。厨二病が他の厨二病に能力を言うのは、タブーであるからね」

「なんでだ?」

 二葉は手汗が出ているのわかった。風にも吹かれている。彼は周りがよく見えていた。

「…そういうものさ」

「…でもあんたの他にも厨二病はいるんだろ?そいつらとはどうしてるんだ?」

「基本的には厨二病は1人でいるもんだよ、連携して何かをしているってのはないかな。…ああ、私はただ話すのが好きっだけさ。それぐらいしか出来ないしね」

 二葉は周りがよく見えていた。それはついさっきまでと一緒であった。しかし彼は見えすぎていた。

「…ならなんであんたの周りに人がいるんだ?」

「…」

 彼はカカシの姿も、その周りにいる人間も、全て見えていた。椅子に寄りかかった黒髪、黒縁メガネに紙マスクの男に、スーツ姿の大柄の男。ジャージ姿の女に、ゲームをしている子供まで。

「…見えているのか」

「ああ、ばっちり」

 彼は能力が発現してしまっていたのだ。しかし彼は最後まで理解してなかったのだ。相手を。

「…申し訳ない」

「…?」

「君は危険だ。飛ばさせてもらおう」

 二葉には首を横に振るメガネの男が見えていた。が、それは一瞬の間に真っ白になった。彼の周りは一瞬にして、白塗りの部屋になっていた。窓は一つだけ、それも格子窓だった。布団が一つ。ドアも一つ。ノブはついてなかった。

 やらかした。と彼はようやく理解した。


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

花嫁

一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。

処理中です...