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帰郷
声の先にいたのは、美しい金髪とペリドットのような瞳のジュスティスだった。心なしかやつれているように見える。
「ヴェリテ様は俺の婚約者です!」
ジュスティスがロジエを睨む。
ロジエはふっと笑って
「予想よりも早いお出迎えだったな」
と呟いた。
「ジュスティス様!?どうしてここに?」
ヴェリテが驚きのまま叫ぶとジュスティスはヴェリテをギュッと抱き寄せた。
「もちろん、ヴェリテ様と共に帰るためです。とても心配しました。陛下も王太子殿下も待っておられます。さあ、帰りましょう。」
頬に雫がこぼれ落ちた。それがジュスティスの涙だと気づくのに時間はかからなかった。
「それは無理です。」
ヴェリテは俯いた。泣きそうなのを知られたくなかった。
「何故ですか!」
「僕が偽物の皇子だからです。ファクティス様を見た時、僕は自分が誰なのか分からなくなってしまいました。僕は皇后様のような金髪も紫の瞳も持っていないのです。陛下のような銀髪も赤い瞳も持っていません。
…僕はいったい誰の子供なのでしょうか。
偽物があそこで暮らしていてもいいことなどありません。
陛下達も本物の家族の方が喜ばれるはずです。
僕はあそこにいてはダメなのです。」
ヴェリテの視界がぼやけていく。分かっていたことだが、自分で自分のことを偽物だと言うのは辛かった。
「ですが、今まで王宮で暮らしてきた日々は幸せでした。美しい思い出ばかりです。陛下もお兄様も、そしてジュスティス様もとてもお優しかった…。僕には勿体無いほどに。
身勝手に出て行ってしまった僕をお許しください。今まで本当にありがとうございました。」
ヴェリテは精一杯の笑顔を向ける。うまく笑えているか自信がなかった。
「ヴェリテ様は偽物などではありません!家族は髪の色や瞳の色などで決まるのではありません。僕は皇后様と同じ髪色ですが、血縁関係などありません!ここにいる子供たちの多くが茶髪に茶目ですが、ヴェリテ様の家族ではないでしょう?そんなの関係ありません!
ヴェリテ様、もしあなたが本当に陛下の御子ではなかったとしても、僕はあなたと一緒になりたい。」
「ジュスティス様!それでは公爵家を継げなくなるかもしれませんよ!」
「構いません。僕は自分に正直になると決めました。わがままになると決めました。僕をこうしたのはヴェリテ様です。」
「ジュスティス様…。」
「ヴェリテ様、帰りましょう。」
ジュスティスはヴェリテに手を伸ばした。
「どうか、僕と結婚してくださりませんか。
ヴェリテ様、貴方と共に生きていきたい。」
ヴェリテはジュスティスの手を握った。ジュスティスはヴェリテに優しく口付けした。
「ありがとう…。」
ヴェリテは今度こそ大きな声をあげて泣き出してしまった。
「帰るのね。」
「はい、お世話になりました。」
「いつかこうなる気はしていたのよ。」
マザーは優しく微笑む。
「でも殿下は悲しみそうね。あなたにずいぶん懐いてたから。」
「本当にそうだ。」
ロジエは冗談めかして口を尖らせた。
「ロジエ様にも本当にお世話になりました。感謝してもしきれません。」
「ヴェリテ様に会えて本当によかったです。短い間でしたが、とても楽しかった…。あちらで嫌なことがあったらいつでもレベス王国に来てください。歓迎の準備は整えておきますので。」
「そんなことは一生ありません!」
ジュスティスがまたロジエを睨みつけるのを見て、ヴェリテは久しぶりに大笑いした。
馬車はいよいよ出発する。
帰っても嫌な顔をされないだろうか。
また家族だと認めてくれるだろうか。
しかし、そんな不安を打ち消すほど、今はジュスティスと共にいられて幸せだった。
ジュスティスが皇子としての自分ではなく、ヴェリテとして自分を求めてくれたことが嬉しかった。
教会がどんどんと小さくなっていく。
「ありがとうございました」
ヴェリテは小さく呟いた。
「ヴェリテ様は俺の婚約者です!」
ジュスティスがロジエを睨む。
ロジエはふっと笑って
「予想よりも早いお出迎えだったな」
と呟いた。
「ジュスティス様!?どうしてここに?」
ヴェリテが驚きのまま叫ぶとジュスティスはヴェリテをギュッと抱き寄せた。
「もちろん、ヴェリテ様と共に帰るためです。とても心配しました。陛下も王太子殿下も待っておられます。さあ、帰りましょう。」
頬に雫がこぼれ落ちた。それがジュスティスの涙だと気づくのに時間はかからなかった。
「それは無理です。」
ヴェリテは俯いた。泣きそうなのを知られたくなかった。
「何故ですか!」
「僕が偽物の皇子だからです。ファクティス様を見た時、僕は自分が誰なのか分からなくなってしまいました。僕は皇后様のような金髪も紫の瞳も持っていないのです。陛下のような銀髪も赤い瞳も持っていません。
…僕はいったい誰の子供なのでしょうか。
偽物があそこで暮らしていてもいいことなどありません。
陛下達も本物の家族の方が喜ばれるはずです。
僕はあそこにいてはダメなのです。」
ヴェリテの視界がぼやけていく。分かっていたことだが、自分で自分のことを偽物だと言うのは辛かった。
「ですが、今まで王宮で暮らしてきた日々は幸せでした。美しい思い出ばかりです。陛下もお兄様も、そしてジュスティス様もとてもお優しかった…。僕には勿体無いほどに。
身勝手に出て行ってしまった僕をお許しください。今まで本当にありがとうございました。」
ヴェリテは精一杯の笑顔を向ける。うまく笑えているか自信がなかった。
「ヴェリテ様は偽物などではありません!家族は髪の色や瞳の色などで決まるのではありません。僕は皇后様と同じ髪色ですが、血縁関係などありません!ここにいる子供たちの多くが茶髪に茶目ですが、ヴェリテ様の家族ではないでしょう?そんなの関係ありません!
ヴェリテ様、もしあなたが本当に陛下の御子ではなかったとしても、僕はあなたと一緒になりたい。」
「ジュスティス様!それでは公爵家を継げなくなるかもしれませんよ!」
「構いません。僕は自分に正直になると決めました。わがままになると決めました。僕をこうしたのはヴェリテ様です。」
「ジュスティス様…。」
「ヴェリテ様、帰りましょう。」
ジュスティスはヴェリテに手を伸ばした。
「どうか、僕と結婚してくださりませんか。
ヴェリテ様、貴方と共に生きていきたい。」
ヴェリテはジュスティスの手を握った。ジュスティスはヴェリテに優しく口付けした。
「ありがとう…。」
ヴェリテは今度こそ大きな声をあげて泣き出してしまった。
「帰るのね。」
「はい、お世話になりました。」
「いつかこうなる気はしていたのよ。」
マザーは優しく微笑む。
「でも殿下は悲しみそうね。あなたにずいぶん懐いてたから。」
「本当にそうだ。」
ロジエは冗談めかして口を尖らせた。
「ロジエ様にも本当にお世話になりました。感謝してもしきれません。」
「ヴェリテ様に会えて本当によかったです。短い間でしたが、とても楽しかった…。あちらで嫌なことがあったらいつでもレベス王国に来てください。歓迎の準備は整えておきますので。」
「そんなことは一生ありません!」
ジュスティスがまたロジエを睨みつけるのを見て、ヴェリテは久しぶりに大笑いした。
馬車はいよいよ出発する。
帰っても嫌な顔をされないだろうか。
また家族だと認めてくれるだろうか。
しかし、そんな不安を打ち消すほど、今はジュスティスと共にいられて幸せだった。
ジュスティスが皇子としての自分ではなく、ヴェリテとして自分を求めてくれたことが嬉しかった。
教会がどんどんと小さくなっていく。
「ありがとうございました」
ヴェリテは小さく呟いた。
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