王子様から逃げられない!

一寸光陰

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「さっき王太子殿下とお話ししていたようだけど、何かあった?」

ダニエルが駆け寄ってくる。

「ちょっとぶつかっただけ。でも優しい人だったから大丈夫。」

「そっか。殿下とは同じクラスだから良好な関係を築いて損はないよ」

「やっぱり同じクラスなんだ…。じゃあエディスとバンも?」

「そうだよ。高位貴族の子供たちが集まってるクラスだからね」

「ダニエルは?」

「僕も同じクラスだよ」

「え!ダニエルも高位貴族だったのか?ごめん、今まで無礼な真似をしてた気がする…」

「気にしないで!僕は男爵だし!ただこの学園に寄付をたくさんしてるからあのクラスに入れられたんだと思う。だから成金野郎なんて言われちゃったりして…」

はは、とダニエルは乾いた声で笑う。

「いやいや、お金を稼ぐのって簡単なことじゃないからな!実力主義ってことじゃん!ダニエルの家はすごいんだな」

「そんなこと滅多に言われないから嬉しいよ。ありがとう」

ダニエルは可愛くて頼りになる。
ダニエルエンドがあるならダニエルを選びたいところだが、確実に家に帰るためにはそんな不確かなことしてられない。
一応ダニエルはサポートキャラだったはずだから。



「皆さん、今日は転入生をご紹介します。リリスさんです。」

「初めまして、リリスと申します。聖魔法の力に目覚めてこの学園に入学することができました。慣れないことも多いと思うので優しくしてくれると嬉しいです。これからよろしくお願いします」

俺がぺこりとお礼するとまばらに拍手が起こった。
拍手しているのは主に王太子たちとダニエルだ。どうやらそれ以外の人たちからは歓迎されていないようだ。

(ダニエルも成金野郎って言われるって言ってたしな…。平民の俺がここにいるなんて場違いだって思ってる奴もいるに違いない)

窓側の空いている席に座るとすぐに授業が始まった。
最初の授業は歴史だ。ゲームの知識を身につけ、脱出の手掛かりになるかもしれない。
俺は一言一句逃さぬように授業を受けた。


「おつかれ。最初の授業はどうだった?」

「あ、るしふ…王太子殿下!お気遣いありがとうございます」

「ふふ、ルシファーでいいよ。この名前は気に入ってるんだ。それに学園では皆んなと対等な立場でいたい」


▷そんな!恐れ多くて呼べません!
 ルシファー様、これからよろしくお願いします!
 無理をおっしゃらないでください、殿下。

「えっと、ルシファー様、これからよろしくお願いします」

ルシファーは頷いて微笑んだ。昔見た洋画の俳優のようで思わず見惚れてしまう。

(この人と友達になるか、結ばれるかしなきゃいけないんだよな。こんなにイケメンだとそばにいるだけで息が詰まりそうだ)

恭弥は友情エンドのため、まずはルシファーのカッコ良さに慣れることにした。
 
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