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エディスからもらった分厚い本を開く。
異世界にまつわる話だけでなく、霊や前世など少しオカルトじみた話も多く載っていた。
“かの名君、レオポルト2世もまた、前世の記憶を持つとされている。彼の前世は当時の社会より遥かに発達した世界のものであり、それらの知識を活かして善政を行った。レオポルト2世が自国、『シュトール王国』で奴隷制度を廃止し、階級制度が弱まったのは有名であり、学校という教育機関が発達したのも功績に大きい。そんな彼は前世に囚われていたと言われている。彼は死の直前、『ニクジャグ』が食べたいと何度も漏らした。しかし、誰もニクジャグが何なのかは分からなかった。後に、前世での好物だったのではないかと推測されるようになった。”
「ニクジャグ…。もしかして肉じゃが?」
レオポルト2世も日本人だったのかもしれない。でも、そうだとすると、彼は日本に帰ることができないまま、死を迎えてしまったことになる。
「そんなこと…認めたくない。レオポルトは転生で、俺は憑依だから。だから、大丈夫だ」
自分に言い聞かせるように呟く。
もっと情報が必要だ。もっとこの世界について、魂の存在について知る必要がある。
「もう読み終わったのか?貸したのは昨日だったはずだが」
「面白くて一気に読み終わりました。本当に貸してくださってありがとうございました」
「特に何が面白かった?」
「レオポルト2世についての話ですかね…。僕はレオポルト2世について詳しく知らないのですが、一体どんな人なのですか?」
「レオポルト2世は今から500年前にシュトール王国の王だった人物だ。類稀なる知識と予知で国を拡大したとされている。」
「予知?」
「ああ。レオポルトは次の日の天気を正確に当てることができたそうだ。さらに飢饉や洪水まで予知したと言われているが、本当かどうかはわからない。脚色されてるところもあるだろうからな。
でも彼が学者としても多才だったのは確かだ。僕たちの使っている数学の公式の多くはレオポルトが発見したものだからな」
「何やら盛り上がっているみたいだね」
ルシファーが興味深そうに寄ってきた。
「エディス様がたくさん本を貸してくださって、それについて語り合っていたんです」
「どんな本を読むんだい?」
「少しオカルトじみているかもしれませんが、前世や異世界についてです」
「異世界ね…。そういえば王家が保管している書物の一つに異世界についての本があったな」
「本当ですか!?」
「国宝だから簡単には貸せないけどね。この国の初代王妃は異世界から来たとされているのは知っているかい?」
「知りませんでした」
「初代王妃はリーシャという人なのだが、その人もまた、市民の教育に熱心でレオポルト2世よりも早くに教育の必要性を訴えていた。そして議会と言う概念を作ったのも彼女だよ」
(間違いない…!彼女もきっと異世界人だ!)
「その王妃の日記があるんだ」
「読みたい!何とか読めませんか?」
俺は必死に懇願する。その日記を読めば何か掴める気がする。
「王家の人間しか読めない決まりになっているんだ。リリスが王家に入るなら別だけど」
「おい、こんなところで堂々と口説くんじゃない」
エディスが呆れたような声を出す。
ふと視線を感じ、チラリと横を見る。
ステファニーが今にも俺を射殺しそうな目で見つめていた。
俺はルシファーの熱烈な瞳よりも、ステファニー侯爵令嬢の氷のような視線が突き刺さって痛かった。
異世界にまつわる話だけでなく、霊や前世など少しオカルトじみた話も多く載っていた。
“かの名君、レオポルト2世もまた、前世の記憶を持つとされている。彼の前世は当時の社会より遥かに発達した世界のものであり、それらの知識を活かして善政を行った。レオポルト2世が自国、『シュトール王国』で奴隷制度を廃止し、階級制度が弱まったのは有名であり、学校という教育機関が発達したのも功績に大きい。そんな彼は前世に囚われていたと言われている。彼は死の直前、『ニクジャグ』が食べたいと何度も漏らした。しかし、誰もニクジャグが何なのかは分からなかった。後に、前世での好物だったのではないかと推測されるようになった。”
「ニクジャグ…。もしかして肉じゃが?」
レオポルト2世も日本人だったのかもしれない。でも、そうだとすると、彼は日本に帰ることができないまま、死を迎えてしまったことになる。
「そんなこと…認めたくない。レオポルトは転生で、俺は憑依だから。だから、大丈夫だ」
自分に言い聞かせるように呟く。
もっと情報が必要だ。もっとこの世界について、魂の存在について知る必要がある。
「もう読み終わったのか?貸したのは昨日だったはずだが」
「面白くて一気に読み終わりました。本当に貸してくださってありがとうございました」
「特に何が面白かった?」
「レオポルト2世についての話ですかね…。僕はレオポルト2世について詳しく知らないのですが、一体どんな人なのですか?」
「レオポルト2世は今から500年前にシュトール王国の王だった人物だ。類稀なる知識と予知で国を拡大したとされている。」
「予知?」
「ああ。レオポルトは次の日の天気を正確に当てることができたそうだ。さらに飢饉や洪水まで予知したと言われているが、本当かどうかはわからない。脚色されてるところもあるだろうからな。
でも彼が学者としても多才だったのは確かだ。僕たちの使っている数学の公式の多くはレオポルトが発見したものだからな」
「何やら盛り上がっているみたいだね」
ルシファーが興味深そうに寄ってきた。
「エディス様がたくさん本を貸してくださって、それについて語り合っていたんです」
「どんな本を読むんだい?」
「少しオカルトじみているかもしれませんが、前世や異世界についてです」
「異世界ね…。そういえば王家が保管している書物の一つに異世界についての本があったな」
「本当ですか!?」
「国宝だから簡単には貸せないけどね。この国の初代王妃は異世界から来たとされているのは知っているかい?」
「知りませんでした」
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「おい、こんなところで堂々と口説くんじゃない」
エディスが呆れたような声を出す。
ふと視線を感じ、チラリと横を見る。
ステファニーが今にも俺を射殺しそうな目で見つめていた。
俺はルシファーの熱烈な瞳よりも、ステファニー侯爵令嬢の氷のような視線が突き刺さって痛かった。
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