22 / 51
第一章 恋愛編
第22話 退院のお祝い(前編)
しおりを挟む
《ピコン!》
スマートフォンが軽やかに通知音を響かせ、私は急いで画面を確かめた。
そこには、Moblie Messengerアプリ『Lane』より、拓弥君からのメッセージが届いていた。
息を飲んでその内容に目を通す。
『ようやく退院できた!』
彼の退院の報せを聞いて、私は心が躍った。
私は拓弥君が倒れた時の様子を目撃していたため、彼がここまで回復できたことは、奇跡的な出来事だと感じていたからだ。
そして、彼が無事に退院できたことを知り、私は感謝と喜びに胸を打たれた。
『良かったね。退院おめでとう!』
私は素直な気持ちを、そのままシンプルな文章で返信した。
しばらくすると、再び彼からの返信が届いた。
『退院したらお祝いして貰えるって話だったけど、二人でこられそうかな?』
私は、その内容に戸惑いを隠せなかった。
恵美さんとはあまり気が合わなそうだし、関係のない新田さんを連れて行くのもなんだか気が引ける。
でも、彼の退院をお祝いしたい気持ちは否定できなかった。
前回会った時に、そういう話になっていたし…。
(二人きりでお祝いできるなら、最高だったのに…。)
しかし、私たちはお互いにパートナーがいる立場であるため、二人きりで会うことは問題があるだろうと思った。
『お祝いしたい気持ちはあるんだけど、私が彼を連れてきたら、拓弥君が嫉妬しちゃうと思いますけど?』
私は、少し意地悪な文章内容にして彼に返信した。
『そりゃ妬くよ。でも、俺も恵美がいるし、言えた立場じゃないけどね。ていうか、真由。その文章は悪意こもってない!?』
『ごめんなさい。こもってるわ。』
本当は、恵美さんのことも拓弥君には話しておきたかったけど、彼を心配させてしまうのは気の毒なので、恵美さんのことには触れないでおいた。
『会場や内容、日にちはこちらで考えておくわね。』
『ありがとう。任せるよ。』
結局、拓弥君のお祝いを新田さんを交えて四人でやることが決まった。
◇ 居酒屋 よっちゃん ◇
拓弥君から退院の連絡を貰った次の日、新田さんに誘われて、彼の行きつけの居酒屋に来ていた。
「よっちゃん、焼き鳥とホッケと生追加で!」
「あいよ!喜んで!」
「で、その同級生の退院をお祝いする為に、俺が呼ばれた訳だ…。」
「そうなんです。面倒なことに巻き込んでごめんなさいね。」
「そんなことないさ!真由ちゃんとデートできるチャンスが増えるし、全然構わないよ。」
「ありがとうございます。新田さん。」
「へへっ。真由ちゃんに礼を言われると照れるんだよなぁ。」
「よっちゃん、アスパラ巻も追加で!」
「あいよ!喜んで!」
「真由ちゃん、バーベキューならどうよ?飲み屋とか飯屋だと畏まっちゃうだろ?肉焼きながら、ビール飲んで騒げば、不慣れな相手でも何とかなるさ!」
「そうですね!いい考えだと思います。」
「焼くのは任せてよ。肉だろうが、焼きそばだろうが、何でもこいよ!」
「その時の新田さんの姿が目に浮かびます。」
「あはは。そうでしょ?バーベキューは任せてよ。」
「よっちゃん、お勘定!」
「あいよ!ありがとう!」
新田さんの性格なら二人相手でも上手くやってくれるだろう。
でも、問題は私なのよね。
私が拓弥君に新田さんとの様子を見せるのは気が引けるし、拓弥君達の親しげな様子も見たくない気がする…。
帰りのタクシーではそんなことを考えながら移動していた。
「新田さん。いつもご馳走してくれてありがとうございます。」
「いいって!俺は真由ちゃんと二人きりで酒飲んだり、美味い飯食えて最高なんだから。」
私のマンションの前でタクシーは停車する。
新田さんに手を振りタクシーを見送った。
新田さんは、本当にいい方だと思う。私はこのまま彼について行けばいいのか、それとも…。
ほろ酔い気分であれこれ考えてしまうのであった…。
スマートフォンが軽やかに通知音を響かせ、私は急いで画面を確かめた。
そこには、Moblie Messengerアプリ『Lane』より、拓弥君からのメッセージが届いていた。
息を飲んでその内容に目を通す。
『ようやく退院できた!』
彼の退院の報せを聞いて、私は心が躍った。
私は拓弥君が倒れた時の様子を目撃していたため、彼がここまで回復できたことは、奇跡的な出来事だと感じていたからだ。
そして、彼が無事に退院できたことを知り、私は感謝と喜びに胸を打たれた。
『良かったね。退院おめでとう!』
私は素直な気持ちを、そのままシンプルな文章で返信した。
しばらくすると、再び彼からの返信が届いた。
『退院したらお祝いして貰えるって話だったけど、二人でこられそうかな?』
私は、その内容に戸惑いを隠せなかった。
恵美さんとはあまり気が合わなそうだし、関係のない新田さんを連れて行くのもなんだか気が引ける。
でも、彼の退院をお祝いしたい気持ちは否定できなかった。
前回会った時に、そういう話になっていたし…。
(二人きりでお祝いできるなら、最高だったのに…。)
しかし、私たちはお互いにパートナーがいる立場であるため、二人きりで会うことは問題があるだろうと思った。
『お祝いしたい気持ちはあるんだけど、私が彼を連れてきたら、拓弥君が嫉妬しちゃうと思いますけど?』
私は、少し意地悪な文章内容にして彼に返信した。
『そりゃ妬くよ。でも、俺も恵美がいるし、言えた立場じゃないけどね。ていうか、真由。その文章は悪意こもってない!?』
『ごめんなさい。こもってるわ。』
本当は、恵美さんのことも拓弥君には話しておきたかったけど、彼を心配させてしまうのは気の毒なので、恵美さんのことには触れないでおいた。
『会場や内容、日にちはこちらで考えておくわね。』
『ありがとう。任せるよ。』
結局、拓弥君のお祝いを新田さんを交えて四人でやることが決まった。
◇ 居酒屋 よっちゃん ◇
拓弥君から退院の連絡を貰った次の日、新田さんに誘われて、彼の行きつけの居酒屋に来ていた。
「よっちゃん、焼き鳥とホッケと生追加で!」
「あいよ!喜んで!」
「で、その同級生の退院をお祝いする為に、俺が呼ばれた訳だ…。」
「そうなんです。面倒なことに巻き込んでごめんなさいね。」
「そんなことないさ!真由ちゃんとデートできるチャンスが増えるし、全然構わないよ。」
「ありがとうございます。新田さん。」
「へへっ。真由ちゃんに礼を言われると照れるんだよなぁ。」
「よっちゃん、アスパラ巻も追加で!」
「あいよ!喜んで!」
「真由ちゃん、バーベキューならどうよ?飲み屋とか飯屋だと畏まっちゃうだろ?肉焼きながら、ビール飲んで騒げば、不慣れな相手でも何とかなるさ!」
「そうですね!いい考えだと思います。」
「焼くのは任せてよ。肉だろうが、焼きそばだろうが、何でもこいよ!」
「その時の新田さんの姿が目に浮かびます。」
「あはは。そうでしょ?バーベキューは任せてよ。」
「よっちゃん、お勘定!」
「あいよ!ありがとう!」
新田さんの性格なら二人相手でも上手くやってくれるだろう。
でも、問題は私なのよね。
私が拓弥君に新田さんとの様子を見せるのは気が引けるし、拓弥君達の親しげな様子も見たくない気がする…。
帰りのタクシーではそんなことを考えながら移動していた。
「新田さん。いつもご馳走してくれてありがとうございます。」
「いいって!俺は真由ちゃんと二人きりで酒飲んだり、美味い飯食えて最高なんだから。」
私のマンションの前でタクシーは停車する。
新田さんに手を振りタクシーを見送った。
新田さんは、本当にいい方だと思う。私はこのまま彼について行けばいいのか、それとも…。
ほろ酔い気分であれこれ考えてしまうのであった…。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる