吸血鬼になった私の生き方探してもらっていいですか?

ありよりの蟻

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魔の寮

満月

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「それで、貴方の正体をここで見せてくれるんですか」

彼の銀色の瞳を見つめる。

「あぁ、見せてやる。けど、すぐに見せんのもつまらないだろ」

彼は…[キフ]という名の少年は私と違い自身の意思で姿を自由に変えることができるのだろう。

「あんたはここで待ってろ」

「何でですか?」

「どんな反応を見せるのか見てみたい……ってリアラが」

「またですか?」

[リアラ]は魔女だ、恐らく魔法の類いの何かで私たちをどこからか見ているのだろう。

キフは私にそう言うと、更に森の奥へと進み、姿を消した。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


──キフが姿を消してからどのくらいたっただろうか。

辺りは静寂につつまれ、人の気配はない。

思い返せば、この静寂が私にとっては当たり前だった。
そう

パキッ

背後から、まだ離れた場所から枝の折れた音がする。

振り返るが何もいない。

…いや、いる。

まだ遠いが、ゆっくりと此方に近づいて来ているのがわかる。

狼だ、狼が私に向かって確実に向かってきている。

昼に獲物を捕らえ損ね、腹を空かせた狼が日が沈み、辺りが暗くなり動きの鈍くなった動物を狙うことは少なくない。

そして、今回獲物えさとして狙われているのが私なのだろう。こうしたことも森に身を潜めている私にとっては少なくないのだ。

私は吸血鬼だ。襲われても簡単に追い払うことは出来るが、群れで狩りを行う狼を一匹ずつ相手にするのは少々面倒だ。それに、私は命を奪うことや怪我を負わせることに抵抗がある。腹を空かせた狼は少々振り払ったぐらいで引き下がってくれるものでもないのだ。手荒な真似は狼であろうとしたくない。しかし、私は狼…いや全てに対して使うことの出来る能力を持っている。互いが傷付かず、平和的にその場から退いてもらうことぐらいにしか使うことは出来ないが…。

狼は相変わらず、ゆっくりと此方に近づいてきている。

「すまないが、お前の晩飯にはなってやれないんだ…」

───私はずっと生きる意味を探している。兄が自らの命を私に託したあの日から。何百年も。


狼がすぐそこの木の幹と幹との間まできた。

だが、その狼は私が今まで見たことのあるものより遥かに大きい。それにこいつは[ハサラン]周辺の森に生息している狼ではない。私が見たことのある狼は主に灰色だが、目の前にいるこいつは黒いのだ。全身が闇に紛れるように真っ黒なのだ。

───幹を抜けるとそいつは勢いよくこちらに駆け出してきた。

その瞬間、私はふと考えたのだ。

何故、こいつは私の目の前に来るまで走り出さなかった?

何故、こいつは群れではなく一匹でここに来た?

何故───私に……。


そいつが飛び掛かかってくる瞬間…


私は、能力を使った。

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