吸血鬼になった私の生き方探してもらっていいですか?

ありよりの蟻

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騒がしい人

ひとりぼっちと戸惑い

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街に入ってしまえば、私を取り囲むのは、人、人、人、人。
「(無駄に出歩かないで欲しい…)」
いつも思うのはこれだ。
なるべく、人と目を合わせないように下を向いて歩く、最近では見ているだけで血の流れなどがくっきりと見えるようになってしまった。
そんなものをずっと見ていたら自我が押さえられなってしまうんではないかと怖くて前を見れない。
だから、こんなこともしばしば、
「あっ、すいません…」
たまに人とぶつかることもある…
「あっ、ごめんなさい!ごめんなさい!」
「いえ…こちらこそすみません…」
前言撤回。少女は、よく人とぶつかる
特に今日は人が多い気がするのは気のせいだろうか。
視界が歪む。
「気持ち悪い…」


人気のない路地裏に入って座り込む
路地裏は好きだ、日の光も人の目も届かない。
それに、山の中の静寂とはまた違い、人の声が遠くに聞こえ孤独感が薄れる。
少女は孤独になりたいわけではない、そうならざるをえないのだ。

にゃー。

沈み始めた気分を遮るように猫が鳴いた。
いつの間に来たのだろうか、手を差し出すとすり寄ってきた。
猫は好きだ、自由気ままに生きている感じがして
「お前も一人なの?」

にゃー。

返事をするように一声鳴くと猫は塀を飛び越えどこかへ行ってしまった。

「ほんと、羨ましいよ」
ここでじっとしてても何も始まらないよ、そういわれた気がした。





「これで、やっと帰れる…」
日没前に買い物が終わってよかったと肩を撫で下ろした。
両手には大きな紙袋、中身は保存の効く食料が入っている。
だが、恐らく普通の人間ではこの量で一ヶ月は恐らくもたないだろう。
普通の人間では。
体質上、食事をあまりとらなくても生きていけるがとらないと生じる問題もある。
だから、仕方なくとっているのだ、そう、仕方なく。

「それにしても…」
この都も栄えたものだ、かつてのあのことなど誰も知らないのだろう…。

都の中心へと向かう人々と逆方向に歩き、来た道を戻る。
「あの!すいませぇぇぇぇぇん!!」
人の騒ぐ声とも、しばらくおさらばできる。
「おぉぉぉぉい!!!!」
こんなうるさい声も山では聞けないんだ、そう思えばうるさくもなんともない。
「そこの、お姉さぁぁぁぁぁん!!!」
さっきから、誰かを呼んでいたんだなこの声主は…でもこの声どこかで聞き覚えのある気が…。
「ちょっとぉ!なんで、止まってくれないですか!」
声がすぐ後ろから聞こえてきて振り向く。
すると、街に来るときに猪を追いかけて目の前を通りすぎた少年が息を切らして後ろに立っていた。
「なんで、全然止まってくれないんですかぁ…」
どうやら、少年は私を呼んでいたらしい。

でも、どうして…?

「俺、あんたを探してたんすよ」
そう言って少年が微笑んだ。



「え、どうしてですか?」
戸惑いが隠しきれなかった。
「(私の正体を知っているの?
なら、かつて私と面識があったはず)」
思考を巡らせるが、今日より前に面識はない。
「(ではなぜ、何故私を探し、呼び止めた…?)」

「あっ、知りたいですか?」
考えを遮って少年がにやっと笑う。
そして、彼は「おーい!」っとすぐそばの茂みに向かって叫んだ。
すると…

にゃあ

昼間みた猫が茂みから出てきた。
この猫は少年のだったのかと私の中で勝手に納得していると、少年は猫を抱き上げた。
「こいつが教えてくれたんすよ!あんたのこと!」

これを聞いた途端、あっ、変な人だと一瞬で私は思った。
動物を使って、変な理由をつけ話しかけてくる、いたずらか何かだろう。
そのいたずらのターゲットにたまたま自分が選ばれて遊ばれているだけだろう、私はそう思ったのだ。
「へ、へぇ…そうなんだ。じゃあ、私急いでるから。」
日が落ちてきた、沈む前に急いで帰らなければならない。
「おい!信じてないだろ!ほんとなんだよ!こいつがあんたが俺らと似たような匂いがするって教えてくれたんだよ!」

私はこの時早く帰ろうと必勝だった。
「あの、人が動物と話せるわけないじゃないですか」
そして、立ち去ろうとした。
「って、まだ話終わってねーだろ!」
腕を掴まれた、立ち去れない。
「私の話は終わりました」
「俺は終わってない!」
しかも、しつこい。
「私、日が沈む前に帰らないと叱られるので!」
すると、腕を掴んでいた手の力が緩んだ。
ようやく、諦めたかと安堵していると
「これから山に入るのか?」
と言われた。
確かに夜の山は獣が出て危険だが、少女にとっては夜の獣も昼間の猫と変わらない。
それに、何故か少女はここでは山育ちだから大丈夫と言えば切り抜けらるだろうと思った。
昔、とある馬鹿にそう言われたからだ。
「はい、でも私は山育ちな…」
「女の人が一人なのは危ないから送っていきますよ!」
見た目と態度に反してこの少年は思ったより紳士であった。
だが、今の少女にとっては迷惑でしかない。
「結構です」
「送ります」
「迎えがいるので」
「じゃあ、迎えの人がいるところまで送っていきます」
なかなか、しぶとい
「あの…ですから!送ってくだらなくていいんで…」
ふと、さっきより周りが暗くなっていることに気づいた。
太陽が沈んでいく…恐らくあと数分で完全に見えなくなり辺りは暗くなる。
「まずい…」
話してる暇はない、急いで人目のつかない場所に行かなければ…。
「え?何が?」
少年がそう言った気がするが私はは走り出していた。


日没まで時間がない。
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