吸血鬼になった私の生き方探してもらっていいですか?

ありよりの蟻

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騒がしい人

逃走

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人気のないところを探して走る。
どこか角や、物陰で曲がってしまえば姿を消すことは簡単だ。
正確には見えないところに隠れるだけなのだが。

そもそも、こんな時間になるまで都にいる予定ではなかった。
何もかもこの変な少年のせいだ。
「おい!話は終わってないぞ!てか、今から山に入るのは危なねーって!」
返事をしている暇はない。
「門限か何かあるのか!?そんなに急いで帰らなきゃ怒られるとかなら、俺が謝るから!」
今は少年の優しさが迷惑でしかない。

それにしてもしばらく、走っているのだが少年の走る速さが変わる様子がない、少し前から坂道を走っているはずだ。
人間であれば、バテてしまっていいはずだし、それでなくてもかなりの速さで走っている。

「もう、いっか…」
そう呟いて地面を蹴る脚に力を込める。
途端に人間では出せないほどの速さで前に進む。
後ろを振り返ると少年がどんどん小さくなっていく。
ここであの少年を振り切ってしまえば話をさせろだの言わなくなるだろう。
私は自分が普通の…いや、人間ではないと分かれば恐れ近寄ってこなくなるだろう、そう思ったのだ。
しかし、次の瞬間予想外の出来事が起こった。

「あー、やっぱりあんたも人間じゃないんだ」

後ろから少年の声が聞こえた、常人ではこの距離では聞こえないだろうが私にははっきりと聞こえた。
再度後ろを振り向く。
すると、少年が凄まじい速さで近づいてきているのがわかった。
距離がどんどん狭まっていく。
この、まっすぐの山道を走っているだけでは振り切ることは不可能だろう。
大きく息を吸う、そして立ち止まる。
そして、こちらへ向かってくる少年へ笑顔を向けた。

「どんなに頑張っても君じゃ私に追い付けないよ」

そう言って先程より脚に強く力を込め、上へ飛ぶ。

次の瞬間木の上へと飛び乗る。
木から木へと飛び移り森の奥へと進む。

「うへぇ…マジかよおい」
だが、少年は全く追いかけるのを諦める様子などなく、先程と同じ速さで地を蹴り追いかけてくる。
むしろ…
「さっきより、楽しそうに追いかけてきてるじゃないの…」


日が沈むまであと30秒。
少年は確かに私へ追い付くことは出来ない、だが追い付くことは出来なくても少年が姿を見失うほどの距離をあけることもこの数十秒では出来ないだろう。
どうするべきかを考える。

あと15秒

光が消えて闇に生きるものの時に変わる。

あと10秒

少女が木から飛び降りる。
「来ないで!それ以上近づかないで!」
そう叫ぶと少年が止まった。

あと5秒

この姿を誰かに見せるのは何年ぶりだろうか。
そう思いながら目を閉じる。

日が完全に沈んだ。
月が雲で隠れ、辺りが暗くなる。
少年は変化した姿を見てどんな顔をするだろうか。
そう思いながらゆっくりと目を開ける。
まるで、それと合わせるように月が雲から姿を出し、辺りが月明かりに照らされていく。
木々の間から差し込む光が少年と私を照らす。

少女の姿が露になる。
月明かりに照らされた少女の姿は、昼間とは変わり黒く長い髪は白く、月に照らされ銀色に耀き、澄み渡る深い海の色をした青い瞳は血の色のように赤くなっていた…まるで、さっきいた少女とは全く違う人がいると思わせてしまうほどに。

私から少年の顔は暗くてよく見えない。
だが、私にはその方が都合がよかった。
怯えた顔を見なくて済む、そう思ったからだ。
少女は胸に手を当て少年へ向けて言う。

「私は、吸血鬼。ハサランで暮らす最後の魔の一族よ。」
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