吸血鬼になった私の生き方探してもらっていいですか?

ありよりの蟻

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騒がしい人

理由

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月明かりに照らされた少女の髪を風が揺らす。

「あはは、良かったぁ…俺の勘違いじゃなかったぁ…」
そう笑いながら言うと少年はその場に座り込んだ。
そして、少年は少女ををじーっと見つめて
「あんた、すっげー綺麗なのな。まあ、昼間見たときも思ってたけど、また違う綺麗さがあるつーか…。てか、夜になるだけで見た目が変わるとかすげぇな!」
何百年振りかにこの姿を見せて怖がられないのは私にとっては予想外のことだった。
むしろ、綺麗だの凄いだの言われるとは全く思っていなかったのである。
なんと答えれば良いのかと言葉を探していると

「んでさぁ、何で俺があんたを追ってたかわかる?」
先程まで私の容姿を見た感想を述べてきた少年が真剣な眼差しで少女を捉える。

そうだ、そもそもは何故自分を追ってきていたのか少女はそれが知りたかったのだ。
だが、
「わからない…」
そう、全く検討がつかなかったのだ。
だが、自分を追ってきていた少年の走る速さ、辺りが薄暗くなってきてもしっかりとこちらを捉えて話さない眼からして少年がただの人間ではないということは容易に予想できた。

「ははっ、そりゃそうか」
少年は無邪気な笑みを浮かべて笑いかける。
「実はな、意外にも俺も人間じゃないんだ」
いや、意外でもなんでもない。
そもそも吸血鬼の速さに付いてきているのだからそれぐらい言われなくてもわかっていると少女は言いたかったが少年があまりにも得意気に言っているので言わないことにする。
「それで、貴方が人間じゃないのはいいとして私を追いかけてきた理由は何?」
「あっ、俺が人間じゃないってのはそんなに驚かないんすね…」
少年があからさまにがっかりするので、少女はほんの少し気の毒に思った。
「んーと、そうっすね…。俺ら、人間じゃない人を探して旅をしてて…。あれ?これでいいのか?そもそも人間じゃないんだから、えっと、人間じゃない…やつを…」
何やら、ぶつぶつと少年が喋っているのが聞こえてくるが話がまとまっていないので意味を理解するのが難しい。
だが、さっき少年が喋っていたことから僅かながらわかったこともある、一つ[少年は魔の一族を探して旅をしている]ということ、二つ[「俺ら」という言葉から他にも少年と旅をしている人がいる]、ということぐらいだ。

「じゃあ、貴方の他にも魔の一族の人がいるの?」
まだ、話がまとまらずにぶつぶつ言っている少年へ向け言葉を投げる。
「ん?あぁ、そうだぜ?俺の他にも…」
少年がそこまで話したところで少年の肩に後ろから手が置かれる。
すると手の主は少年の耳元へ顔を近づけ
「君の言葉の紡ぎ方じゃ、千年あっても彼女に理解してもらうのは不可能だよ」
その瞬間少年が「んだと、てめぇ余計なお世話だ!」と言っていたがそんなのを気にする様子もなく手の主はこちらへ一歩近づくすると姿がはっきりと見えた。

見た目から恐らく二十前後の年の頃であろうか、腰まで届いている長い金色の髪は後ろに束ねられ、髪止めには珍しい石が使われており月明かりに照らされ輝いている。顔立ちは整っていて、服はハサランの都では見たことのない形状と刺繍が施されてある。
それは、明らかにここの住民ではないことを意味している。

「初めまして、私の名はリアラ・エルネ。見た目から察するに貴女を吸血鬼とお見受けしました」

突然現れて名を名乗る、[リアラ]という女性を少女はじっと見つめる。
見たところ、普通の人間に見えるが。

彼女は微笑む。
そして、続けて言った
「私は魔女です」
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