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騒がしい人
魔女
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「まぁ、そこに座っていてくれ。今お茶を…あっ、吸血鬼だとお茶は飲めないのだろうか」
リアラがキッチンでお茶の用意をしている。
そもそも、ここはどこかというと、少年とリアラの共同ハウスと言ったところらしい。
そして、私が何故ここにいるかというとそれは30分前に遡る。
「私は魔女です」
辺りが静まり返る
「え…?」
なんて反応していいのかわからず、咄嗟に出た声がこれであった。
すると、リアラがクスクスと笑い出した。
「まあ、無理もないだろう。会ってすぐの得体も知れない人間に急に『私は魔女です』なんて言われてもな。私もきっと信じないよ」
確かに自分が古書で読んだ魔女や想像していた魔女は魔法を唱えながら杖を振ったり、箒で空を飛んだりなどするものかと思っていたのだが彼女は見た通り箒も持っていないし杖も持っているように見えない。
やはり、自分が想像している魔女は作者もわからない古書や童話の中だけのものなのかと考えていると、まるで思っていることを見透かすように
「あぁ、君や他の人達が思っているようなことは私はしないよ。だって、箒も杖も持ち運ぶのが面倒だろ?」
とリアラが口を挟む。
「だが、今のままだと私が魔女だってことを信じてもらえそうにないからね、ここだといつ旅人や都の者が来るかわからない、場所を移動しようか」
すると、リアラは私に背を向け歩き出してしまう。
しかし、こんな怪しい人についていっていいものかとその場から動かずにいると
「なーんか、美味しいとこってやつ?全部あの魔女に持ってかれたな…あ、俺が言っても信じねーと思うんだけど、あいつはほんとに魔女だぞ。それに移動するつってもすぐそこだ。それに万が一、お前ならもし何か変だとか思うことがあったらすぐ逃げられんだろ?」
少年が顔を覗き込んでくる。
ほんの僅かな時間しか、少年と話していないが私は直感でこの少年は嘘を言ってないと思うことができた。
何より嘘を付く人間は誰しも自分の意識とは関係なく瞳に何らかの動きが現れるのだ、一見まっすぐ此方を見ているように見えてもほんの少し揺れていたりと。
それがこの少年には全くない。
だから、私はついていってみようと思った。
何百年振りかに自分に興味を持ってきた人間と話をしてみたい。
そして、同じく本当に魔の一族なのだとしたらわかりあうことが出来るかもしれないと…
「少しでも、怪しいと思ったら私は姿を消します」
すると、私がついてきていないことに気づいたリアラがこちらを見ていた。
「ああ、そのときは好きにするといいさ」
「ついたぞ、ここだ」
と言われたが、そこには何もない。
さっきいた場所と何ら変わりはない山の中だ。
すると、
「すまないが、君の手を私の手の上に置いてはくれないか。私は少々面倒な呪文を使っていてね、これを潜るのに手っ取り早いのはこの方法なんだ」
そう言ってリアラが手を差し伸べてくる。
瞳をじっと見つめるがどうやら嘘はついていないようだ。
私は差し出された手にそっと手をのせる
「ありがとう。それともう一つ頼みがある。私がいいと言うまで目を瞑ってくれないか?私も久しぶりに客人を招き入れるからどんな反応をされるのか見てみたいんだ」
吸血鬼は感覚が鋭いため目を瞑って周りが見えなくても動くものや危険なものには体が反応して避けることができる。
なので、素直に目を閉じることにした。
リアラが私の手を軽く握ったのがわかった。
一歩、また一歩と彼女が歩いていく、それにしたがってゆっくりと手を引かれる。
すると、数歩歩いたところで幕を通ったような感覚があった。実際は何も触れていないのだが、感覚はそれに近い。
すると、先程まで暗い山の中にいて光は全くなかったはずなのにまぶたの向こう側のうっすらと明かりが見える。
「目を開けていいよ」
そう言われたのと同時にリアラの手が私の手から離されたのがわかった。
ゆっくりと目を開ける。
「待たせたね、ようこそスピリッツドーム[魔の寮]へ」
目の前にあるその建物はまるで城のようだった。
リアラがキッチンでお茶の用意をしている。
そもそも、ここはどこかというと、少年とリアラの共同ハウスと言ったところらしい。
そして、私が何故ここにいるかというとそれは30分前に遡る。
「私は魔女です」
辺りが静まり返る
「え…?」
なんて反応していいのかわからず、咄嗟に出た声がこれであった。
すると、リアラがクスクスと笑い出した。
「まあ、無理もないだろう。会ってすぐの得体も知れない人間に急に『私は魔女です』なんて言われてもな。私もきっと信じないよ」
確かに自分が古書で読んだ魔女や想像していた魔女は魔法を唱えながら杖を振ったり、箒で空を飛んだりなどするものかと思っていたのだが彼女は見た通り箒も持っていないし杖も持っているように見えない。
やはり、自分が想像している魔女は作者もわからない古書や童話の中だけのものなのかと考えていると、まるで思っていることを見透かすように
「あぁ、君や他の人達が思っているようなことは私はしないよ。だって、箒も杖も持ち運ぶのが面倒だろ?」
とリアラが口を挟む。
「だが、今のままだと私が魔女だってことを信じてもらえそうにないからね、ここだといつ旅人や都の者が来るかわからない、場所を移動しようか」
すると、リアラは私に背を向け歩き出してしまう。
しかし、こんな怪しい人についていっていいものかとその場から動かずにいると
「なーんか、美味しいとこってやつ?全部あの魔女に持ってかれたな…あ、俺が言っても信じねーと思うんだけど、あいつはほんとに魔女だぞ。それに移動するつってもすぐそこだ。それに万が一、お前ならもし何か変だとか思うことがあったらすぐ逃げられんだろ?」
少年が顔を覗き込んでくる。
ほんの僅かな時間しか、少年と話していないが私は直感でこの少年は嘘を言ってないと思うことができた。
何より嘘を付く人間は誰しも自分の意識とは関係なく瞳に何らかの動きが現れるのだ、一見まっすぐ此方を見ているように見えてもほんの少し揺れていたりと。
それがこの少年には全くない。
だから、私はついていってみようと思った。
何百年振りかに自分に興味を持ってきた人間と話をしてみたい。
そして、同じく本当に魔の一族なのだとしたらわかりあうことが出来るかもしれないと…
「少しでも、怪しいと思ったら私は姿を消します」
すると、私がついてきていないことに気づいたリアラがこちらを見ていた。
「ああ、そのときは好きにするといいさ」
「ついたぞ、ここだ」
と言われたが、そこには何もない。
さっきいた場所と何ら変わりはない山の中だ。
すると、
「すまないが、君の手を私の手の上に置いてはくれないか。私は少々面倒な呪文を使っていてね、これを潜るのに手っ取り早いのはこの方法なんだ」
そう言ってリアラが手を差し伸べてくる。
瞳をじっと見つめるがどうやら嘘はついていないようだ。
私は差し出された手にそっと手をのせる
「ありがとう。それともう一つ頼みがある。私がいいと言うまで目を瞑ってくれないか?私も久しぶりに客人を招き入れるからどんな反応をされるのか見てみたいんだ」
吸血鬼は感覚が鋭いため目を瞑って周りが見えなくても動くものや危険なものには体が反応して避けることができる。
なので、素直に目を閉じることにした。
リアラが私の手を軽く握ったのがわかった。
一歩、また一歩と彼女が歩いていく、それにしたがってゆっくりと手を引かれる。
すると、数歩歩いたところで幕を通ったような感覚があった。実際は何も触れていないのだが、感覚はそれに近い。
すると、先程まで暗い山の中にいて光は全くなかったはずなのにまぶたの向こう側のうっすらと明かりが見える。
「目を開けていいよ」
そう言われたのと同時にリアラの手が私の手から離されたのがわかった。
ゆっくりと目を開ける。
「待たせたね、ようこそスピリッツドーム[魔の寮]へ」
目の前にあるその建物はまるで城のようだった。
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