吸血鬼になった私の生き方探してもらっていいですか?

ありよりの蟻

文字の大きさ
5 / 8
騒がしい人

魔女

しおりを挟む
「まぁ、そこに座っていてくれ。今お茶を…あっ、吸血鬼だとお茶は飲めないのだろうか」
リアラがキッチンでお茶の用意をしている。
そもそも、ここはどこかというと、少年とリアラの共同ハウスと言ったところらしい。
そして、私が何故ここにいるかというとそれは30分前に遡る。


「私は魔女です」
辺りが静まり返る
「え…?」
なんて反応していいのかわからず、咄嗟に出た声がこれであった。
すると、リアラがクスクスと笑い出した。
「まあ、無理もないだろう。会ってすぐの得体も知れない人間に急に『私は魔女です』なんて言われてもな。私もきっと信じないよ」
確かに自分が古書で読んだ魔女や想像していた魔女は魔法を唱えながら杖を振ったり、箒で空を飛んだりなどするものかと思っていたのだが彼女は見た通り箒も持っていないし杖も持っているように見えない。
やはり、自分が想像している魔女は作者もわからない古書や童話の中だけのものなのかと考えていると、まるで思っていることを見透かすように
「あぁ、君や他の人達が思っているようなことは私はしないよ。だって、箒も杖も持ち運ぶのが面倒だろ?」
とリアラが口を挟む。
「だが、今のままだと私が魔女だってことを信じてもらえそうにないからね、ここだといつ旅人や都の者が来るかわからない、場所を移動しようか」
すると、リアラは私に背を向け歩き出してしまう。
しかし、こんな怪しい人についていっていいものかとその場から動かずにいると
「なーんか、美味しいとこってやつ?全部あの魔女に持ってかれたな…あ、俺が言っても信じねーと思うんだけど、あいつはほんとに魔女だぞ。それに移動するつってもすぐそこだ。それに万が一、お前ならもし何か変だとか思うことがあったらすぐ逃げられんだろ?」
少年が顔を覗き込んでくる。
ほんの僅かな時間しか、少年と話していないが私は直感でこの少年は嘘を言ってないと思うことができた。
何より嘘を付く人間は誰しも自分の意識とは関係なく瞳に何らかの動きが現れるのだ、一見まっすぐ此方を見ているように見えてもほんの少し揺れていたりと。
それがこの少年には全くない。

だから、私はついていってみようと思った。
何百年振りかに自分に興味を持ってきた人間と話をしてみたい。
そして、同じく本当に魔の一族なのだとしたらわかりあうことが出来るかもしれないと…

「少しでも、怪しいと思ったら私は姿を消します」
すると、私がついてきていないことに気づいたリアラがこちらを見ていた。
「ああ、そのときは好きにするといいさ」


「ついたぞ、ここだ」
と言われたが、そこには何もない。
さっきいた場所と何ら変わりはない山の中だ。
すると、
「すまないが、君の手を私の手の上に置いてはくれないか。私は少々面倒な呪文を使っていてね、これを潜るのに手っ取り早いのはこの方法なんだ」
そう言ってリアラが手を差し伸べてくる。
瞳をじっと見つめるがどうやら嘘はついていないようだ。
私は差し出された手にそっと手をのせる
「ありがとう。それともう一つ頼みがある。私がいいと言うまで目を瞑ってくれないか?私も久しぶりに客人を招き入れるからどんな反応をされるのか見てみたいんだ」
吸血鬼は感覚が鋭いため目を瞑って周りが見えなくても動くものや危険なものには体が反応して避けることができる。
なので、素直に目を閉じることにした。
リアラが私の手を軽く握ったのがわかった。

一歩、また一歩と彼女が歩いていく、それにしたがってゆっくりと手を引かれる。
すると、数歩歩いたところで幕を通ったような感覚があった。実際は何も触れていないのだが、感覚はそれに近い。
すると、先程まで暗い山の中にいて光は全くなかったはずなのにまぶたの向こう側のうっすらと明かりが見える。

「目を開けていいよ」
そう言われたのと同時にリアラの手が私の手から離されたのがわかった。
ゆっくりと目を開ける。

「待たせたね、ようこそスピリッツドーム[魔の寮]へ」

目の前にあるその建物はまるで城のようだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...