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第二幕 映画撮影と超新星
ACT29
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拗ねながらもちゃんと見送ってくれる彼氏。私って愛されてるぅ。
かなり調子に乗っている。
でもそれは仕方のない事なのだ。
仕事では王子監督の新作映画にメインキャストとして出演。
プライベートでは世界一の彼氏ができた。
順風満帆とはまさにこの事。これがペーペー女優なら浮かれて天狗になるところだが、生憎私は芸歴12年のベテランである。
十代でベテランっていうのも何か嫌だけど。
悲しいかな、仕草はすでにオバサンのそれである。
「何一人でニヤついているの? 気持ち悪いわよ」
「高野さんヒドイ!?」
私これでも結構かわいいからね。美人とかとは少し違うけど巷じゃ、愛くるしいとかって言われてるんだから。
「自分の担当女優を貶なして何かメリットってあるの?」
「私がスッキリする」
身勝手な。実に利己的な発想の基に人を貶している。
人権など皆無。私の人権ってどこにあったっけ高野さーん。
「ん? 何かな結衣」
え……声に出てた? 私の心の声漏れてた――っていうか駄々漏れ!?
「大丈夫よ~、貴女の心の声なんて聞こえてないから。私エスパーでも何でもないもの」
充分にエスパーである。
「貴女はすぐに顔に出るのよ。芸能人としては致命的ね。早くポーカーフェイスを覚えなさい」
これは私に非があるのか、それとも高野さんの超人じみた観察眼を褒めるべきなのだろうか。
「結衣そろそろ準備しなさい。会場に到着するわ」
「了解」
敬礼ポーズと共にウィンクする。
バックミラー越しに「気持ち悪いわよ」と笑うと高野さんはアクセルを踏み込んだ。
…………
……
…
制作発表に押しかけた報道陣の数は優に300を超えた。
カメラの台数も数十台に上った。
瞼の裏にまでフラッシュの残像が映し出される。目を閉じていても眩しい。
ここで一つ疑問が浮上する。
なぜ私は待ちに待った制作発表の場で眼を閉じているのか。
答えは明白。私の隣に鎮座するキャストが原因だ。
「それでは質問のある方は挙手にてお願いいたします」司会のアナウンサーが告げると一斉に記者たちの手が上がる。
「ではそちらの紺色のスーツの女性の方どうぞ」
「はい、「月間Movie」の田中と申します。今回のキャスティングについてですが、超一流の俳優陣で固めているように思うのですが、その中で重要なメインキャストに無名の女優を抜擢した人選について伺いたいのですが」
気怠そうにマイクを取ると重重しく王子監督が口を開いた。
「はぁ、そうだなぁ……オレが選んだ。それ以上でもそれ以下でもない。無名とか、新人とかどうでも良くない? 無名の新人じゃなくて堀川汐莉ね」
それ以上は答えないという意志表示なのか、マイクをゆっくりと置いた。
「それでは次の方~」
一瞬凍りついた空気を察してか、軽い調子でアナウンサーが記者を指名する。
当てられた記者が立ち上がる。
「芸能新聞の岸谷です。新田さんにお聞きしたいのですが、今回のキャスティングでは、新田さんが私生活においても親しい綾瀬さんと完全敵対するようですが、役に入れなかったり、やり難さを感じたりはしますか?」
どうしよう。正直に答えていいものか……
本音を言えば最高の役。だって私が真希をいたぶりつくす事の出来る役。日頃のうっぷんを晴らせる。
なんてことを口にした瞬間にバッシングの嵐が来る。
どうしたものか……
きっとテレビ越しにこの制作発表を見ている高野さんは呆れている事だろう。
私自身が引きつった笑みを浮かべていることを自覚しているのだから。
「そ、そうですね。私たち大の仲良しですから役作りは大変かもしれませんね」
ハハハ――
乾いた笑いが会場に響いた。
かなり調子に乗っている。
でもそれは仕方のない事なのだ。
仕事では王子監督の新作映画にメインキャストとして出演。
プライベートでは世界一の彼氏ができた。
順風満帆とはまさにこの事。これがペーペー女優なら浮かれて天狗になるところだが、生憎私は芸歴12年のベテランである。
十代でベテランっていうのも何か嫌だけど。
悲しいかな、仕草はすでにオバサンのそれである。
「何一人でニヤついているの? 気持ち悪いわよ」
「高野さんヒドイ!?」
私これでも結構かわいいからね。美人とかとは少し違うけど巷じゃ、愛くるしいとかって言われてるんだから。
「自分の担当女優を貶なして何かメリットってあるの?」
「私がスッキリする」
身勝手な。実に利己的な発想の基に人を貶している。
人権など皆無。私の人権ってどこにあったっけ高野さーん。
「ん? 何かな結衣」
え……声に出てた? 私の心の声漏れてた――っていうか駄々漏れ!?
「大丈夫よ~、貴女の心の声なんて聞こえてないから。私エスパーでも何でもないもの」
充分にエスパーである。
「貴女はすぐに顔に出るのよ。芸能人としては致命的ね。早くポーカーフェイスを覚えなさい」
これは私に非があるのか、それとも高野さんの超人じみた観察眼を褒めるべきなのだろうか。
「結衣そろそろ準備しなさい。会場に到着するわ」
「了解」
敬礼ポーズと共にウィンクする。
バックミラー越しに「気持ち悪いわよ」と笑うと高野さんはアクセルを踏み込んだ。
…………
……
…
制作発表に押しかけた報道陣の数は優に300を超えた。
カメラの台数も数十台に上った。
瞼の裏にまでフラッシュの残像が映し出される。目を閉じていても眩しい。
ここで一つ疑問が浮上する。
なぜ私は待ちに待った制作発表の場で眼を閉じているのか。
答えは明白。私の隣に鎮座するキャストが原因だ。
「それでは質問のある方は挙手にてお願いいたします」司会のアナウンサーが告げると一斉に記者たちの手が上がる。
「ではそちらの紺色のスーツの女性の方どうぞ」
「はい、「月間Movie」の田中と申します。今回のキャスティングについてですが、超一流の俳優陣で固めているように思うのですが、その中で重要なメインキャストに無名の女優を抜擢した人選について伺いたいのですが」
気怠そうにマイクを取ると重重しく王子監督が口を開いた。
「はぁ、そうだなぁ……オレが選んだ。それ以上でもそれ以下でもない。無名とか、新人とかどうでも良くない? 無名の新人じゃなくて堀川汐莉ね」
それ以上は答えないという意志表示なのか、マイクをゆっくりと置いた。
「それでは次の方~」
一瞬凍りついた空気を察してか、軽い調子でアナウンサーが記者を指名する。
当てられた記者が立ち上がる。
「芸能新聞の岸谷です。新田さんにお聞きしたいのですが、今回のキャスティングでは、新田さんが私生活においても親しい綾瀬さんと完全敵対するようですが、役に入れなかったり、やり難さを感じたりはしますか?」
どうしよう。正直に答えていいものか……
本音を言えば最高の役。だって私が真希をいたぶりつくす事の出来る役。日頃のうっぷんを晴らせる。
なんてことを口にした瞬間にバッシングの嵐が来る。
どうしたものか……
きっとテレビ越しにこの制作発表を見ている高野さんは呆れている事だろう。
私自身が引きつった笑みを浮かべていることを自覚しているのだから。
「そ、そうですね。私たち大の仲良しですから役作りは大変かもしれませんね」
ハハハ――
乾いた笑いが会場に響いた。
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