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第三幕 新たな戦場――苦戦続きのバラエティー
ACT76
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『お笑い革命~至高の笑い発信基地局~』が実質2人体制のMCになったことで、新たにスチール撮影を執り行うことになった。
スチール撮影っていうのは、静止した写真のこと。
番組のポスターとかに使われる写真っていえば分かりやすいかな?
今まで『お笑い革命~至高の笑い発信基地局~』のポスターは、晩春さんとその脇を私と真希で固めたスリーショットだった。
そこに新メンバーとしてMIKAが入ったから、いずれはポスターも変更されるだろうとは思っていたけれど、まさかのMC抜擢に急遽スチール撮影が組まれたのだ。
撮影スタジオに到着すると、既に晩春さんが用意されていたお弁当を頬張っていた。
「おはようございます。お早いですね」
「もちろんや。スチールの時は気使うからな。歳取るといろいろ準備がいるからな。メンテナンスや」
そう言いながら弁当を空にした。
「結衣ちゃんも食べるか?」
お弁当を差し出されたが、丁重にお断りした。
大盛りなのだ。私の一日の摂取カロリーを優に越しているであろう重量の大盛り弁当。
晩春さん結構お歳のはずなんだけど、よく食べられるな。
別に羨ましいとは思わないけど、感心しちゃった。
「そんな細くて大丈夫なんか?」
「大丈夫ですよ。それに、この業界にいる同世代の中じゃ太い方ですよ?」
「そうなんか!? 確かに真希ちゃんとか目茶苦茶細いもんなー」
あれは痩せすぎ、とは言えないから、
「真希は人一倍体のこと気遣かってますからね」
なんとか上手く返せた(多分)。
「MIKAちゃんも細いですよね」
何気なしにした発言だったのだが、
「そうか? あの娘太いやろ?」
MIKAはどこからどう見ても細い。
私より身長は高いが、間違いなく体重は私を下回っているだろう。
そんな私の感情が伝わったのだろう。
晩春さんは、
「あの娘の隣におったらわかんねん。ずっと収録中立ちっぱなしで疲れるやろうに、身じろぎ一つせんのや。なんて言うたらええんやろな……芯? 軸が太い? まあ、そんな感じや」
そうなんですか、と曖昧な返答をしてしまった。
そんなことで気を悪くするような人じゃなくてよかった。
ここだけの話、器の小さい人は多い。虚栄心なんてモノに取り付かれた人はどこでキレるか分からないから要注意。
本物のスターはどっしり構えている人が多い。
その点、晩春さんは大物の中の大物。スターの中のスターだ。
「私、衣装合わせしてきますね」
「そうかー。また後でなぁ」
弁当の空箱を重ねながら、晩春さんは3つ目の弁当に手を伸ばしていた。
今日のスチール撮影は少し特別なものだ。
メインMCの晩春さんは別格として、私、真希そしてMIKA。この4人での撮影は立ち位置が難しい。
4人での立ち位置は内側に2人、外側に2人という配置になる。中(内側)の2人が番組の顔という事になる。3人での撮影では起こりえなかった問題だ。
まあ、MIKAが晩春さんと一緒に内側に立つ事になるとは思うけどね。
それを真希が黙って認めるか……認めないわよね。
揉めるわよね~……。
予見すると同時にため息を零す。
…………
……
…
案の上というか、なんというか……。
真希が、血相を変えて衣装室に飛び込んできた。
「晩春さんにあいさつはしたの?」
「済ませて来たわよ!!」
何か失礼な態度を取っていないか、心配になるくらい気が立っていた。
「それで、何の用?」
「あの女が……」
ああ、やっぱりメインで真ん中の立ち位置なのね。
相変わらず真希は器が小さいわね。
「撮影は2人でいいだろう、ってディレクターに進言したのよ!!」
………………ん? 2人?
「はあぁあああああ?――」
私は外聞など忘れて声をあげた。
スチール撮影っていうのは、静止した写真のこと。
番組のポスターとかに使われる写真っていえば分かりやすいかな?
今まで『お笑い革命~至高の笑い発信基地局~』のポスターは、晩春さんとその脇を私と真希で固めたスリーショットだった。
そこに新メンバーとしてMIKAが入ったから、いずれはポスターも変更されるだろうとは思っていたけれど、まさかのMC抜擢に急遽スチール撮影が組まれたのだ。
撮影スタジオに到着すると、既に晩春さんが用意されていたお弁当を頬張っていた。
「おはようございます。お早いですね」
「もちろんや。スチールの時は気使うからな。歳取るといろいろ準備がいるからな。メンテナンスや」
そう言いながら弁当を空にした。
「結衣ちゃんも食べるか?」
お弁当を差し出されたが、丁重にお断りした。
大盛りなのだ。私の一日の摂取カロリーを優に越しているであろう重量の大盛り弁当。
晩春さん結構お歳のはずなんだけど、よく食べられるな。
別に羨ましいとは思わないけど、感心しちゃった。
「そんな細くて大丈夫なんか?」
「大丈夫ですよ。それに、この業界にいる同世代の中じゃ太い方ですよ?」
「そうなんか!? 確かに真希ちゃんとか目茶苦茶細いもんなー」
あれは痩せすぎ、とは言えないから、
「真希は人一倍体のこと気遣かってますからね」
なんとか上手く返せた(多分)。
「MIKAちゃんも細いですよね」
何気なしにした発言だったのだが、
「そうか? あの娘太いやろ?」
MIKAはどこからどう見ても細い。
私より身長は高いが、間違いなく体重は私を下回っているだろう。
そんな私の感情が伝わったのだろう。
晩春さんは、
「あの娘の隣におったらわかんねん。ずっと収録中立ちっぱなしで疲れるやろうに、身じろぎ一つせんのや。なんて言うたらええんやろな……芯? 軸が太い? まあ、そんな感じや」
そうなんですか、と曖昧な返答をしてしまった。
そんなことで気を悪くするような人じゃなくてよかった。
ここだけの話、器の小さい人は多い。虚栄心なんてモノに取り付かれた人はどこでキレるか分からないから要注意。
本物のスターはどっしり構えている人が多い。
その点、晩春さんは大物の中の大物。スターの中のスターだ。
「私、衣装合わせしてきますね」
「そうかー。また後でなぁ」
弁当の空箱を重ねながら、晩春さんは3つ目の弁当に手を伸ばしていた。
今日のスチール撮影は少し特別なものだ。
メインMCの晩春さんは別格として、私、真希そしてMIKA。この4人での撮影は立ち位置が難しい。
4人での立ち位置は内側に2人、外側に2人という配置になる。中(内側)の2人が番組の顔という事になる。3人での撮影では起こりえなかった問題だ。
まあ、MIKAが晩春さんと一緒に内側に立つ事になるとは思うけどね。
それを真希が黙って認めるか……認めないわよね。
揉めるわよね~……。
予見すると同時にため息を零す。
…………
……
…
案の上というか、なんというか……。
真希が、血相を変えて衣装室に飛び込んできた。
「晩春さんにあいさつはしたの?」
「済ませて来たわよ!!」
何か失礼な態度を取っていないか、心配になるくらい気が立っていた。
「それで、何の用?」
「あの女が……」
ああ、やっぱりメインで真ん中の立ち位置なのね。
相変わらず真希は器が小さいわね。
「撮影は2人でいいだろう、ってディレクターに進言したのよ!!」
………………ん? 2人?
「はあぁあああああ?――」
私は外聞など忘れて声をあげた。
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