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生き残れ「地下迷宮」編
第50話 復讐者と小鬼
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【四十階層】
暗闇の中で感覚を極限まで研ぎ澄ましていたウェルリン・ツヴァは、足元に穴が開くことを鋭敏に察知すると鉤爪を壁に立てると腕を引いて壁面を蹴り、離れた場所へと着地した。
「あっぶねぇ……っつーか、こりゃなんだ……? 地形がガラッと変わりやがった……」
真っ暗な中、四方を囲む脈打つ壁。
それが今では、石材を積んで作られた廊下のように形を変えている。
天井から等間隔に降り注ぐ明かりを見ながら、ウェルリンは呟く。
「よくわからねぇが、第二段階ってことか……。要するに『進め』ってことだろ? いいだろう、進んでやろうじゃねぇか。もう蟻は殺り飽きてたとこだ」
ウェルリンは勘に任せて歩き出す。
ガンッ!
っと、なにやら仕掛けの音がして壁から矢が飛び出してくる。
ウェルリンの研ぎ澄まされた感覚は、矢じりが体に着弾するより早く体を宙に舞わせた。
トンっ。
着地した床が。
カパッ。
っと開く。
下には無数の鋭い針が獲物を待ち構えている。
「くっ……!」
ウェルリンは肩の関節を外すと、右腕を振って床に爪を立て、どうにか
落下を免れる。
「ぐぁ……っ! スキル無しで関節外すの痛ぇな、くそが……!」
ガキッ!
「ぐぁあ……ッ!」
床に仰向けになって、外れた関節を入れ直す。
「ハァ……ハァ……。蟻じゃオレを殺せないからって、次は罠で殺す気か? ったく……オレはマフィアで魔物なんだぞ。こんな人間の探索者みたいなの、ガラじゃねぇんだよ……」
人間、か……。
人間。
その言葉の何かがウェルリンの頭に引っかかる。
なにか思い出しそうな……。
人間、といえば……やはりあの「フィード」と呼ばれていた奴のことなのだろう。
他人のスキルを奪い、ワイバーンや大悪魔を殺した人間。
オレの憧れの任侠、ルートォンを殺した人間。
そして、なぜか日中に外に出られるようになっていたリサと親しげだった人間。
ウェルリンの中に、再び憎悪の炎がフツフツと湧き上がってくる。
おそらくウェルリンのスキルを奪い、記憶を消した相手。
そして、十年間片思いを続けていたリサに何かをした、あの人間。
「殺す……。殺すしかねぇよなぁ……。ああ、そうだ。オレは明らかに型に嵌められた。だが、そんなことくらいでオレは、めげねぇ。やられたらやり返す。それがマフィアの流儀だ。何倍にもして返してやるぜ、フィードぉ~……。オレは、貴様を地に這わせ、謝罪させ、心もプライドも折って、リサちゃんからも愛想を尽かさせ、惨たらしく苦しめて殺す。そう……殺すんだ、オレは必ずお前を殺ぉぉぉぉぉぉす! ツヴァ組跡取り、ウェルリン・ツヴァの名にかけてっ!!!!!」
ウェルリン・ツヴァが大口を開けて叫んだ瞬間、「今だ!」とタイミングを見計らって天井から飛び降りたものがいた。
赤黒い肌をした小鬼──インプだ。
大悪魔テス・メザリアが成長し、新しいゲームを始めたことによって完全に役割りを失ってしまったインプは、ダンジョンに再吸収されるのを避けるため、その知性を活かしてコソコソと逃げ回り、偶然見つけたウェルリンの体内に忍び込み、己のスキル【憑依】によって体を乗っ取ろうとしていた。
が。
ヒュッ──パシッ。
「んん~? なんだこりゃぁ?」
先程まで暗闇の中で極限まで研ぎ澄まされていたウェルリンの感覚は、飛び降りてくるインプの存在をこともなげに察知し、宙で掴み取っていた。
「ひ──っ! な、なぜ気づいた!? なんなんだ!? さっきの人間たちといい、この狼男といい!」
「人間……? お前、もしかしてフィードのことを知ってるのか?」
ウェルリンは、インプを爪でつまみ上げて尋ねる。
「あ? ああ、そうだ。お前も、あいつらの仲間なのか?」
「仲間だっ!? ふっざけんなっ! オレは、奴を殺したいだけだっ!」
「殺したい? フィードという人間をか?」
「うるせぇな、お前はオレの質問に答えてりゃいいんだよ。んで……金髪の女の子は……いなかったか? こう……すごく可愛い感じの……黒いワンピースを着た……可憐で気が強そうな、その、詰ってくれそうな子はさ……い、いなかったか……?」
はは~ん……。
こいつは利用できそうだ……。
インプの浅知恵がムクムクと湧き上がってくる。
「ああ、いたな、金髪の小柄で細身の可愛い女。それから、緑髪の人間の女、豚人間、ローパーも一緒にいたぞ。自分ならお前の力になってやれるぞ、どうだ? 手を組まないか?」
「緑髪の人間……リサちゃんと一緒にいたやつか……。手を組むとは? お前は殺されたくなきゃ、知ってることを今すぐここで全部吐くだけだ。取り引きに応じる意味がオレには全くねぇ」
どうやらこの狼男、最低限の知能はあるらしい。
ならば煽ってみてはどうだろう。
「吐いたところで、どうせ食うんだろうが! 卑しい半獣の魔物風情の脅しには屈しない! 食うなら今すぐ食え! 気高き悪魔族は屈辱よりも死を選ぶ!」
「なら死ね」
ポイッ。
インプの狙い通り、ウェルリンは口の中に小鬼を放り込んだ。
(うおっ、判断が早いっ! しかし、これで自分のスキルによってこの狼男を支配できる!)
【憑依!】
ガッ──。
一瞬、ウェルリンの体の機能が停止する。
(クケケケッ! やった! 乗っ取った! やはり自分は優れている! あの人間どもが異常だっただけだ! これでダンジョンの再吸収からも逃れて、さっさと脱出できる! なぁに、自分だって元はダンジョンの一部だったんだ。大体の出口は見当がつく。となれば、さっさと退散だ、こんな場所からは)
そう思って足を動かそうとするが……。
(え? あれ? 動かな……)
「なぁぁぁぁぁにやってんだ、ごらぁぁぁぁぁぁぁ!」
ウェルリンの稲妻のような叫び声が、ビリビリと辺りを震わす。
「ひ──ッ! な、なんで……!?」
「なんでもくそもあるかボケェ! なぁ~に人の体の中でコソコソやってんだ、このクソがぁぁぁ!」
インプは己の唯一の長所、頭脳をフル回転させる。
自分のスキル「憑依」は、相手の精神を支配して肉体の操作を奪うものだ。
仮に、前に憑依したオークを上手く動かせなかった原因が「オークの精神力が自分よりも強かったから」だと仮定すれば。
今、この体を全く動かせないのは──。
この狼男の精神力が、とてつもなく強いから────?
いやいや、仮にそうだとしても。
なにかしら手立てはあるはずだ。
探れ探れ、こいつの記憶を読み取って。
なにかあるはずだ、この現状を脱するための鍵が。
そして見つけた、ウェルリンとフィードの記憶。
リサ、ルゥも含めた深夜の学校の思い出。
スキル「魅了」によって記憶を消しさられた事実。
いける……これはイケるぞ……。
インプは九死に一生を得たと胸をなでおろす。
「おおかた、体の中に入ってオレを操ろうとでもしたんだろうが、こちとらガキの頃からそんなの慣れっこなのよ。んで、オレに手ぇ出してきた奴は、今だ~れも生きちゃいねぇわなぁ。そんな姑息なやり方で操られるほど、このウェルリン・ツヴァ様は……」
「と、取り引きだっ!」
「あぁん? 取り引きはしねぇって、さっき言っただろ」
「条件を変える。自分が教えるのは、お前とフィード・オファリングの間になにがあったのか。お前は、なぜスキルと記憶を失っているのか。お前の憧れた兄貴分、ルートォンは、どういう風にフィード・オファリングに殺されたのか。やつがお前に着せた罪。そして──お前の愛するバンパイアとフィード・オファリングの関係も」
「…………ッ! お前、どうして──! いや……いい……。そうか……やっぱり関係あったんだな、オレとあいつは……。で、お前は、その条件と引き換えに何が欲しいんだ?」
「無事に、このダンジョンから脱出すること」
「それだけ?」
「ああ、ただそれだけだ。ここから出られさえすれば、なんでもいい」
「よし、じゃあ、まずはフィードの元へオレ様を案内しろ。その道中、オレとフィードの関係を教えろ。んで、オレがフィードを殺した後なら、いくらでも連れてってやるぜ。外だろうが、天界だろうが海底にあるらしい竜宮城だろうが、どこにだってな。それまでオレの中で大人しくしときな」
クヒヒ。
インプは込み上げてくる笑いを押し殺す。
まず、この狼男にフィードと戦わせる。
狼男の記憶から読み取るに、フィードという人間は冷徹で性格が悪いが、甘えて正義感ぶった面もある二重人格のような奴だ。
そんなやつが、負い目を感じるかつての仲間に襲いかかられたら……。
戸惑うだろうなぁ。
今の仲間の前で善人ぶるだろうなぁ。
そうやって狼男とフィードが争ってるドサクサで、自分は本来の目的だった大悪魔に憑依してもよし。
もし、こいつがフィードを殺せたのなら、そのまま狼男の中に入って外に脱出してもよし。
いくらでもやりようはある。
あぁ、さすが自分。
やはり自分は、この頭脳を持ってして悪魔界の頂点に君臨すべき存在なのだ。
こうして、復讐者狼男と小鬼インプの即席チームが結成された。
【タイムリミット 二日二十三時間四十七分】
【現在の生存人数 五十三人】
暗闇の中で感覚を極限まで研ぎ澄ましていたウェルリン・ツヴァは、足元に穴が開くことを鋭敏に察知すると鉤爪を壁に立てると腕を引いて壁面を蹴り、離れた場所へと着地した。
「あっぶねぇ……っつーか、こりゃなんだ……? 地形がガラッと変わりやがった……」
真っ暗な中、四方を囲む脈打つ壁。
それが今では、石材を積んで作られた廊下のように形を変えている。
天井から等間隔に降り注ぐ明かりを見ながら、ウェルリンは呟く。
「よくわからねぇが、第二段階ってことか……。要するに『進め』ってことだろ? いいだろう、進んでやろうじゃねぇか。もう蟻は殺り飽きてたとこだ」
ウェルリンは勘に任せて歩き出す。
ガンッ!
っと、なにやら仕掛けの音がして壁から矢が飛び出してくる。
ウェルリンの研ぎ澄まされた感覚は、矢じりが体に着弾するより早く体を宙に舞わせた。
トンっ。
着地した床が。
カパッ。
っと開く。
下には無数の鋭い針が獲物を待ち構えている。
「くっ……!」
ウェルリンは肩の関節を外すと、右腕を振って床に爪を立て、どうにか
落下を免れる。
「ぐぁ……っ! スキル無しで関節外すの痛ぇな、くそが……!」
ガキッ!
「ぐぁあ……ッ!」
床に仰向けになって、外れた関節を入れ直す。
「ハァ……ハァ……。蟻じゃオレを殺せないからって、次は罠で殺す気か? ったく……オレはマフィアで魔物なんだぞ。こんな人間の探索者みたいなの、ガラじゃねぇんだよ……」
人間、か……。
人間。
その言葉の何かがウェルリンの頭に引っかかる。
なにか思い出しそうな……。
人間、といえば……やはりあの「フィード」と呼ばれていた奴のことなのだろう。
他人のスキルを奪い、ワイバーンや大悪魔を殺した人間。
オレの憧れの任侠、ルートォンを殺した人間。
そして、なぜか日中に外に出られるようになっていたリサと親しげだった人間。
ウェルリンの中に、再び憎悪の炎がフツフツと湧き上がってくる。
おそらくウェルリンのスキルを奪い、記憶を消した相手。
そして、十年間片思いを続けていたリサに何かをした、あの人間。
「殺す……。殺すしかねぇよなぁ……。ああ、そうだ。オレは明らかに型に嵌められた。だが、そんなことくらいでオレは、めげねぇ。やられたらやり返す。それがマフィアの流儀だ。何倍にもして返してやるぜ、フィードぉ~……。オレは、貴様を地に這わせ、謝罪させ、心もプライドも折って、リサちゃんからも愛想を尽かさせ、惨たらしく苦しめて殺す。そう……殺すんだ、オレは必ずお前を殺ぉぉぉぉぉぉす! ツヴァ組跡取り、ウェルリン・ツヴァの名にかけてっ!!!!!」
ウェルリン・ツヴァが大口を開けて叫んだ瞬間、「今だ!」とタイミングを見計らって天井から飛び降りたものがいた。
赤黒い肌をした小鬼──インプだ。
大悪魔テス・メザリアが成長し、新しいゲームを始めたことによって完全に役割りを失ってしまったインプは、ダンジョンに再吸収されるのを避けるため、その知性を活かしてコソコソと逃げ回り、偶然見つけたウェルリンの体内に忍び込み、己のスキル【憑依】によって体を乗っ取ろうとしていた。
が。
ヒュッ──パシッ。
「んん~? なんだこりゃぁ?」
先程まで暗闇の中で極限まで研ぎ澄まされていたウェルリンの感覚は、飛び降りてくるインプの存在をこともなげに察知し、宙で掴み取っていた。
「ひ──っ! な、なぜ気づいた!? なんなんだ!? さっきの人間たちといい、この狼男といい!」
「人間……? お前、もしかしてフィードのことを知ってるのか?」
ウェルリンは、インプを爪でつまみ上げて尋ねる。
「あ? ああ、そうだ。お前も、あいつらの仲間なのか?」
「仲間だっ!? ふっざけんなっ! オレは、奴を殺したいだけだっ!」
「殺したい? フィードという人間をか?」
「うるせぇな、お前はオレの質問に答えてりゃいいんだよ。んで……金髪の女の子は……いなかったか? こう……すごく可愛い感じの……黒いワンピースを着た……可憐で気が強そうな、その、詰ってくれそうな子はさ……い、いなかったか……?」
はは~ん……。
こいつは利用できそうだ……。
インプの浅知恵がムクムクと湧き上がってくる。
「ああ、いたな、金髪の小柄で細身の可愛い女。それから、緑髪の人間の女、豚人間、ローパーも一緒にいたぞ。自分ならお前の力になってやれるぞ、どうだ? 手を組まないか?」
「緑髪の人間……リサちゃんと一緒にいたやつか……。手を組むとは? お前は殺されたくなきゃ、知ってることを今すぐここで全部吐くだけだ。取り引きに応じる意味がオレには全くねぇ」
どうやらこの狼男、最低限の知能はあるらしい。
ならば煽ってみてはどうだろう。
「吐いたところで、どうせ食うんだろうが! 卑しい半獣の魔物風情の脅しには屈しない! 食うなら今すぐ食え! 気高き悪魔族は屈辱よりも死を選ぶ!」
「なら死ね」
ポイッ。
インプの狙い通り、ウェルリンは口の中に小鬼を放り込んだ。
(うおっ、判断が早いっ! しかし、これで自分のスキルによってこの狼男を支配できる!)
【憑依!】
ガッ──。
一瞬、ウェルリンの体の機能が停止する。
(クケケケッ! やった! 乗っ取った! やはり自分は優れている! あの人間どもが異常だっただけだ! これでダンジョンの再吸収からも逃れて、さっさと脱出できる! なぁに、自分だって元はダンジョンの一部だったんだ。大体の出口は見当がつく。となれば、さっさと退散だ、こんな場所からは)
そう思って足を動かそうとするが……。
(え? あれ? 動かな……)
「なぁぁぁぁぁにやってんだ、ごらぁぁぁぁぁぁぁ!」
ウェルリンの稲妻のような叫び声が、ビリビリと辺りを震わす。
「ひ──ッ! な、なんで……!?」
「なんでもくそもあるかボケェ! なぁ~に人の体の中でコソコソやってんだ、このクソがぁぁぁ!」
インプは己の唯一の長所、頭脳をフル回転させる。
自分のスキル「憑依」は、相手の精神を支配して肉体の操作を奪うものだ。
仮に、前に憑依したオークを上手く動かせなかった原因が「オークの精神力が自分よりも強かったから」だと仮定すれば。
今、この体を全く動かせないのは──。
この狼男の精神力が、とてつもなく強いから────?
いやいや、仮にそうだとしても。
なにかしら手立てはあるはずだ。
探れ探れ、こいつの記憶を読み取って。
なにかあるはずだ、この現状を脱するための鍵が。
そして見つけた、ウェルリンとフィードの記憶。
リサ、ルゥも含めた深夜の学校の思い出。
スキル「魅了」によって記憶を消しさられた事実。
いける……これはイケるぞ……。
インプは九死に一生を得たと胸をなでおろす。
「おおかた、体の中に入ってオレを操ろうとでもしたんだろうが、こちとらガキの頃からそんなの慣れっこなのよ。んで、オレに手ぇ出してきた奴は、今だ~れも生きちゃいねぇわなぁ。そんな姑息なやり方で操られるほど、このウェルリン・ツヴァ様は……」
「と、取り引きだっ!」
「あぁん? 取り引きはしねぇって、さっき言っただろ」
「条件を変える。自分が教えるのは、お前とフィード・オファリングの間になにがあったのか。お前は、なぜスキルと記憶を失っているのか。お前の憧れた兄貴分、ルートォンは、どういう風にフィード・オファリングに殺されたのか。やつがお前に着せた罪。そして──お前の愛するバンパイアとフィード・オファリングの関係も」
「…………ッ! お前、どうして──! いや……いい……。そうか……やっぱり関係あったんだな、オレとあいつは……。で、お前は、その条件と引き換えに何が欲しいんだ?」
「無事に、このダンジョンから脱出すること」
「それだけ?」
「ああ、ただそれだけだ。ここから出られさえすれば、なんでもいい」
「よし、じゃあ、まずはフィードの元へオレ様を案内しろ。その道中、オレとフィードの関係を教えろ。んで、オレがフィードを殺した後なら、いくらでも連れてってやるぜ。外だろうが、天界だろうが海底にあるらしい竜宮城だろうが、どこにだってな。それまでオレの中で大人しくしときな」
クヒヒ。
インプは込み上げてくる笑いを押し殺す。
まず、この狼男にフィードと戦わせる。
狼男の記憶から読み取るに、フィードという人間は冷徹で性格が悪いが、甘えて正義感ぶった面もある二重人格のような奴だ。
そんなやつが、負い目を感じるかつての仲間に襲いかかられたら……。
戸惑うだろうなぁ。
今の仲間の前で善人ぶるだろうなぁ。
そうやって狼男とフィードが争ってるドサクサで、自分は本来の目的だった大悪魔に憑依してもよし。
もし、こいつがフィードを殺せたのなら、そのまま狼男の中に入って外に脱出してもよし。
いくらでもやりようはある。
あぁ、さすが自分。
やはり自分は、この頭脳を持ってして悪魔界の頂点に君臨すべき存在なのだ。
こうして、復讐者狼男と小鬼インプの即席チームが結成された。
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