隻腕の魔法使いー転生したら右腕を失くし魔法学校を追い出されたが、剛腕の魔法使いになる

さん

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第二話・神聖魔法学校を退学になる

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 アンティールは怪我が落ち着くと教授陣達に呼び出しを受けた。

 「アンティール・メイズナー君、残念だが、右手を失った君はもう魔法使いにはなれない。ここは魔法使いを目指す学校だ、怪我をした君には非常に申し訳ないが、いつまでも君を此処に置いておく事は出来ない。怪我がよくなり次第、寮からも立ち退いて欲しい」学校長が代表で僕に言い渡した。
 
 「待ってください、今まで必死に勉強してきたんです。試しに、卒業試験を受けさせて貰えませんか。一教科だけでもいいんです、それで駄目なら諦めます。お願いします」僕は必死に懇願した、簡単に諦める訳にはいかない。
 魔法使いになる為だけに必死に勉強してきたのに、それに僕の才能(タレント)は魔法しか無い。それ以外に生きる道はないのだ。
 
 教授陣は一斉に押し黙り、哀れな者を見る目で僕を見る。
 ソレント教授が冷たく口を開いた。彼は、平民の僕を嫌っている。魔法は貴族の物で、それ以外の者は勉強しても時間の無駄だと言うのが彼の持論だ。
 
 「君はどうやって、魔法を扱うのかね?利き手無しで、どうやって杖で魔法陣を描くのかね?」
 僕は黙った、利き手で杖を持ちながら魔法陣を描き、反対の手には魔法書かスクロールを持たなければ魔法を取り扱う事が出来ないのだった。
 つまり、片腕ではどうやっても魔法を取り扱う事ができないのだ。

 「それは・・・それは、今から考えます。必ず、必ず、卒業試験の日までに考えます。だから、お願いです。僕に時間をください。お願いします」最早、恥も外聞も無く僕は懇願した。
 「ふん、時間の無駄だと言う事が分からないかね。これだから、平民は嫌なのだ。君にはプライドが無いのかね。もう、お前には、ここに居る資格すらないのだよ」
 僕は怒りで身体が震えた。思わず教授に掴み掛ろうとした時、目の前に緑のケープが翻り身体が動かなくなる。
   緑のケープ・・・・ワイリー教授・・・どうして

 そこで又、意識がなくなった。






 気が付くと又、寮のベットに寝かされていた。ワイリー教授が覗いていて目が合った。
 「お前、馬鹿か?教授に掴み掛ってどうする。直ぐに着の身着のまま寮から追い出されるぞ」
 「・・・魔法使いになれないなら、一緒です」
 「はあ、せっかく猶予をくれてんだ。目一杯活用しろ。外に出てどうする?お金も持ってないのに何処に泊る?
何を食べる?故郷に帰る旅費もないんだろう。ここに居れば、食事は出るし屋根もベットも有る。ゆっくり養生するんだ、それから外へ出ても何とかできる。今、出て行けば野垂れ死には確実だ」

 「怪我を直してなんになるんです?魔法使いになれないのに・・・故郷にだって帰れません」
 そう、転生してからの人生を思い出せば出すほど、暗い気持ちになる。

 魔法使いは貴族の専売特許でも有り、例え才能(タレント)が少しでも金さえ有れば神聖魔法学校に入学でき、魔法使いに登録できる。魔法使いに登録すれば、少々魔法が下手でも生きていける。言わば、家を継げない貴族のニ男、三男の受け皿になっている。勿論、中には本物の才能がある魔法使いになる貴族もいる。
 
 だが、平民は才能(タレント)が全てだ。そして、魔法使いの才能が有ろうと、神聖魔法学校に入るには貴族の推薦と高い授業料が入り様で農民や平民にはとても無理だ。だから、たとえ才能の能力値が低くても、収入が得られる職種の方を選ぶ。
 僕はたまたま、才能が魔法に特化していて八才の時のタレント(才能)テストで魔法のみに反応し、その能力値はマックスに近い。だから、魔力は高くても他の能力は無いに等しいのだ。
 そんな僕がどうやって他の職業に就けると言うのか、しかも片腕となった今。

 「・・・まあ、怪我をしている時は暗い方向に考えがちだ。まず、怪我を直してから、ゆっくり考えろ。私も少なからず力になるから」そう言うと、僕の肩をぽんぽんと叩いた。
 行きかけた教授が戻って来て僕に囁いた。
 「そうそう、忘れるとこだった。お前は学校内で事故に巻き込まれたのだから慰謝料をふんだくってやったぞ。それと、教授陣からの見舞金と。・・全部で130ギガレルだ」
 「そんなに・・・」

 つまり、転生前の価値にすると、130万円くらいか。だが、ここの物価はもっと低いので、3倍くらいの価値になる。
     1ゴガレル(金貨)     
     100ギガレル(銀貨)   
     1000ドガレル(銅貨)
     (1ゴガレルは百万円・1ギガレルは一万円・1ドガレルは千円と同じくらいの価値)
     (他に、1エガレル(鉛貨)は百円相当の価値になる)
 
 普通に暮らせば二年、切り詰めれば三年は暮らせる大金だ。

 「まあ、少なくて済まん。これが精一杯だ。」そう言うと、今度こそ部屋から出て行った。

 慰謝料の話は本当だろう、でもきっと出たとしても雀の涙だ。そして、教授陣からの見舞金はありえない。
 つまり、ほぼワイリー教授のポケットマネーだ。
 ありがたかったが、申し訳無さが先に立つ。教授も決して金持ちでは無い。現に、いつも金が無い、研究費が足りないとぼやいている。この金はいざと言う時の為の虎の子だろう。

 僕は教授の思いを無駄にしないよう、ベットに戻った。起きていれば何かとんでもない事をしてしまいそううで。
 そうして、また、いつの間にか眠ってしまった。

 

 翌朝目覚めると、又、ワイリー教授が僕を覗き込んでいて吃驚させられる。
 「もう、心臓に悪いです。止めてくださいよ、教授」僕がそう言うと、ワイリー教授は二ヤリと笑った。
 「お前に見せたい物がある、傷はどうだ痛まないか?」
 「ええ、お陰さまで痛みは少ないです。ありがとうございます、治療費も碌に払えないのに」
 「ふん、こんな時に魔法を使わないで何時使う。相変わらず、守銭奴な奴らだ」
 
 この魔法学校に置いて、いや神聖魔法教会に置いて、魔法とはお金に換える手段であって、決して人助けの為の物ではない。だから、大怪我を負った僕は最低限度の治療は受けたがそれは魔法治療士からでは無い、医師の外科的治療のみだった。
 昨日旅から戻ったワイリー教授が現れて、それを見てとると僕に痛みの軽減と、傷の化膿止めと、回復を早める治療魔法を施してくれた。それだけでも凄いスクロールを使用した筈だ。使用したスクロールはその場で消えて無くなる。つまり、魔法を使用するには(自分に取って適応外の魔法は)スクロールや魔法書を買って発動しなければならない。つまり、魔法使い本人もお金を払って魔法を使うのである。

 では、自分の得意な魔法分野に置いては使い捨ての魔法書スクロールでは無く、魔法陣が映し取れる魔法詠嘆書を使う事ができるのである。








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