悪役令嬢はポジティブすぎて死亡フラグもクソもない!!

空蝉ノ十八番

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王立アカデミー。
それはカプチーノ王国にたった一校しか存在しない学校。
一般クラス、魔法クラス、武術クラスと三パターンの学部に分かれていて、それぞれの家柄や才能に応じて振り分けされる。
因みに兄であるフィリップやへロイスはここの卒業生であるが、それぞれが武術クラスと魔法クラスを主席で卒業していた。

「サザンカ様、今日からアカデミーへ復学となります」
「よ~っし!!頑張るわよ!!」

この日、サザンカは約一か月ぶりのアカデミーへの復学となっていた。
過去のサザンカは入学開始早々、クラスで一緒になった生徒に嫌がらせを連発、暫くの停学処分となってしまったせいだ。

うん、ホントに何をやらかしてんだ私!!

約一か月の学校か~
実質初めての学園生活となるわけではあるが…なんかもう楽しみでしかない!!
尚、そこに緊張と不安による概念を持ち合わせていないという。
鋼のメンタルに加えて変人でしかなかった。

「サザンカ様、到着しました」
「ありがとうシャロン!ほんじゃ行ってくるね~」

シャロンに見送られ、アカデミーを見上げる。
大きい建物。
流石は国に一校しかない学園なだけあって人も多い。
制服は学部ごとに色別がされていて、一般クラスが赤、魔法クラスが緑、武術クラスは青のようで、学年によって肩に縫われた星の刺繡に違いがあるよう。


"まあ、あれをご覧になって。サザンカ・ロベリー・エヴァーソンよ”

"復学した噂は本当だったようね”


ひそひそと話す生徒達。
気まずいとは思わない。
だって今のサザンカには新しい生活で新しい発見をしてみたい!!それしか考えていなかったから。
ある意味、とんだ肝が据わっていた。
悪役令嬢なのを忘れて、笑顔で挨拶しながらクラスにいくと集まる視線。

ん?私ってば人気者じゃん!!
ニコニコ笑顔で隣席の子に「おはよう~!」と話しかけてしまう。

「ひっ、、お、おはようございます!サザンカ様」
「え、なんでそんなビクビクして…あ、」

ようやく自分がゲームの悪役令嬢であることを思い出した。
学園生活の回は最も攻略キャラ達と出会う確率が高い。
比例してイベントも多い。
重要なエピソードとして今後も多く描かれているし、失敗したら首が飛ぶ。
つまりバットエンド。

ヒロインは五つも上なので学園に在籍することはない。
じゃあなんで学園イベントが存在するのか。
それはサザンカがメインのサブストーリー編として描かれていたからだ。
ヒロインいない学園での生活で女王様気取りのサザンカと学園でのヒロインと呼ばれる新キャラが登場する。
そのキャラは物語が進むにつれ、ヒロインとの関わりも増えていき、人気も高かった。


「でも誰だったっけ?」

あ~もう!
なっちゃんの話を曖昧にしてたせいで!!

思わず顔に出てしまう。
すると周りからは悲鳴が上がる。

おっと、いけない平常心!!

赤い制服に一つ星。
当然のようにサザンカは一般クラスだった。
武術クラスは男子生徒のみ入学を許可される中、魔力に精通する優秀な女子生徒は、その狭き門を突破して魔法クラスに入学することもできた。
優秀なエヴァーソン家ともなれば、魔法か勉学、どちらも秀でていておかしくはない。
だがサザンカは魔法も勉強も下の下。
作中でも間抜けな生徒として扱われていた。
それでも彼女の立場が守られていたのは、彼女が公爵令嬢だからだ。

てか、悪役令嬢の設定にしてはやりすぎだろ!!
どうなってんだよ!!!!公式!!

マジでこれには怒り狂いそうになる。
だが運が良かったな!!
今の自分は勉強大好きでしかないから授業は楽しくて仕方なかった。
これが終わったら図書館に調べ物でもしに行ってみようか。
やりたい事が次から次へと湧き出てきて退屈しない。
午前中はあっという間に終わった。

「やあ、サザンカ嬢」
「ん?」

午後の支度を始めていれば誰かが声をかけてくる。
顔を上げれば、そこにいたのはブルーブラックの髪が特徴的な美しい青年だった。

「一か月ぶりですね!お元気でしたか」
「えっと…」

マズい…この人、誰だっけ、、、

急いで物語に出てくるキャラをおさらいしていく。
ブルーブラック…ブルーブラック…ブルーブラックの学園に登場するキャラクターは…

あ、一人いたではないか!!!

みっちゃん情報でうる覚えだが、学園でもサザンカがしつこく恋してつきまとっていた謎の青年。
確か名前は…シュレイク・ナハル・ワンギーソン!

エラスチカ・ワンギーソン染色みたいな名前~で覚えていたキャラだ。

「お久しぶりです。シュレイク様」
「俺の名前を覚えていてくれたんですね。まああれだけ話されれば当然か」

ん?なんだこの妙な違和感。
目の前の彼は確かに笑顔なのに顔が笑ってないような~

彼・シュレイクは三大公爵家の一つ、ワンギーソン家の三男だ。
ブルーブラックの髪は満月に流浪する狼のような美しさで、光に反射すると青色が映える。
カプチーノ王国では行政に司る仕事に直結した家門で、またの名を『国の金庫番』。
エヴァーソン家とも肩を並べる強豪家。
学問に対する優秀さは代々筋金入りで、シュレイクも今回の入学試験では一般クラスを主席で入学していたはず。
みっちゃん情報では各クラスには階級も存在すると言っていた。
それぞれ生徒の能力に合わせて与えられたAからDのクラスで、上にいくほど優秀。

シュレイクのクラスはA。

つまりは、一般クラスの上位というとこか。

「シュレイク様ぁ~?なに話してるんですかぁ??」

後ろからは知らない女子達が話かけてくる。
サザンカと同じクラスの子達だ。
因みにここはBクラス。

「こんなとこで話してないでコッチに行きましょ?なんかここ空気が悪いですぅ~」

コッチを向きながら言ってくるあたり、、、

うん、完全に私に向かって言ってるな!?

もう目が女の目そのものなの丸わかり。
あの、なんていうか…
女子あるあるの強い敵意の目。
懐かしいな~
前世のクラスにもそういう子いたわ~

普通ならここでサザンカが癇癪を起こして騒ぎを起こす。
クラスを巻き込んで、教員にバレて処罰を受ける。
ここまでがお決まりの流れ。
サザンカは婚約者がいながら、学園でもやりたい放題だった。
美しく優秀なシュレイクに目をつけたのも早かった。
彼に取り入ろうと奮闘する中、あの手この手でストーカーまがいな嫌がらせ行為を連発。
そして嫌われていたようだ。

シュレイク相手に墓穴を掘ったのが例の停学の件だったというわけか、、、

すご!
我ながら凄まじい考察力!!
やっぱ私ってば天才なんだ!!!

「あ、もう大丈夫です。大した話してないので!!」
「え、は?」
「じゃあ私はこれで。ご機嫌よう~!」

こういう時は相手にしないに限る。
サザンカはニコリと笑って立ち去った。
そのいつもとは違う反応に女子達は驚いて固まってしまい、シュレイクもビックリしていたようだったが、心底どうでもよかったのでそのまんま教室を飛び出した。
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