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「ってことでお兄ちゃん、今日から特訓宜しくです!!」
帰宅後、早々にサザンカが尋ねたのはへロイスの部屋。
「お兄ちゃん、今って暇?」
「………」
中に入ると相変わらずの汚さだ。
本や書類が無造作に床に落ち、足の踏み場もない。
ひょっこりと顔を覗かせれば、へロイスは体をブルブルと震わせやがて溜息をつく。
「オマエな…魔法の授業は週一回だけの約束だっただろ?」
「今日は別のお願いしにきた」
「……腹筋企画ならやんねェぞ??」
「違う!なんでそうなる⁈」
「オマエの頼みなんてろくな企画の誘いでしかない」
「ひっど!!」
なんて意地悪な兄貴だ!
私が毎回毎回そんな企画を開催してるとでも⁈(事実)
全く……私をなんだと思っているのか、、、
「魔法の強化訓練したいの。そうじゃないと私の命が危ない!だからお兄ちゃん!!私にビームの出し方教えて」
「は?」
サザンカのお願いにへロイスは訳の分からないと言った顔をする。
それもその筈、サザンカには説明する内容をだいぶへし折るといった癖があった。お陰で聞き手は何の話をされているのか偶に分からないまま、危機的な状況に見舞われる機会が多い。
「てか部屋汚な、、、」
「仕方ないだろ~ここんとこ徹夜続きなんだから」
へロイスは目の下に薄っすらと隈を拵えながら、お疲れモードだ。
この様子じゃ数日はまともに寝れてないのだろう。
ふん!だがそれがどうした!!
そんな兄に慈悲の心なんてものを持たないのが妹である。
妹とは兄貴を利用するために生まれてくるのだ(クソ)!
さっそくニコニコしながら異能実地訓練についてをへロイスに話す。
「あぁ、もうそんな時期か」
「お兄ちゃんもやったんでしょ?実際にやってみてさ、どんな感じだった?」
二人はエヴァーソン家の裏山に入れば、さっそく魔法の訓練を開始する。
いやいや言ってたくせにちゃんと付き合ってくれるあたり…ホントは優しい兄なのだ。
「別に。難しいことはねぇよ。ようは班の奴らと魔物を狩ればいいだけで。ポイントが欲しければ制限時間内に魔物五体、もしくは相手の班に攻撃されず生き残ってられればいいだけだ」
「え、…攻撃されるって??」
「攻撃は攻撃だろ。誰が魔物を倒すだけなんて言った。魔物なんて所詮は魔法勢だけで事足りる。それを全学部合同制にして、なんなら家の人間まで招待されてんだ。意味するものが何なのかなんて分かるだろ」
ま、まさか…それって家柄同士の腹の探り合い?
生徒同士の戦いは家にも影響を示す。
言わば実力は家門を左右するということ。
アカデミーで活躍すれば家門に貢献し、逆に活躍できなければ批難される。それは地位の高い家ほど重要な役割を果たす訳で。
「つまり…公爵家であるウチは失態なんてしたらヤバイ感じ?」
「多分?三大公爵家なん誰だって手に入れたい相手。反感も称賛もまちまちだけど。少なくとも王族派の三大公爵家を更に下で支持する貴族達には恥ずかしい真似なん見せられない。いつ裏切られて蹴落とされても文句は言えない地位なんだ。手綱はしっかり握っとかないと、最悪こっちの首が飛ぶぞ」
「怖いこと言わないで!!!!」
はいこれもう確実に終了案件ですぜ☆
それもう学園のイベントでも何でもないじゃん!!
ようは家同士の小競り合いに巻き込まれてるだけ。
親達が観てる中で魔物を狩って。
同時に高位貴族の地位を蹴落とす隙が生まれやすいというナンセンスなイベントでしたとさ。
「いじめ反対!!」
「まあそう怒るなよ。エヴァーソン家はそんな貧弱じゃない。過去参加した人間は皆優勝してる。もちろんこの俺もだ!」
いやそんな自慢げに言われても…。
へロイス、フィリップ、ロエナ。
皆してアカデミーの卒業生。
三人して異能実地訓練では輝かしい功績を残し、アカデミーでも有名人とされてるけど。
こっちは悪役令嬢サザンカでザコキャラ認定なんだよ!!
ストーリーでもしっかりイベントでやらかして退学処分くらってたし。
「まあでもこのままいけばオマエのせいで家が潰れるかもな~なんなら少し潰れてるけど」
「な、なんだと⁈」
「そうだろ~ザリガニ企画だなんだって。この前もバラ園の土掘り起こしやがって。帰ったと思ったら泥だらけの水浸し。屋敷中が騒ぎまくったわ」
「だ、だって。どうしてもザリガニ釣りがしたかったんだもん」
「それがなんでバラ園なんだよ⁈」
「バラ園の土は栄養がいいの。ミミズ沢山いるんだもん!」
「ミミズだ⁈ったく、オマエって奴は、、、」
へロイスは段々とキレ気味。
ついポロっと口が滑ってしまった。
令嬢がミミズを取るなんて、それこそお父様に報告案件だ。
黙っておこうと思っていたのに、、、
「謹慎されたいのか?」
「いやだ!私は太陽に生かされて太陽と共に死ぬ」
「下らないこと言ってんな。俺がこれを上に報告するのが先か、バラ園を元に戻すのが先か。選べ」
「ここで二者択一してこないで?」
だがここで一つ、サザンカは自分が致命的なミスをしていたことに気づく。
それは紛れもなく、バラ園でバラを育てていたのはロエナであるという点。更にはそのバラ園はロエナの亡き母親が大切にしていたもの。
亡き母親の好きだったバラ。
それを父親である公爵はこよなく愛し、ロエナが母親に変わってバラを育てていた。
バラ園のバラはロエナの手によって満開に咲き乱れ、公爵も蘇ったバラ園に感動して嬉しみの涙を流していた。
土の成分が他よりかなり栄養価が高い。
バラが満開~それってミミズの繫殖が盛んだからだ~だなんて、、、そんな理由で隠された事実を忘れて土を掘り起こしてしまった。
奇跡的に目立つ場所は避けて掘ったが、ロエナが手入れに足を踏み入れたらバレてしまう。
サザンカは一気に顔を真っ青にする。
「お、お姉様にはまだ…バレてないよね、、、?」
「さあな。オマエの執事は耳が聞くみたいだし?この話もあながち聞かれてるかもな?使用人経由で姉上に報告がいってたらもうバレてるんじゃね?」
「そ、そしたら私…殺される?」
「俺はオマエが一回殺されて、んで頭リセットされるのもあり」
「お兄ちゃーん!!!!いやだ見捨てないで!」
必死にへロイスにしがみつく。
向こうは冗談なのか本気なのか分からない。
だがこの意地悪い笑みを浮かべた顔…完全に妹を虐めて楽しむクソ兄貴だ。
「どっすっかな~」
「へロイス様、どうかお情けを。証拠隠滅に手伝ってくれたらいい事あります!」
「へ~どんな?」
「私の一か月のおやつ。そっくりそのままあげる」
「いや、いらねぇよ」
「じゃあ腹筋に付き合ってあげる」
「するかよ!そんなもん!」
「じゃ、じゃあ…他にできることなんでもするよ!」
「…言ったな?」
あ、ヤバイ。
勢いに任せてなんでもするなんて言うんじゃなかった。
なんか謎にニヤニヤしてるし…コイツの考えることなんてどうせろくなことじゃない。
(は!!まさか!)
このまま黒魔法の生贄になれとか言われちゃう系⁈
へロイスの闇落ちルートを回収する動きは受賞式に参加したことで達成できたと思っていたけど。
弟とはいえ、へロイスは本来攻略キャラの一人。
ロエナ大好きのヤンデレ拗らせ野郎。
ロエナを手に入れるためなら手段を選ばない影の魔法師。
サザンカを黒魔法で殺し、兄まで葬ろうと企んだキャラだ。
ヒロインが受賞式に参加しないと効果はなかったり???
「お、お兄ちゃん…私は長生きしたいタイプでして、、、」
「あ?それがどうしたんだよ」
「それがし魔法を使って死にました~なんて冗談だけは死んでも避けたいのですけど。いかがでしょうか?」
汗がダラダラ。
へロイスは首を傾げてサザンカを見た。
「当たり前だろ。魔法は正しく規定に基づいて使用される高度な異能。それをぞんざいに扱いましたじゃ済まないだろ」
「そ、そうですよね~!!アハハ!…」
「変な奴だな…」
弟であっても所詮は攻略キャラ。
ヒロインの悲しむ顔なんて見たくもないだろうし。
他のキャラと結ばれても尚、ヒロインの視覚に残ろうとした人間。
愛に飢え、愛することをヒロインから学んだ。
だからその執着心はハンパではない。
その気があればいつだって私を黒魔法で殺そうとしてくるはず。
それが悪役令嬢に与えられた、この物語の宿命。
「…商店街」
「…え?」
「最近、商店街に新しくケーキの店ができたの知ってるだろ。あそこのモンブラン食いたいから、それに付き合え。それでチャラだ」
モンブラン??
サザンカは首を傾げる。
確かへロイスの苦手なものは甘い物(特にお菓子類全般)と公式設定されてた。
そんな彼が自分から進んでケーキを食べるとは思えない。
モンブランはどっちかという私が好きな食べ物で、、、!
「お兄ちゃん…もしかして、」
「分かったらさっさと始めんぞ」
お兄ちゃんは何も言わずに歩いて行ってしまう。
もしや私が食べたがっていたのを察して…そう思ったら嬉しくて後ろから抱きついた。
「は⁈ば、ばか、、何やって//」
「ふふっ、お兄ちゃん大好きだよ!!」
「!!なんだよ…それ、、」
だが隠れた口元は緩めば嬉しそう。
機嫌が直ったようで安心した。
「ロエナお姉様のバラ園、魔法で元通りにできる?」
「この俺ができないとでも?」
「流石ですへロイス様!じゃあ今度からミミズは野菜ある場所で取るね!」
「…前言撤回だ」
「なんで⁈」
それには「バカかオマエは!」とへロイスがげんこつ。
頭を抑えながらへロイスを睨めば、向こうは呆れ顔だった。
「はぁ…全く。退屈は嫌いだけど面倒な妹のお守りはもっと嫌だな」
「私がなんだって?」
「なんでもねぇよ。まあとにかく、あんま姉上を困らせるなよ?オマエは計画性がなくて困る。だから今度から何かする時はまず俺に聞け。いいな?」
「うい」
「よし。じゃあ始めんぞ。まずは異能実地訓練の形式とやり方の説明からだ。当日はもっと多くの人間を相手することになるからな。自分の身は自分で守れるよう守備・攻撃の魔法習得は必須」
「はいはい!私、手からビーム出したい!!」
「出せるか、んなもん!」
帰宅後、早々にサザンカが尋ねたのはへロイスの部屋。
「お兄ちゃん、今って暇?」
「………」
中に入ると相変わらずの汚さだ。
本や書類が無造作に床に落ち、足の踏み場もない。
ひょっこりと顔を覗かせれば、へロイスは体をブルブルと震わせやがて溜息をつく。
「オマエな…魔法の授業は週一回だけの約束だっただろ?」
「今日は別のお願いしにきた」
「……腹筋企画ならやんねェぞ??」
「違う!なんでそうなる⁈」
「オマエの頼みなんてろくな企画の誘いでしかない」
「ひっど!!」
なんて意地悪な兄貴だ!
私が毎回毎回そんな企画を開催してるとでも⁈(事実)
全く……私をなんだと思っているのか、、、
「魔法の強化訓練したいの。そうじゃないと私の命が危ない!だからお兄ちゃん!!私にビームの出し方教えて」
「は?」
サザンカのお願いにへロイスは訳の分からないと言った顔をする。
それもその筈、サザンカには説明する内容をだいぶへし折るといった癖があった。お陰で聞き手は何の話をされているのか偶に分からないまま、危機的な状況に見舞われる機会が多い。
「てか部屋汚な、、、」
「仕方ないだろ~ここんとこ徹夜続きなんだから」
へロイスは目の下に薄っすらと隈を拵えながら、お疲れモードだ。
この様子じゃ数日はまともに寝れてないのだろう。
ふん!だがそれがどうした!!
そんな兄に慈悲の心なんてものを持たないのが妹である。
妹とは兄貴を利用するために生まれてくるのだ(クソ)!
さっそくニコニコしながら異能実地訓練についてをへロイスに話す。
「あぁ、もうそんな時期か」
「お兄ちゃんもやったんでしょ?実際にやってみてさ、どんな感じだった?」
二人はエヴァーソン家の裏山に入れば、さっそく魔法の訓練を開始する。
いやいや言ってたくせにちゃんと付き合ってくれるあたり…ホントは優しい兄なのだ。
「別に。難しいことはねぇよ。ようは班の奴らと魔物を狩ればいいだけで。ポイントが欲しければ制限時間内に魔物五体、もしくは相手の班に攻撃されず生き残ってられればいいだけだ」
「え、…攻撃されるって??」
「攻撃は攻撃だろ。誰が魔物を倒すだけなんて言った。魔物なんて所詮は魔法勢だけで事足りる。それを全学部合同制にして、なんなら家の人間まで招待されてんだ。意味するものが何なのかなんて分かるだろ」
ま、まさか…それって家柄同士の腹の探り合い?
生徒同士の戦いは家にも影響を示す。
言わば実力は家門を左右するということ。
アカデミーで活躍すれば家門に貢献し、逆に活躍できなければ批難される。それは地位の高い家ほど重要な役割を果たす訳で。
「つまり…公爵家であるウチは失態なんてしたらヤバイ感じ?」
「多分?三大公爵家なん誰だって手に入れたい相手。反感も称賛もまちまちだけど。少なくとも王族派の三大公爵家を更に下で支持する貴族達には恥ずかしい真似なん見せられない。いつ裏切られて蹴落とされても文句は言えない地位なんだ。手綱はしっかり握っとかないと、最悪こっちの首が飛ぶぞ」
「怖いこと言わないで!!!!」
はいこれもう確実に終了案件ですぜ☆
それもう学園のイベントでも何でもないじゃん!!
ようは家同士の小競り合いに巻き込まれてるだけ。
親達が観てる中で魔物を狩って。
同時に高位貴族の地位を蹴落とす隙が生まれやすいというナンセンスなイベントでしたとさ。
「いじめ反対!!」
「まあそう怒るなよ。エヴァーソン家はそんな貧弱じゃない。過去参加した人間は皆優勝してる。もちろんこの俺もだ!」
いやそんな自慢げに言われても…。
へロイス、フィリップ、ロエナ。
皆してアカデミーの卒業生。
三人して異能実地訓練では輝かしい功績を残し、アカデミーでも有名人とされてるけど。
こっちは悪役令嬢サザンカでザコキャラ認定なんだよ!!
ストーリーでもしっかりイベントでやらかして退学処分くらってたし。
「まあでもこのままいけばオマエのせいで家が潰れるかもな~なんなら少し潰れてるけど」
「な、なんだと⁈」
「そうだろ~ザリガニ企画だなんだって。この前もバラ園の土掘り起こしやがって。帰ったと思ったら泥だらけの水浸し。屋敷中が騒ぎまくったわ」
「だ、だって。どうしてもザリガニ釣りがしたかったんだもん」
「それがなんでバラ園なんだよ⁈」
「バラ園の土は栄養がいいの。ミミズ沢山いるんだもん!」
「ミミズだ⁈ったく、オマエって奴は、、、」
へロイスは段々とキレ気味。
ついポロっと口が滑ってしまった。
令嬢がミミズを取るなんて、それこそお父様に報告案件だ。
黙っておこうと思っていたのに、、、
「謹慎されたいのか?」
「いやだ!私は太陽に生かされて太陽と共に死ぬ」
「下らないこと言ってんな。俺がこれを上に報告するのが先か、バラ園を元に戻すのが先か。選べ」
「ここで二者択一してこないで?」
だがここで一つ、サザンカは自分が致命的なミスをしていたことに気づく。
それは紛れもなく、バラ園でバラを育てていたのはロエナであるという点。更にはそのバラ園はロエナの亡き母親が大切にしていたもの。
亡き母親の好きだったバラ。
それを父親である公爵はこよなく愛し、ロエナが母親に変わってバラを育てていた。
バラ園のバラはロエナの手によって満開に咲き乱れ、公爵も蘇ったバラ園に感動して嬉しみの涙を流していた。
土の成分が他よりかなり栄養価が高い。
バラが満開~それってミミズの繫殖が盛んだからだ~だなんて、、、そんな理由で隠された事実を忘れて土を掘り起こしてしまった。
奇跡的に目立つ場所は避けて掘ったが、ロエナが手入れに足を踏み入れたらバレてしまう。
サザンカは一気に顔を真っ青にする。
「お、お姉様にはまだ…バレてないよね、、、?」
「さあな。オマエの執事は耳が聞くみたいだし?この話もあながち聞かれてるかもな?使用人経由で姉上に報告がいってたらもうバレてるんじゃね?」
「そ、そしたら私…殺される?」
「俺はオマエが一回殺されて、んで頭リセットされるのもあり」
「お兄ちゃーん!!!!いやだ見捨てないで!」
必死にへロイスにしがみつく。
向こうは冗談なのか本気なのか分からない。
だがこの意地悪い笑みを浮かべた顔…完全に妹を虐めて楽しむクソ兄貴だ。
「どっすっかな~」
「へロイス様、どうかお情けを。証拠隠滅に手伝ってくれたらいい事あります!」
「へ~どんな?」
「私の一か月のおやつ。そっくりそのままあげる」
「いや、いらねぇよ」
「じゃあ腹筋に付き合ってあげる」
「するかよ!そんなもん!」
「じゃ、じゃあ…他にできることなんでもするよ!」
「…言ったな?」
あ、ヤバイ。
勢いに任せてなんでもするなんて言うんじゃなかった。
なんか謎にニヤニヤしてるし…コイツの考えることなんてどうせろくなことじゃない。
(は!!まさか!)
このまま黒魔法の生贄になれとか言われちゃう系⁈
へロイスの闇落ちルートを回収する動きは受賞式に参加したことで達成できたと思っていたけど。
弟とはいえ、へロイスは本来攻略キャラの一人。
ロエナ大好きのヤンデレ拗らせ野郎。
ロエナを手に入れるためなら手段を選ばない影の魔法師。
サザンカを黒魔法で殺し、兄まで葬ろうと企んだキャラだ。
ヒロインが受賞式に参加しないと効果はなかったり???
「お、お兄ちゃん…私は長生きしたいタイプでして、、、」
「あ?それがどうしたんだよ」
「それがし魔法を使って死にました~なんて冗談だけは死んでも避けたいのですけど。いかがでしょうか?」
汗がダラダラ。
へロイスは首を傾げてサザンカを見た。
「当たり前だろ。魔法は正しく規定に基づいて使用される高度な異能。それをぞんざいに扱いましたじゃ済まないだろ」
「そ、そうですよね~!!アハハ!…」
「変な奴だな…」
弟であっても所詮は攻略キャラ。
ヒロインの悲しむ顔なんて見たくもないだろうし。
他のキャラと結ばれても尚、ヒロインの視覚に残ろうとした人間。
愛に飢え、愛することをヒロインから学んだ。
だからその執着心はハンパではない。
その気があればいつだって私を黒魔法で殺そうとしてくるはず。
それが悪役令嬢に与えられた、この物語の宿命。
「…商店街」
「…え?」
「最近、商店街に新しくケーキの店ができたの知ってるだろ。あそこのモンブラン食いたいから、それに付き合え。それでチャラだ」
モンブラン??
サザンカは首を傾げる。
確かへロイスの苦手なものは甘い物(特にお菓子類全般)と公式設定されてた。
そんな彼が自分から進んでケーキを食べるとは思えない。
モンブランはどっちかという私が好きな食べ物で、、、!
「お兄ちゃん…もしかして、」
「分かったらさっさと始めんぞ」
お兄ちゃんは何も言わずに歩いて行ってしまう。
もしや私が食べたがっていたのを察して…そう思ったら嬉しくて後ろから抱きついた。
「は⁈ば、ばか、、何やって//」
「ふふっ、お兄ちゃん大好きだよ!!」
「!!なんだよ…それ、、」
だが隠れた口元は緩めば嬉しそう。
機嫌が直ったようで安心した。
「ロエナお姉様のバラ園、魔法で元通りにできる?」
「この俺ができないとでも?」
「流石ですへロイス様!じゃあ今度からミミズは野菜ある場所で取るね!」
「…前言撤回だ」
「なんで⁈」
それには「バカかオマエは!」とへロイスがげんこつ。
頭を抑えながらへロイスを睨めば、向こうは呆れ顔だった。
「はぁ…全く。退屈は嫌いだけど面倒な妹のお守りはもっと嫌だな」
「私がなんだって?」
「なんでもねぇよ。まあとにかく、あんま姉上を困らせるなよ?オマエは計画性がなくて困る。だから今度から何かする時はまず俺に聞け。いいな?」
「うい」
「よし。じゃあ始めんぞ。まずは異能実地訓練の形式とやり方の説明からだ。当日はもっと多くの人間を相手することになるからな。自分の身は自分で守れるよう守備・攻撃の魔法習得は必須」
「はいはい!私、手からビーム出したい!!」
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