転生したら推しの婚約者でした。悪役令嬢ですが執着されてます!

桜咲ちはる

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Prologue

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「イーギス様!イーギス様の愛する人は他にいます!」

 ドレスを持ち上げて全力で走る私を、イーギス様は追いかけてくる。人生の最推しに追いかけられるこの状況を、誰もが一度は夢見たことがあるだろう。だけど私はヒロイン×イーギス様のカップリングが見たいのだ。

「ナターシャ、何でそんなことを言うんだい?」

 私が居てもお構いなしに女遊びをしてたから安心しきっていた。イーギス様の腕が私に伸び、抱きしめる。じたばた暴れても、力強いイーギス様の腕の中からは逃げられやしない。

「俺がどれほどナターシャのことを愛してると思ってるんだ」

 私の首元に吸い付いて、イーギス様が愛を囁く。私はイーギス様の幸せのために、フローラと結ばれてほしいのに。甘い言葉に揺らいでしまう。

「イーギス様、私は悪役令嬢です」
「ナターシャは俺のフィアンセだ。お願いだから、どこにも行かないで」

 最近のイーギス様からは想像つかないようなか細い声に、私はイーギス様の方を向く。美しい顔、深い紺色の瞳、長いまつ毛に白い肌。一つ一つが私の大好きなイーギス様そのもので。

「ダメですって」

 だからこそ幸せになってほしい。私は心を鬼にしてイーギス様を突き放す。イーギス様、私の一生のお願いです。

「誰よりも幸せになってください」

 それがファンの、1番の望みなんだから。
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