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2章 夢は侍女になることです
25話 住み込み
グランドル公爵の許可が下りて、私はグランドル公爵邸に荷物を持ってきていた。グランドル公爵がすんなり許可してくれたことにも驚いたけど、やっぱり再婚したからこそイーギス様を心配していたのだろうか。
「ナターシャ、本当に来たんだ」
「ええ。今日からイーギス様の侍女になりますわ」
出迎えてくれたイーギス様が私を見て瞬きをする。イーギス様に宣言すると、「え」とイーギス様が固まった。
「侍女?婚約者としてじゃなくて?」
「はい。お父様には内緒ですが、私は侍女の仕事をするために来たんですわ」
戸惑うイーギス様に改めて言うと、イーギス様は俯いた。
「そっか……」
「私、侍女長に挨拶してくるのでまた後でですわイーギス様」
荷物はキャシー達に部屋に運んでもらって、私はセバスチャンにお願いして侍女長に会いに行く。
「あら、ナターシャ様。どうしたの?」
「侍女長!私に仕事を教えてください。私、イーギス様付きの侍女になりたいんです」
頭を下げると侍女長が驚いた声を出す。
「な、何言ってるんです!未来の若奥様が侍女の仕事なんてそんな」
「お願いです、どうしてもやりたいんです」
侍女長は戸惑いセバスチャンに耳打ちする。セバスチャンが部屋を出ていき、数分で戻ってきた。
「旦那様の許可が下りました。ナターシャ様の好きにしていいと」
「そうかい。それならイーギス様のお世話だけだよ」
セバスチャンと侍女長がため息を吐く。それでも許可が下りたことにほっとして、私は喜んだ。
「はい!よろしくお願いします」
早速私は先輩のテレサと一緒にイーギス様の部屋に行く。
「ナターシャ様に仕事教えるの緊張します」
「気にしないでください。ビシバシ働きますから」
侍女の仕事は初めてだけど、前世ではバリバリ働いてたから少しは役に立つだろう。コンコンとテレサが部屋をノックすると、イーギス様がドアを開けてくれた。
「ナターシャ、本当にするの?」
「ええ。私の夢でしたの。イーギス様が心地よくなれるよう部屋を綺麗にしますわ」
テレサに教わりながら部屋を清掃していると、イーギス様がベッドから私を眺める。私はキャシーが部屋の掃除をする時は部屋にいないから、見られてるのはなんだか落ち着かない。
「イーギス様、遊んでていいですわよ」
「ううん、ナターシャを見てる」
はっきりそう言われてしまっては出ていけなんて言えなくて、気まずそうに掃除する私にテレサが苦笑した。はたきで本棚を清掃してると下がった拍子に後ろにあったバケツに足を引っかけてしまう。
「ナターシャ!」
体制を崩した時イーギス様の声が聞こえて、ぐんっと強く腕を引っ張られた。イーギス様の顔が近くにある。
「大丈夫?」
「え、ええ……。ありがとうございます」
恥ずかしくて俯くと、イーギス様が私の背中に手を添えて距離を詰めてくる。後ろに下がると本棚にかかとがぶつかった。トンッとイーギス様の左手が本棚につく。
「ナターシャ、おっちょこちょいなところも可愛いね」
にこっと笑うイーギス様の破壊力に、私はぼっと顔が熱くなった。
「か、からかわないでください」
「何で?ナターシャはこういうのが好きだろう?」
イーギス様の胸を押すと、イーギス様は気にせず私の鼻先にキスを落とす。いつもの可愛いって感じじゃなく、色気ただ漏れでイーギス様の顔が見れない。
「照れてる、可愛い」
なんか、イーギス様の様子が変なのは気のせい?
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