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第二章 海岸貿易国ポーラル編
35 魔界
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かつ、かつ。靴の音が響き渡る。
禍々しい装飾の施された廊下を、メナンカートでリヴァイアサンに酒(?)を渡した売り子の男が歩く。
「おっと、まだ変装がとけていませんでした。」
男はゆびをならすと、いくつもの魔方陣が彼の体をつつみこみその服をかえる。
黒い靴、黒い服。全身黒で覆った装いと、その釣りあがった目からはどことなく不気味さを感じるようだった。そして何よりも、彼は白い髪をしていた。
重厚なドアを開ける。
ギィィィ
「おやおや、人間の裏切り者じゃないか。」
「人聞きの悪いことをおっしゃらないでください、シャルヴァン様、私はもとより人間の味方ではございません。」
大きな暗い部屋の中に、立派な角を生やした魔族が立派な椅子に座っていた。
その魔族の名は魔王軍四天皇シャルヴァン。魔王に仕える偉大なる魔族である。
「それで?ポーラルの首都、メナンカートは?」
「残念ながら、Sランク冒険者である剣聖サイカ=グランにトゥルガー=リヴァイアサンを鎮圧させられてしまいました。」
「ははは、やはり貴様の策は失敗だったな。リヴァイアサンを街に自然と誘導し、ポーラルの首都であるメナンカートを襲撃させて弱らせる。その弱った隙に我らが魔族の軍勢を叩き込む、だったか?やはり小細工などでうまくいくほど、戦争は簡単ではないな。」
「それは思わぬアクシデントがあってのことです。まさか剣聖がいるとは思わないでしょう、それに剣聖がいるのでしたら今ポーラルに攻めるのまずいでしょう。それが分かっただけでも十分、私の功績と言えるのではないでしょうか。」
「お前はやはり面白い、どうしても手柄が欲しいか。」
「えぇそれはもちろん。悪魔でも魔族でも、なんでもです。人間を滅ぼせるのなら何にだって助力いたします。」
「ははは、さすがだ。どうしてお前はそこまで人間を忌み嫌う。お前だって人間だろうに、ウルー=トランカ。」
「そんなのどうだっていいじゃないですか。過去のことはきれいさっぱり忘れましょう。今ここにいる私は、シャルヴァン様直属、魔王軍機密情報調達班ウルーでございます。」
「人間を嫌うのは我々魔族と一緒だ。それゆえに、貴様を魔王軍に入れるのに反対のやつはまだ大勢いるのだぞ。お前が実は人間から送り込まれたスパイなんじゃないかなんて声も一定数上がってる。」
「えぇ、ですからそんな私を部下にしていただいたシャルヴァン様には感謝しかございません。功績をあげて、シャルヴァン様に恩返しが至当ございます。」
「そんな気、全くないだろうに。ただ人間を滅ぼしたいだけだろう?」
「あら、ばれてしまいましたか。それより、こちらをどうぞ。」
ウルーは大きな魔方陣を指で描き、スクリーンのようなものを出す。
そこはメナンカートの街だった。
「相変わらずお前の固有能力(オリジナルスキル)には驚かされる。ここまで鮮明な映像伝達が可能なのは魔王軍でもお前ぐらいだろう。」
「どうです?こんなのどかな街で人間たちは意気揚々と暮らしているのです。皆がにぎわい、皆が笑っている。さも、世界中の人間が幸せかのように。誰かが不幸になることだなんて一向にかまいやしない、自分さえよければ、自分さえよければ!そんな傲慢で強欲な生物なんて」
「おいウルー、貴様の人間愚痴は聞き飽きた。本題に入れ。」
「おっと、これは失礼しました。」
ウルーは手を口に当てて、こほんという。
「こちらが今回私が誘導した海龍帝王種トゥルガー=リヴァイアサンです。人間の街に入る際はこのような人化形態をとるようでしたが、監視していた限り魔力量やその強さに変化はあまりないようでしたが大きさによるメリットは失われるようでした。どうやら彼女は幼い子供が好きなようで、イミナと呼ばれる幼いBランク冒険者とともに行動をしていました。」
「どこかで聞いたことがあるような名前だな。」
「先日悪魔帝トゥルモティアスをソロで討伐したという大物新人冒険者です。」
「あぁそうだ。人間の記事でみた覚えがある。150レベルほどの悪魔帝を単騎で倒すとは見事なものだと思ってね。私も悪魔帝を召喚して戦いたいなどと思ったわ。」
「お願いですからやめてくださいね?魔族と悪魔は中立の関係、そこで争いを起こさないでいただきたい。」
「わかったわかった、じゃあ話を戻せ。」
「はい。そのBランク冒険者が離れた隙をみて、麻薬であるアジャジャ―ルの種を仕込ませた飲み物を飲ませました。結果見事に暴れ始め、新米Bランク冒険者を追い込みましたがそこで剣聖によって鎮圧させられたのです。その時点で私は計画の失敗のためここ魔王軍本部に転移魔法を使って帰還したのでございます。」
「おい待て、なんだかこいつ変じゃないか?」
「えぇそうです。この新米冒険者、何やら怪しい黒い物体と共存しているのです。先日の記事を見返したところ、彼はリミドとよばれる高位の悪魔だそうです。」
「ほう、悪魔を従えているとは珍しい。これは、オリジナルだな。こんな悪魔は見たこともない。」
「えぇ。一応目をつけておくべきかと。」
禍々しい装飾の施された廊下を、メナンカートでリヴァイアサンに酒(?)を渡した売り子の男が歩く。
「おっと、まだ変装がとけていませんでした。」
男はゆびをならすと、いくつもの魔方陣が彼の体をつつみこみその服をかえる。
黒い靴、黒い服。全身黒で覆った装いと、その釣りあがった目からはどことなく不気味さを感じるようだった。そして何よりも、彼は白い髪をしていた。
重厚なドアを開ける。
ギィィィ
「おやおや、人間の裏切り者じゃないか。」
「人聞きの悪いことをおっしゃらないでください、シャルヴァン様、私はもとより人間の味方ではございません。」
大きな暗い部屋の中に、立派な角を生やした魔族が立派な椅子に座っていた。
その魔族の名は魔王軍四天皇シャルヴァン。魔王に仕える偉大なる魔族である。
「それで?ポーラルの首都、メナンカートは?」
「残念ながら、Sランク冒険者である剣聖サイカ=グランにトゥルガー=リヴァイアサンを鎮圧させられてしまいました。」
「ははは、やはり貴様の策は失敗だったな。リヴァイアサンを街に自然と誘導し、ポーラルの首都であるメナンカートを襲撃させて弱らせる。その弱った隙に我らが魔族の軍勢を叩き込む、だったか?やはり小細工などでうまくいくほど、戦争は簡単ではないな。」
「それは思わぬアクシデントがあってのことです。まさか剣聖がいるとは思わないでしょう、それに剣聖がいるのでしたら今ポーラルに攻めるのまずいでしょう。それが分かっただけでも十分、私の功績と言えるのではないでしょうか。」
「お前はやはり面白い、どうしても手柄が欲しいか。」
「えぇそれはもちろん。悪魔でも魔族でも、なんでもです。人間を滅ぼせるのなら何にだって助力いたします。」
「ははは、さすがだ。どうしてお前はそこまで人間を忌み嫌う。お前だって人間だろうに、ウルー=トランカ。」
「そんなのどうだっていいじゃないですか。過去のことはきれいさっぱり忘れましょう。今ここにいる私は、シャルヴァン様直属、魔王軍機密情報調達班ウルーでございます。」
「人間を嫌うのは我々魔族と一緒だ。それゆえに、貴様を魔王軍に入れるのに反対のやつはまだ大勢いるのだぞ。お前が実は人間から送り込まれたスパイなんじゃないかなんて声も一定数上がってる。」
「えぇ、ですからそんな私を部下にしていただいたシャルヴァン様には感謝しかございません。功績をあげて、シャルヴァン様に恩返しが至当ございます。」
「そんな気、全くないだろうに。ただ人間を滅ぼしたいだけだろう?」
「あら、ばれてしまいましたか。それより、こちらをどうぞ。」
ウルーは大きな魔方陣を指で描き、スクリーンのようなものを出す。
そこはメナンカートの街だった。
「相変わらずお前の固有能力(オリジナルスキル)には驚かされる。ここまで鮮明な映像伝達が可能なのは魔王軍でもお前ぐらいだろう。」
「どうです?こんなのどかな街で人間たちは意気揚々と暮らしているのです。皆がにぎわい、皆が笑っている。さも、世界中の人間が幸せかのように。誰かが不幸になることだなんて一向にかまいやしない、自分さえよければ、自分さえよければ!そんな傲慢で強欲な生物なんて」
「おいウルー、貴様の人間愚痴は聞き飽きた。本題に入れ。」
「おっと、これは失礼しました。」
ウルーは手を口に当てて、こほんという。
「こちらが今回私が誘導した海龍帝王種トゥルガー=リヴァイアサンです。人間の街に入る際はこのような人化形態をとるようでしたが、監視していた限り魔力量やその強さに変化はあまりないようでしたが大きさによるメリットは失われるようでした。どうやら彼女は幼い子供が好きなようで、イミナと呼ばれる幼いBランク冒険者とともに行動をしていました。」
「どこかで聞いたことがあるような名前だな。」
「先日悪魔帝トゥルモティアスをソロで討伐したという大物新人冒険者です。」
「あぁそうだ。人間の記事でみた覚えがある。150レベルほどの悪魔帝を単騎で倒すとは見事なものだと思ってね。私も悪魔帝を召喚して戦いたいなどと思ったわ。」
「お願いですからやめてくださいね?魔族と悪魔は中立の関係、そこで争いを起こさないでいただきたい。」
「わかったわかった、じゃあ話を戻せ。」
「はい。そのBランク冒険者が離れた隙をみて、麻薬であるアジャジャ―ルの種を仕込ませた飲み物を飲ませました。結果見事に暴れ始め、新米Bランク冒険者を追い込みましたがそこで剣聖によって鎮圧させられたのです。その時点で私は計画の失敗のためここ魔王軍本部に転移魔法を使って帰還したのでございます。」
「おい待て、なんだかこいつ変じゃないか?」
「えぇそうです。この新米冒険者、何やら怪しい黒い物体と共存しているのです。先日の記事を見返したところ、彼はリミドとよばれる高位の悪魔だそうです。」
「ほう、悪魔を従えているとは珍しい。これは、オリジナルだな。こんな悪魔は見たこともない。」
「えぇ。一応目をつけておくべきかと。」
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