少女の心臓に転生しました~白髪少女の異世界転生冒険記~

邪ま

文字の大きさ
64 / 69
第三章 魔法学園都市オクタグラム編

55 魔族襲撃

しおりを挟む
強い衝撃。
恐る恐る、俺は防御形態を解除する。
目の前に広がる無惨な光景に、イミナは口に手を当て、目を見開いて驚く。
「おやおや、やっぱり生き残ってしまいましたか。さすが悪魔を従えているだけある。魔法が使えなくてもシャルヴァン様の魔法を防ぐだなんて。」
白髪の男が不気味な笑みを浮かべながら話しかけてくる。
「おいイミナ!」
「は、はい大丈夫です。」
良かった。目の前の惨劇を見ても気は確かだった。悪魔帝で無惨な死体なら見てきたから、多少は慣れたからなのか、その時のようにイミナは呆然としておらず、しっかりと目の前の敵をにらみつけている。
「あぁ、そんな顔をしないでください。同じ白髪同士仲良くしましょう?」
「おいてめぇ、いったいどうしてこんなことをした!」
「おやおやあなたが噂の悪魔さんですね。初めまして、私、魔王軍機密情報調達班ウルーでございます。ここオクタグラムを魔王軍の支配下に置くために襲撃させていただきました。以後お見知りおきを…ふふふ。」
さっきの爆発で教師は全員死んでしまったようだった。魔法封じの結界が張られていて魔法が使えない状況。浮遊も、転翔も使えない。早く逃げないと。しかし、魔法封じの結界が張られているのに、どうやってこの男はあの爆発を防いだ?
「魔法封じの結界の中で、どうやって私があの大爆発を防いだか不思議そうな顔をしていますね。その答えはもちろん、この結界を張ったのが私だからですよ。この結界は特殊でして、私が許可したものは魔法が使えるんです。つまり、この空間は私だけの空間。いいですねぇ…。私を見下してきた人間どもがこうしてあっけなく死んでいく。」

ウルーと名乗った男は学園長に向けて魔法を放つ。
俺はとっさに反応し、その攻撃を防ぐ。

「ふふふ、肝心の学園長さんが残ってしまいましたね?そこをどいてください白の悪魔。マルエ=ド=マーリーさえ始末すればここオクタグラムは我々魔王軍のものとなります。」

「イミナ。」
「はい、リミドさん。」
ガントレット、ブーツを装備する。

「おやおや、戦う気ですか?それは仕方がありませんね…。シャルヴァン様!」
その時、上から何かが勢いよく俺たちに向かってきた。
「イミナ、上!」
とっさに防御する。
「おいウルー!何ぐだぐだやってる。肝心の学園長が残ってるじゃないか!」
強い衝撃、俺はその何かに攻撃を加えようとするもその何かは華麗によける。
「どうやら噂の白い悪魔にシャルヴァン様の大魔法を防がれてしまいました。」
「おい、確かここには魔法しか能のないやつが集まるんじゃなかったのか?どうしてこいつがいる。」
「さぁ…?まぁ、今ここでつぶせばいい話じゃないですか。」
「そうだな。」


「冥途の土産に教えてやる。我の名は魔王軍四天王シャルヴァン!簡単にやられてくれるなよ!」


素早い動きでシャルヴァンは攻撃を仕掛けてくる。一発一発が、すさまじい威力で、まるで爆発しているかのようだった。魔王軍四天王シャルヴァン、確か推定レベル200、Sランクと同等の力を有していると言われている魔王軍四天王。当然俺たちが敵う相手ではない。
「オラァ!!」
強い蹴り。その衝撃に耐えきれず、俺たちはホールの壁まで吹き飛ばされてしまう。そしてそのすきにウルーが学園長に攻撃を加えようとする。俺たちは急いで体制を立て直して学園長のもとまで駆け寄り、ウルーの魔法を防ぐ。
「オラオラそんなんでいつまで持つ!!!」
学園長を守りながら、自分たちより圧倒的格上のシャルヴァンの攻撃を防ぐ。
長くはもたない。というか、今も限界である。
「リミドさん、このままじゃ持ちません!」
シャルヴァンの攻撃はどんどんと勢いを増していく。空中を蹴りながら、あらゆる角度からシャルヴァンは攻撃を仕掛けてくる。
「とろいんだよぉ!!!」
シャルヴァンのパンチを受けきれず、吹き飛ばされてしまう。吹き飛ばされた先には学園長がいた。俺は分身体を伸ばしてその軌道をずらし、ホールの壁に横向きで着地する。その勢いのまま壁を蹴り、シャルヴァンに攻撃を仕掛ける。
「喰らえ!!!!」
巨大な腕でシャルヴァンを攻撃する。
しかし、シャルヴァンはピクリとも動かない。片手で俺らの攻撃を防いだのだ。
「弱いねぇ…弱い弱い!」
シャルヴァンはつかんだ俺らを天井へと吹き飛ばす。
「かはっ!!!」
腕からの変形が間に合わず、イミナは天井に思いっきり衝突してしまう。
「イミナ!」
そのまま落ちていき、俺は今度こそ体を変形させてイミナの着床の衝撃をやわらげさせる。激しいダメージを負い、イミナは立ち上がれない。
「あぁ?なんだもうおしまいか?」
「リ、リミドさん…極装(ガイルドベント)を…!」
極装はイミナに激しいダメージを伴う暴走状態。昨日使ったばかりなのに、今日も使ってしまったらイミナの体がどうなってしまうかわからない。
「駄目だ!お前の体が!」
「で、でも!そうしないと今やられちゃいます!」
「ふぅ…つまらねぇの…。これで終わりにしてやる。」
シャルヴァンはその拳に凄まじい量の魔力を込める。
「シャルヴァン様の魔法属性は爆破、その魔力が込められた拳を受けたものは跡形もなく消し去られてしまうでしょう。白の悪魔、どうやらあなたとはここまでのようですね。白髪同士、少し残念です…。」

「リミドさん!!早く!!」
「わかった…」
「オラァ!!!」
シャルヴァンが殴りかかってくる。
「ガイルド」

刹那。激しい衝撃はがシャルヴァンとウルーは攻撃の手を止める。
そして爆音とともに天井が完全に崩れ落ち、一つの影がそこに現れた。
青い髭、青い鱗。ギラつく眼光。
世界で最強と言われている、八匹の龍王の一角。
海龍帝王リヴァイアサン。
「な、遠くに転移させたはずなのに!」
ウルーが叫ぶ。
リヴァイアサンは人の姿となり、空から降りてくる。
イミナに回復魔法をかける。
イミナの傷はみるみるうちに癒えていく。
「よく耐えたなイミナ。」
凄まじいオーラがリヴァイアサンから発せられる。

「おい貴様ら」




「我が眷族に何をしている?」
純粋な怒り。それがシャルヴァンとウルーに向けられる。





しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

ポツンと建つ古民家食堂の店主(おっさん)は、元S級冒険者。

平木明日香
ファンタジー
かつて帝国を救った伝説のS級冒険者、ゼン・アルヴァリード。 すべてを捨て、山奥でひっそりと食堂を開いた彼の願いは、ただ一つ――静かな隠居生活。 しかし噂は広がり、旅人、商人、異種族の王女までが押しかけてくる始末!? 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだ……」 極上のグルメ、ちょっとズレた客人たち、時々バトルと懐かしき因縁。 笑って泣けて、腹が鳴る。異世界スローライフ×コメディ、ここに開店!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

処理中です...