想い、届け

ゆうごろも

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楓、赤黄、色付く

4-2

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ある日の放課後。

親衛隊の集まりがあり今は終わったところ。


副隊長である莱先輩と二人きり。
俺は焦っている。
何と返答するのが良いのか、なかなか良い返事が思い付かない。


「神田君は会長の事好き?」

ここまでは良かった。
likeとか尊敬の意味で受け取ったふりをして「好きですよ」と答えれば良いのだから。
でも、

「恋愛対象として」

そうすぐに付け足されてしまった。

そんなに俺は分かりやすいのだろうか?
莱先輩といる事なんて少しだけだし。
会長の話もしないし。

副会長の話はたまにするが。
恋人である莱先輩の口からよく話題が上がるから。

皆をまとめる役職だから公私混同するなよ。とか言われるんだろうか。


「好き、なんだ?」

なんだろうか、謎に圧を感じる。

もういいや。そう思い頷いた。
ダメだと言われたら我慢すれば良いのだから。この感情を忘れてしまえば、無理ならば隅の隅の方に押しやっていけばいいのだから。


「本気?」

コクン

頷いて応える。

「本当に?」

コクン

また頷いて応える。

「なら諦めちゃダメだよ」

「え?」

「そこも頷こうよぉ」

「え?あ、はい…?」

「意味分かってないね」

「はい」


急に会長のこと好き?と聞かれ、頷いたら諦めちゃダメと言われてもな。
現状維持でいいよな。と自分の中で結論は出たが、
來先輩の意図が分からない。

あ、俺が惚気ればいい?そういう流れ?
ファンかってぐらい好きなところについて語ればいいのか?



「今は分からなくてもそのうち分かるよ。とりあえず諦めちゃダメだよ。分かった?」

「はい」

語る時ではないらしい。
それは分かった。

後でどうせ分かるなら今は良いか。

ただ俺が諦めなかった、というか、会長のこと好きなままだったとして、

俺の容姿は会長の親衛隊の子たちみたいに華奢でも小柄でもないし、可愛いとは言えない平凡な男の顔だ。

会長の好みは知らないけど、恋愛対象として見られるような気がしていない。

良くて後輩枠なんじゃないかと思っている。


親衛隊の皆さん、100歩譲るんじゃなくて100歩譲ってほしい。



「あ、そうだ。そーいえばもうすぐで会長の誕生だ」

「え?どうしよ、初知り。何か渡した方が良いですかね?」

「当たり前でしょ!
アピールしなくちゃ!」

「あ、アピール…
因みにいつですか?」

「明後日」



「は、近っ」

まだ一週間以上あるものだと思った。

何あげようか?

「何が欲しいか直接聞くっていうのもあるよ」

あれ?声出てたのかな?

「聞いちゃっていいですかね?」

「うん。
当日にね?
会長は神田君が自分の誕生日知ってるなんて知らないと思うからサプライズになるかもねぇ」

「サプライズって…、喜んでくれなきゃダメだと思うんですが?」

「だーいじょうぶ!
良いからやってみ」

と言いバンッと俺の背中を押すように叩く。

先輩意外に力が強い。

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