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本編
二人暮らし 2
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さらに一ヶ月。幸多は自分がヒューを目で追っていることに気づいた。
(これ、好きになってるってこと?)
手を繋いだり、キスしたり、その先も考えてみる。誘われたら……断らないかもしれない。そういうことに興味はある。
(別に、痛いことをされたわけじゃないし……)
ヒューから接触してくることはないんだろうな、と悩みに悩んで、夕食時に呼びに行ったとき手をつかんで食事の並ぶ机まで一緒に行ってみた。
積極的な方ではないが、勇気を出して幸多から行動することにしたのだ。
ヒューの表情をチラリと横目で確認したら、顔を赤らめて微笑んでいたので嫌がられてはいないのだと少し照れながら食事を済ませた。
人と関わることに前向きになれたことは、幸多にとって大きな一歩である。
しかし、恋愛経験ほぼ皆無の幸多はなかなか先に進むことができない。
自然と手を握れるようにはなってきた。むしろ、ヒューから繋ぐことの方が多くなってきている。
(あれ? 僕、これからどうすれば良いの……?)
もしかしたら少なからず好意を持ってくれているのではないか、と期待しながらヒューは幸多の手に触れ指を絡める。
(焦ってはいけない……焦るな、俺)
ギスギスした関係ではなかったけれど、やはりヒューから触れるのは戸惑われた。
(幸多から触れてくれた……こんなに嬉しいことはない……)
にやつきながら外を眺める顔は幸多には見えていない。
ヒューの場合、あまりに特殊すぎてこちらも先への進め方がわからなかった。
店で抜いてもらうくらいしか経験のない男には厳しすぎる。本番のできる店であっても、少し引きつって見える相手にキスをしたり挿れることを望むのはためらわれ、早々に諦めてしまった。
そして仕事でやっかいな相手に捕まってしまう。
その依頼主は醜い者を探していた。期間は一ヶ月。夫婦についての相談で、魔法を使うことはないし肉体に傷がつくことも絶対にない、と。
支払われる金額が高額だったこともあり、一回限りなのだろうと軽く受けたのが間違いであった。
夫婦の寝室に入り、二人のセックスを眺める。どうやら醜い者に見られながらのセックスが好きというヤバい性癖のようだ。
数日過ぎると、男が人に似せた人形を持ってきた。体温は感じられないが、感触は人に近いのだと。
ヒューがそれに突っ込んで腰を振っているところを見ながら妻を抱く。本当は妻との行為を見てみたいが、他の者が抱くのは嫌だという気持ちが勝ったらしい。
好みの相手を思い描き、無理矢理にでも勃たせて突っ込んだ。見られて喜ぶ趣味はない。
毎回ではないが地獄である。もう二度とこんな依頼は受けないと誓った。
ぼーっと考え込むヒューの手が引かれる。
「……? どうした?」
幸多が、じっ、とヒューを見つめていた。
(好きって、言ってみる?)
言葉にするのは苦手だから、まずは行動で示すのも良いかもしれない。そう思った幸多は、ヒューの頬にキスをした。
「……好き、です。……できれば、これからも、ヒューと一緒にいたい」
真っ赤になってぼそぼそと告白する幸多。すぐに目をそらし、ぎゅっと手を握りしめ返事を待った。
目を見開き固まったヒューは、突然幸多を抱きしめて震えながら言葉をこぼす。
「本当に? ……本当に、俺でいいの……?」
「ヒューが好きなんだよ。……見つめられるとドキドキするし、その……キスしたいって、思うのは、そういうことでしょ……?」
「幸多……!」
――晴れて両思いになった二人が誰にも邪魔されずに過ごせたのはほんの数ヶ月だけ。
ある日、まだ昼にもなっていない時間。仕事へ出ていたヒューが血相を変えて帰ってきた。
(これ、好きになってるってこと?)
手を繋いだり、キスしたり、その先も考えてみる。誘われたら……断らないかもしれない。そういうことに興味はある。
(別に、痛いことをされたわけじゃないし……)
ヒューから接触してくることはないんだろうな、と悩みに悩んで、夕食時に呼びに行ったとき手をつかんで食事の並ぶ机まで一緒に行ってみた。
積極的な方ではないが、勇気を出して幸多から行動することにしたのだ。
ヒューの表情をチラリと横目で確認したら、顔を赤らめて微笑んでいたので嫌がられてはいないのだと少し照れながら食事を済ませた。
人と関わることに前向きになれたことは、幸多にとって大きな一歩である。
しかし、恋愛経験ほぼ皆無の幸多はなかなか先に進むことができない。
自然と手を握れるようにはなってきた。むしろ、ヒューから繋ぐことの方が多くなってきている。
(あれ? 僕、これからどうすれば良いの……?)
もしかしたら少なからず好意を持ってくれているのではないか、と期待しながらヒューは幸多の手に触れ指を絡める。
(焦ってはいけない……焦るな、俺)
ギスギスした関係ではなかったけれど、やはりヒューから触れるのは戸惑われた。
(幸多から触れてくれた……こんなに嬉しいことはない……)
にやつきながら外を眺める顔は幸多には見えていない。
ヒューの場合、あまりに特殊すぎてこちらも先への進め方がわからなかった。
店で抜いてもらうくらいしか経験のない男には厳しすぎる。本番のできる店であっても、少し引きつって見える相手にキスをしたり挿れることを望むのはためらわれ、早々に諦めてしまった。
そして仕事でやっかいな相手に捕まってしまう。
その依頼主は醜い者を探していた。期間は一ヶ月。夫婦についての相談で、魔法を使うことはないし肉体に傷がつくことも絶対にない、と。
支払われる金額が高額だったこともあり、一回限りなのだろうと軽く受けたのが間違いであった。
夫婦の寝室に入り、二人のセックスを眺める。どうやら醜い者に見られながらのセックスが好きというヤバい性癖のようだ。
数日過ぎると、男が人に似せた人形を持ってきた。体温は感じられないが、感触は人に近いのだと。
ヒューがそれに突っ込んで腰を振っているところを見ながら妻を抱く。本当は妻との行為を見てみたいが、他の者が抱くのは嫌だという気持ちが勝ったらしい。
好みの相手を思い描き、無理矢理にでも勃たせて突っ込んだ。見られて喜ぶ趣味はない。
毎回ではないが地獄である。もう二度とこんな依頼は受けないと誓った。
ぼーっと考え込むヒューの手が引かれる。
「……? どうした?」
幸多が、じっ、とヒューを見つめていた。
(好きって、言ってみる?)
言葉にするのは苦手だから、まずは行動で示すのも良いかもしれない。そう思った幸多は、ヒューの頬にキスをした。
「……好き、です。……できれば、これからも、ヒューと一緒にいたい」
真っ赤になってぼそぼそと告白する幸多。すぐに目をそらし、ぎゅっと手を握りしめ返事を待った。
目を見開き固まったヒューは、突然幸多を抱きしめて震えながら言葉をこぼす。
「本当に? ……本当に、俺でいいの……?」
「ヒューが好きなんだよ。……見つめられるとドキドキするし、その……キスしたいって、思うのは、そういうことでしょ……?」
「幸多……!」
――晴れて両思いになった二人が誰にも邪魔されずに過ごせたのはほんの数ヶ月だけ。
ある日、まだ昼にもなっていない時間。仕事へ出ていたヒューが血相を変えて帰ってきた。
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