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第一章
4 門
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「やっと着いたか……」
ダーヴァの街は、周囲を壁にかこまれた典型的な城砦都市だった。
かなり大きい。
だがディケーネの話では、この付近では一番大きな街であるものの、アルフォニア王国内ではよくある城砦都市のひとつでしかないと言う。
ここから北の山脈を越えた所に大きな湖があり、その湖のほとりにアルフォニア王国の首都"ラーニア"がある。
その首都"ラーニア"はダーヴァの街の10倍程の規模があるとの事だ。
門の入り口にはそろいの胸当てをつけた衛兵らしき者達が数人立っていた。
その衛兵達が、街に入ろうとするものを二つの列に並ばせている。
一つの列は徒歩で歩く者が、もう一つの列は多くの馬や馬車が、並ばされていた。
半日かけてやっとたどり着いたダーヴァの街だったが、どうやらすぐには入ることが出来ないようだ。
ディケーネは、当然のごとく徒歩で歩く者達が列に並び、勇一がその後ろに並ぶ。
「街に入るときになにかチェックとかされるのか?
「ダーヴァの街は入る時は、馬の背の荷物や馬車に乗っている荷物には税金がかかる。だが、人が持って歩ける分の荷物には税金が掛からないだ。だから、チェックと言っても、犯罪者がいないか顔を確認するくらいだ。すぐに入れる。
あ、ユーイチ、お前、犯罪とか、何か問題をおこして人相書きが回されたりしてないだろうな?」
「無い無い。犯罪なんて犯してないし、人相書きも回されていない」
あわてて、否定する。
「じゃあ、大丈夫だろう。両腕の服を肘までめくっておけ。
それが『武器をかくしていません。犯罪していません。』と言う意思表示になる」
言われるままに両腕の服を肘までめくっておく。
確かに列の先頭の方に目をやると、衛兵は顔をチラッと見るだけで殆どチェックらしいことは何もしていない様にみえる。
隣にある馬車が並んでいる列は、荷物を検査して税金のやり取りをしているせいでなかなか進まないのに比べて、人が並んでいる列はどんどん進んでいく。
列は長いが、思ったよりは早く街に入れそうだ。
優一の後ろにも、後から来た人が次々と並んでくる。農民や、商人、旅人、リュートらしき楽器をもった吟遊詩人っぽい人もいる。
その中に、やたらでかい荷物をフラフラしながら担いでいる男達の集団がいた。
ある理由から、思わずその人物を勇一は凝視してしまう。
そんな勇一の視線に気づいたディケーネが説明してくれる。
「ああ、あれは直前まで馬車に乗せていた荷物の一部を、担いで街に入ろうとしているのだ。人が持って入った分には税金が掛からないからな。ちょっとした商人の知恵だよ」
だが、勇一は別に大きな荷物を担いでいるから、その男達の集団を凝視したわけではなかった。
別の理由があった。
男達の集団は、首に革で出来た首輪をはめているのだ。
「あの首輪を付けている人たちって、ひょっとしてひょっとすると、奴隷だったりするのか?」
「ああ、そうだ。大きな商隊だと、荷物運びや護衛の一部が奴隷なのは良くあることだ」
あっさりと肯定された。
「奴隷か。こーゆー異世界だと、やっぱり奴隷っているもんなんだな」
「ふむ、お前の地元では奴隷はいなかったのか? こっちでは炭鉱労働者や、召使いの多くは奴隷だぞ。
私は一人だし金も無いので連れていないが、冒険者のパーティーでは、荷物持ちとして奴隷を連れていることは、珍しくもないぞ。
普通のダンジョンで、こんな風に(彼女は自分が背負っている荷物を指差した)荷物を背負っていたら、魔物と戦うのに邪魔でしかたないからな。安い肉体労働用の奴隷なら金貨三十~四十枚くらいで買えるから、パーティーの皆でお金をだしあって買うんだ。
それ以外にも、冒険者のパーティーで、戦闘用奴隷を使うこともあるしな」
冒険者のパーティーにも奴隷を使うのか。
どうやら、勇一が予想する以上にに奴隷が一般的らしい。
そんな話をしている間に、勇一たちがチェックされる番になった。
「よう、ディケーネ。調子はどうだい」
「いつもどうりだ。良くも悪くも無い」
白くなりかけた顎鬚を生やした初老の衛兵と、いかにも顔見知りという感じの軽い会話を交わしてからディケーネは、さっさと門の中へ入っていく。
それに続いて門に入ろうとしたが、なぜか勇一だけ止められた。
「お前さん、始めてみる顔だな。名前は?」
「えっと、勇一・五百旗部です」
「変な名前だな」
衛兵は"うーん"などと唸り顎鬚をなでながら、勇一の顔や体を、上から下まで何度もジロジロと見てくる。
手にもっている何枚もの人相書きとも、かわるがわる見比べる。
なんだか、かなり不穏な雰囲気だ。
別に悪いことをした覚えはない。
じつは勇一は、異世界から来た、ある意味では”超不審者”なのだが、そんな事は解らないはずだ。
大丈夫。別に俺は何もしていないし、不審者でもない。
自分に言い聞かせるが、それでも、緊張してきて心臓がドキドキと大きくいやな鼓動を響かせる。
「お前さん、怪しい格好をしとるが何者なんだ? どこから、なにしに来た?」
そういえば、見た目からして”超不審者”だった!
内心、自分のアホさ加減に突っ込みたくなるが、それどころではない。
何て言って説明すればいいのか、勇一自身も解っていないのだから、答えるのに躊躇してしまう。
そんな勇一を見て、初老の衛兵は後ろに立っていた若い衛兵を呼び寄せて、なにやら相談まで始める。
まずい。なんか、完全に怪しまれている。
心臓が、震えるほどのビートを刻む。
そこへ、勇一がなかなか来ないのに気づいたディケーネが、門の中から引き返してきた。
「彼は、私の連れだ。悪いが通してやってくれ」
「ディケーネの関係者か……」
なぜか、初老の衛兵と若い衛兵は顔を見合わせて、微妙な表情を浮かべている。
「もういい、さっさと行け」
いかにも面倒ごとにまきこまれるのを嫌がる感じで、追い払われた。
若干、心の中にひっかかる物があったものの、なんとか無事にダーヴァの街に入ることが出来たのだった。
ダーヴァの街は、周囲を壁にかこまれた典型的な城砦都市だった。
かなり大きい。
だがディケーネの話では、この付近では一番大きな街であるものの、アルフォニア王国内ではよくある城砦都市のひとつでしかないと言う。
ここから北の山脈を越えた所に大きな湖があり、その湖のほとりにアルフォニア王国の首都"ラーニア"がある。
その首都"ラーニア"はダーヴァの街の10倍程の規模があるとの事だ。
門の入り口にはそろいの胸当てをつけた衛兵らしき者達が数人立っていた。
その衛兵達が、街に入ろうとするものを二つの列に並ばせている。
一つの列は徒歩で歩く者が、もう一つの列は多くの馬や馬車が、並ばされていた。
半日かけてやっとたどり着いたダーヴァの街だったが、どうやらすぐには入ることが出来ないようだ。
ディケーネは、当然のごとく徒歩で歩く者達が列に並び、勇一がその後ろに並ぶ。
「街に入るときになにかチェックとかされるのか?
「ダーヴァの街は入る時は、馬の背の荷物や馬車に乗っている荷物には税金がかかる。だが、人が持って歩ける分の荷物には税金が掛からないだ。だから、チェックと言っても、犯罪者がいないか顔を確認するくらいだ。すぐに入れる。
あ、ユーイチ、お前、犯罪とか、何か問題をおこして人相書きが回されたりしてないだろうな?」
「無い無い。犯罪なんて犯してないし、人相書きも回されていない」
あわてて、否定する。
「じゃあ、大丈夫だろう。両腕の服を肘までめくっておけ。
それが『武器をかくしていません。犯罪していません。』と言う意思表示になる」
言われるままに両腕の服を肘までめくっておく。
確かに列の先頭の方に目をやると、衛兵は顔をチラッと見るだけで殆どチェックらしいことは何もしていない様にみえる。
隣にある馬車が並んでいる列は、荷物を検査して税金のやり取りをしているせいでなかなか進まないのに比べて、人が並んでいる列はどんどん進んでいく。
列は長いが、思ったよりは早く街に入れそうだ。
優一の後ろにも、後から来た人が次々と並んでくる。農民や、商人、旅人、リュートらしき楽器をもった吟遊詩人っぽい人もいる。
その中に、やたらでかい荷物をフラフラしながら担いでいる男達の集団がいた。
ある理由から、思わずその人物を勇一は凝視してしまう。
そんな勇一の視線に気づいたディケーネが説明してくれる。
「ああ、あれは直前まで馬車に乗せていた荷物の一部を、担いで街に入ろうとしているのだ。人が持って入った分には税金が掛からないからな。ちょっとした商人の知恵だよ」
だが、勇一は別に大きな荷物を担いでいるから、その男達の集団を凝視したわけではなかった。
別の理由があった。
男達の集団は、首に革で出来た首輪をはめているのだ。
「あの首輪を付けている人たちって、ひょっとしてひょっとすると、奴隷だったりするのか?」
「ああ、そうだ。大きな商隊だと、荷物運びや護衛の一部が奴隷なのは良くあることだ」
あっさりと肯定された。
「奴隷か。こーゆー異世界だと、やっぱり奴隷っているもんなんだな」
「ふむ、お前の地元では奴隷はいなかったのか? こっちでは炭鉱労働者や、召使いの多くは奴隷だぞ。
私は一人だし金も無いので連れていないが、冒険者のパーティーでは、荷物持ちとして奴隷を連れていることは、珍しくもないぞ。
普通のダンジョンで、こんな風に(彼女は自分が背負っている荷物を指差した)荷物を背負っていたら、魔物と戦うのに邪魔でしかたないからな。安い肉体労働用の奴隷なら金貨三十~四十枚くらいで買えるから、パーティーの皆でお金をだしあって買うんだ。
それ以外にも、冒険者のパーティーで、戦闘用奴隷を使うこともあるしな」
冒険者のパーティーにも奴隷を使うのか。
どうやら、勇一が予想する以上にに奴隷が一般的らしい。
そんな話をしている間に、勇一たちがチェックされる番になった。
「よう、ディケーネ。調子はどうだい」
「いつもどうりだ。良くも悪くも無い」
白くなりかけた顎鬚を生やした初老の衛兵と、いかにも顔見知りという感じの軽い会話を交わしてからディケーネは、さっさと門の中へ入っていく。
それに続いて門に入ろうとしたが、なぜか勇一だけ止められた。
「お前さん、始めてみる顔だな。名前は?」
「えっと、勇一・五百旗部です」
「変な名前だな」
衛兵は"うーん"などと唸り顎鬚をなでながら、勇一の顔や体を、上から下まで何度もジロジロと見てくる。
手にもっている何枚もの人相書きとも、かわるがわる見比べる。
なんだか、かなり不穏な雰囲気だ。
別に悪いことをした覚えはない。
じつは勇一は、異世界から来た、ある意味では”超不審者”なのだが、そんな事は解らないはずだ。
大丈夫。別に俺は何もしていないし、不審者でもない。
自分に言い聞かせるが、それでも、緊張してきて心臓がドキドキと大きくいやな鼓動を響かせる。
「お前さん、怪しい格好をしとるが何者なんだ? どこから、なにしに来た?」
そういえば、見た目からして”超不審者”だった!
内心、自分のアホさ加減に突っ込みたくなるが、それどころではない。
何て言って説明すればいいのか、勇一自身も解っていないのだから、答えるのに躊躇してしまう。
そんな勇一を見て、初老の衛兵は後ろに立っていた若い衛兵を呼び寄せて、なにやら相談まで始める。
まずい。なんか、完全に怪しまれている。
心臓が、震えるほどのビートを刻む。
そこへ、勇一がなかなか来ないのに気づいたディケーネが、門の中から引き返してきた。
「彼は、私の連れだ。悪いが通してやってくれ」
「ディケーネの関係者か……」
なぜか、初老の衛兵と若い衛兵は顔を見合わせて、微妙な表情を浮かべている。
「もういい、さっさと行け」
いかにも面倒ごとにまきこまれるのを嫌がる感じで、追い払われた。
若干、心の中にひっかかる物があったものの、なんとか無事にダーヴァの街に入ることが出来たのだった。
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