異世界スクワッド

倫敦 がなず

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第一章

19 愛称

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 暗くなり始めている森の中
 ヒュン、ヒュンと、空気を切る音と共に、行く筋もの光の筋レーザーが通り抜けていく。

 三人で、射撃の練習を兼ねてレーザー小銃ライフルとレーザー拳銃ピストルの試し撃ちを続けていた。

 ちなみに、レーザー小銃ライフルの射撃の腕前は、勇一がもっとも巧い。かなりの腕前だろう。
 それに対して、ディケーネとニエスは、"射撃"と言う行為そのものを生まれて始めておこなう関係か、かなり下手だった。
 若干、ニエスのほうが眼が良い関係で、"まだマシ"といったレベルだ。

 だが、レーザー拳銃ピストルに持ち帰ると話が違う。
 レーザー拳銃ピストルから発せられるレーザーを、まるで光の剣のように扱うディケーネの腕前は、圧倒的だった。
 それに、ニエスが続く。彼女もかなり剣の扱いに慣れているようで、レーザー拳銃ピストルを巧く使いこなす。
 それに対して、勇一はまったく駄目駄目だ。
 剣の扱いなんてやったことない勇一は、普通に拳銃の構え方で使ったほうが、"まだマシ"といったレベルだった。

 とりあえず、三人とも腰にホルスターを付けて、レーザー拳銃ピストルと、予備のバッテリーを常時携帯することにする。
 レーザー小銃ライフルとに関しては、勇一とディケーネは、肩紐を使って肩に掛けておく事にする。
 ニエスだけは運転の邪魔になるので、携帯しないことにした。

 それから、他の兵装、例えば迷彩服、ヘルメットや防弾等を試す。

 まずは迷彩服とヘルメットを試してみる。
 ディケーネとニエスの二人は、とりあえずヘルメットを被ったのだが、サイズが合わずダボダボで使えなかった。
 迷彩服も、どうみてもサイズが合いそうに無い。

 勇一は、最初は安全の為に、常時ヘルメットを被ろうと考えていた。
 だが、実際にかぶってみるとヘルメットが邪魔になって魔法のローブについているフードがかぶれないと言う問題が発生してしまった。
 この異世界では、魔物達は、生き物すべての弱点である”首”を狙ってくる事が非常に多い。
 ディケーネのような冒険者だって、頭でなくて首をねらう。
 主に頭を守るヘルメットより、耐刃性のあるフードをすっぽり被ったほうが、”首”を守る意味ではずっと有効だ。
 そんな訳で勇一もヘルメットを被るのは止めた。

 迷彩服は、森の中で姿を隠すのに有効な気もする
 だが、魔物は目でみるより、匂いや気配で敵を発見する物が多いので、殆ど意味が無い。
 防弾チョッキは、弾丸に対しては有効だが対刃性能が低い。
 この異世界では有用性が著しく低い。

 結局、三人共、服装には大きな変化は無い結果となったいた。

 ただ、勇一は暗視ゴーグルだけは、首にかけている。
 もともとはヘルメットとセットの物だったのだが、別に単体でも使えるようになっていた。
 見た目はスキーやスノーボードで使うような大き目のゴーグルにそっくりだ。
 暗視だけでなく、熱反応探知サーモスキャンや、望遠機能、録画機能もついているので、どこかで使う機会があるだろうと思い、とりあえず首にかけておくことにした。

 他には、細かい点だが、三人とも無線機を取り付けた。
 超小型のテレビのアナウンサーなんかが使っている集音マイクにそっくりの見た目で、服の襟元に取り付けている。
 本来は、中継衛星を使って数百キロ離れた距離の相手とも話しが出来るという凄い代物なのだそうだが、現時点では、#装甲指揮車を中心に半径数キロくらいでしか使えないらしい。
 それでも、無いよりはずっといいので、使用することにした。


「ユーイチ、ちょっと、いいか」

 ディケーネが若干怖い顔で、声をかけてきた。
 なんだろう。 
 勇一は、ちょっと身構えてしまう。

「ユーイチ、もう、くどくどと、これらの魔法具について詳しく説明しろとは言わない。
 ただ、指示を受けたりする場合にも困るので、せめて各魔法具の名前くらいは教えてくれ。
 それと、ついでといってはなんだが、あの妖精の名前も教えてくれ」

 ディケーネはタツタを指差している。

「う、御免。たしかにそうだよな」

 特にドローン『タツタ』は、もう今後はパーティーの仲間と言ってもいいような状態だ。
 なのに、日本語が解らないディケーネやニエスには、ちゃんと紹介すらしていなかった。

 さっそく三人でドローン『タツタ』のところへ行く。

「ディケーネ、ニエス。改めて紹介するよ。彼女の名は『タッタ』だ。
 二人は彼女のことを妖精だと思っているようだが、正確には、彼女はドローンと言って、えーと……、まあ……、うん、人の手によって作られた、妖精の一種みたいなものだ。仲良くしてやってくれ」

「宜しくな、タッタ」
「よろしくお願いしますね タッタちゃん」

 二人に挨拶されたドローン『タツタ』は、異世界の言葉は解らないものの、どうやら挨拶されていることは察したらしい。
 日本語ながら、ちゃんと返事をする。

「私の方こそ、宜しくお願いいたします。
 なお、蛇足かましれませんが、私のコードネームはタツタ・・・です。けっしてタッタ・・・ではありません」

「ユーイチよ。タッタは何て言ってるんだ?」
「ああ、『私の方こそ宜しく』だってさ」

 その後は各機器についての呼び名を改めて決めていく。
 正式名称で呼ぶと、どれもこれも長すぎるので、愛称が有る物はその愛称で呼び、無い物は決めていくことにした。

 まずは装甲指揮車だ。これはすでに愛称がある。

「このでっかい鉄の車の名は『クーガースリー』だ」
「スリーは三代目とかそんな意味だろうからいいが…クーガー? クーガーってピューマの別名だろう? この大きくて鈍重そうな乗り物の名がピューマなのか?」
「クーガーって言うより、ビッグトータスとか、アイアンヒポポタマスとかの方が似合いそうですよねー。なんでクーガーなんです?」

 いや、俺に聞かれても困る。
 名づけた奴に聞いてくれ。
 非常に不評だったが、とにかく、呼び名は装甲指揮車クーガースリーに決まった。

 次にレーザー拳銃ピストルと、レーザー小銃ライフルだ。

「なあ、タッタ。この二つって愛称ってあるのか?」
「レーザーピストルは正式名称『LB-P-02式エルビーのピーのレイニイシキ』に対して、現場では『02式レイニイシキ』あるいは『02レイニイ』と呼ばれていました。
レーザーライフルは正式名称『LB-R-59式エルビーのアールのゴーキュウシキ』に対して、現場では『59式ゴーキュウシキ』あるいは『59ゴーキュウ』と呼ばれていました。

 なるほど。
 とりあえず短い方の呼び方を使うことにしよう。
 勇一が、ディケーネとニエスに説明をする。

「こっちの小さいほうが、『02レイニイ』で、長くてでかいほうが、『59ゴーキュウ』だ」

「この光の剣のほうが『レイニー』で、十字を刻むボウガンのほうが『ゴーク』だな」
「『レイニー』と『ゴーク』ですね。覚えました」

うーん。
発音がかなり違う気がするが、こっちの異世界の言葉の発音だと、そうなってしまうんだろう。
まあ、こっちの人の発音に合わせるか。
そんな訳で『レーザー拳銃レイニー』 と 『レーザー小銃ゴーク』に決まる。


 そして、電動バギー、電動バイク、電動ジャイロらには、タツタの説明では"愛称が無い"との事だった。

「うーん、電動バギーとか呼ぶのもなんだし、なんか愛称つけるかな」
「はいはい、御主人様。この馬無しで走る馬車には、私が名前付けたいです」

 ニエスが電動バギーを指差しながら、そういってきた。
 電動バギーを一番運転しているのがニエスなので、もうすでにけっこうな愛着があるようだ。

「じゃあ、ニエスに名づけてもらおうかな。」
「やったー。それでは、私が名前つけますね。どんな名前がいいですかねー」

 ニエスは電動バギーに近くで、腕を組んでちょっと悩む。

「決めました。 彼の名前は『ピェーピェー』ちゃんです!」

 失敗した!
 まさかニエスのネーミングセンスがこんなに特殊だとは思わなかった!
 勇一は思わず頭を抱えるが、嬉しそうに『これからも、宜しくねピェーピェーちゃん』と、話しかけているニエスを見ると、いまさら駄目だとも言うわけにはいかない。
 電動バギーピェーピェーに決定した。

 残りの電動バイクと電動ジャイロは、勇一があわてて適当に名づける。
 電動バイクは、バイクと言ったらこの名前しか思いつかなかった 電動バイクカタナにして、
 電動ジャイロは、もう単にインスピレーションにしたがって 電動ジャイロソーサーとした。

 他にも機器はあることあるが、とりあえずこれだけ決めれば問題ないだろう。
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