30 / 30
第二章
30 名前
しおりを挟む
「こちらがライトドラゴンの首に掛かっていた懸賞金、金貨八百枚になります」
ドカッと、大きな革袋がカウンターの上に置かれた。
「なお、ドラゴンの死体の買い取りについては、価格を査定後に、後日あらためてお支払いさせて頂きます」
胸の大きい受付嬢が、ニコニコと笑顔を浮かべて教えてくれた。
ライトドラゴンの首には、多額の賞金がかかっていたうえに、死体を結構な金額で買取りしてくれるそうだ。
ドラゴンの死体はやっぱり良い素材になるらしい。
カウンターの上に置かれた革袋を手に取ってみる。
お、重い。
金貨八百枚。約8Kg程の重さがあるから、片手で持つのが無理なくらいだ。
それにしても物凄い大金だ。
そして偶然にもその金額は、ディケーネの奴隷として買い取った金額と、同じ金額だった。
ただ、その事を口に出して言うのは、さすがにデリカシーにかけるだろうなあ。
そう思って勇一は口に出さずにいた。
「ふむ、私と同じ金額だな」
ディケーネ本人が口に出して言ってしまったよ!
しかも
「ディケーネさんって、そんなとんんでもない値段でご主人様に買われたんですか?!」
そうニエスが驚くと、なんかちょっと
『実は、私はライトドラゴンと同じ金額の女なんだよ』的に自慢げな表情を浮かべている。
まあ、それはさすがに、勇一の気のせいかもしれないが。
とにかく、金貨八百枚の入った革袋を肩に担いで、カウンターを離れる。
改めて冒険ギルド内を見ると、最高に沈んだ雰囲気だった。空気が重い。
ここに入るまで歩いてきた街の中の、熱気あふれ浮かれた雰囲気と真逆の空気だ。
それもそのはず、冒険ギルドの中には、『水と炎の旅団』を中心に、無事に帰ってきたレイドパーティーの生き残り達が座っている。
あまりにも重く、暗い空気だ。
なんか、あまり関わりたくないな。
そう思って、何も言わずに横を通り過ぎようとする。
「おい、ちょっとまて。聞きたいことがある」
呼び止められてしまった。
声のほうを振り向くと、グルキュフが立ち上がってこちらに寄ってくる。
「なんだよ?」
「ライトドラゴンと戦った先発隊に、誰か生き残りはいたか?」
「一人だけ残して全滅してたよ。生き残っていたのは……」
あれ? あのモヒカンの男って、何て名前だっけ?
さっきディケーネが街で同じような質問を受けた時に、名前を言っていたような気もするけど、思い出せないぞ。
勇一が困っていると、ディケーネが代わりに答えてくれた。
「"ウロガエル"と呼ばれている男だけが生き残っていた。
他の冒険者の死体に魔物除けの薬品をふりかけていたが、多分もうすぐ帰ってくるだろう」
「ウロガエルか、あいつの悪運だけは本物だな。
詳しい事はウロガエルが帰ってきたら聞くことにするか」
話は終わったといわんばかりに、ディケーネが歩き出そうとする。
「まて、もう一つ聞きたいことがある」
「なんだ?」
「いや、ディケーネ。お前でなくて、そっちの男に改めて聞きたい」
グルキュフはもちろん、勇一のことを見ていた。
「なんだよ?」
問いただすとグルキュフが、真正面から見据えてくる。
「名前だ」
「名前? なんのことだ?」
いきなり”名前だ”と言われても何のことか、勇一には解らない。
そんな勇一を馬鹿にするような表情を浮かべてから、グルキュフが聞いてきた。
「お前の名前に決まってるだろう。 おまえ、名は何と言う?」
今頃、それを聞くのかよ!
思わず、勇一が心の中で突っ込みをいれる。
どうやら、今までは名前を知らないことも気にならないくらいに、勇一のことが、まったく眼中に入って無かったらしい。
「俺の名は、勇一 五百旗頭だよ」
「ユーイチ・イオキベか。覚えておくぞ」
その端正な顔を歪めて、グルキュフは、獣のように笑う。
今までは、”どこにでもいるただの新人の一人”と思い、まるで眼中になかった男。
その男を初めて敵として、いや、"獲物"と認識した。そんな感じの表情だった。
――――――
その後、三人で冒険ギルドの建物を出る。
すると、急にディケーネに腕を引っ張られた。
「ユーイチちょっとこっちへ来い。大事な話がある」
腕を引っ張られたまま、少し離れた路地に連れて行かれた。
ディケーネがいつにも増して厳しい表情だ。
「また、いきなり何だよ、大事な話って」
「ニエスの事だ」
少し離れた所で、手もちぶさたに待っているニエスをチラリと見る。
「彼女がどうしたんだ?」
「ニエスは知りすぎた。
"嘆きの霊廟"で見つけた品々がとんでもない伝説級の物だと言う事は私にも解る。それらについてニエスは多くを知りすぎてしまった。
さらに問題なのは、"嘆きの霊廟"に、まだ多くの品が残っている事をニエスが知っていることだ」
「彼女が、他人にしゃべってしまうと?」
「ニエスを信用する、しないの問題じゃない。
ニエスは奴隷だからな。本人に喋るつもりがなくても、主人に命令されれば喋べらざるをえない」
「なるほど、納得。
さて、どうしたもんかな」
勇一の暢気な問いかけに対して、ディケーネの目が更に鈍く、ギラリと光った。
「口を封じるしかないだろう」
え?
口を封じるって……、それって、どういう意味だ?
勇一が困惑する。
ディケーネの目は、真剣だ。
その、あまりにも真剣すぎるディケーネの瞳が、勇一を更に困惑させる。
"口を封じる"って、まさか……
まさか、ニエスをコロス……とか、考えて……
「今回は金の力を使って口封じをしよう。
ドラゴンを退治したおかげで金はあるんだ。いっそのことニエスを買ってしまうのはどうだ?」
「あ、うん、そうだよな! それがいい! そうしようそうしよう!」
勇一はもちろん大賛成する。
あー よかった。
ニエスをコロスとか変な事、ディケーネが言いださなくて。
ディケーネなら、なんとなく言い出しかねない所があるから、怖いんだよなあ。
心の中だけで安堵のため息をつく。
「それって、明日でいいんだよな」
「ああ、元々のニエスの返却予定が明日だからな。返しにいくついでに買取の話をすればいい」
「OK、じゃあ、今日はもう宿屋に泊まって寝よう」
今日は、なんかもう疲れた。
とにかく眠りたい。
近くの宿屋に三人で部屋を取る。
部屋に入って、飯も食わずそのままベッドに倒れこみ、泥のように眠った。
こうして、長い長い一日が、やっと終わりを告げた。
*お知らせ
『異世界スクワッド』を愛読ありがとうございます。
この作品はいままで小説家になろうサイトと、アルファポリス 二つに同時に投稿しておりました。
ですが、二章に入り、作者も忙しくなった為、アルファポリスにはリンクのみの形に変更したいと思います。
続きは以下の作者ページより、リンクをご確認ください。
http://www.alphapolis.co.jp/author/detail/735223216/
お手数をおかけして大変申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。
ドカッと、大きな革袋がカウンターの上に置かれた。
「なお、ドラゴンの死体の買い取りについては、価格を査定後に、後日あらためてお支払いさせて頂きます」
胸の大きい受付嬢が、ニコニコと笑顔を浮かべて教えてくれた。
ライトドラゴンの首には、多額の賞金がかかっていたうえに、死体を結構な金額で買取りしてくれるそうだ。
ドラゴンの死体はやっぱり良い素材になるらしい。
カウンターの上に置かれた革袋を手に取ってみる。
お、重い。
金貨八百枚。約8Kg程の重さがあるから、片手で持つのが無理なくらいだ。
それにしても物凄い大金だ。
そして偶然にもその金額は、ディケーネの奴隷として買い取った金額と、同じ金額だった。
ただ、その事を口に出して言うのは、さすがにデリカシーにかけるだろうなあ。
そう思って勇一は口に出さずにいた。
「ふむ、私と同じ金額だな」
ディケーネ本人が口に出して言ってしまったよ!
しかも
「ディケーネさんって、そんなとんんでもない値段でご主人様に買われたんですか?!」
そうニエスが驚くと、なんかちょっと
『実は、私はライトドラゴンと同じ金額の女なんだよ』的に自慢げな表情を浮かべている。
まあ、それはさすがに、勇一の気のせいかもしれないが。
とにかく、金貨八百枚の入った革袋を肩に担いで、カウンターを離れる。
改めて冒険ギルド内を見ると、最高に沈んだ雰囲気だった。空気が重い。
ここに入るまで歩いてきた街の中の、熱気あふれ浮かれた雰囲気と真逆の空気だ。
それもそのはず、冒険ギルドの中には、『水と炎の旅団』を中心に、無事に帰ってきたレイドパーティーの生き残り達が座っている。
あまりにも重く、暗い空気だ。
なんか、あまり関わりたくないな。
そう思って、何も言わずに横を通り過ぎようとする。
「おい、ちょっとまて。聞きたいことがある」
呼び止められてしまった。
声のほうを振り向くと、グルキュフが立ち上がってこちらに寄ってくる。
「なんだよ?」
「ライトドラゴンと戦った先発隊に、誰か生き残りはいたか?」
「一人だけ残して全滅してたよ。生き残っていたのは……」
あれ? あのモヒカンの男って、何て名前だっけ?
さっきディケーネが街で同じような質問を受けた時に、名前を言っていたような気もするけど、思い出せないぞ。
勇一が困っていると、ディケーネが代わりに答えてくれた。
「"ウロガエル"と呼ばれている男だけが生き残っていた。
他の冒険者の死体に魔物除けの薬品をふりかけていたが、多分もうすぐ帰ってくるだろう」
「ウロガエルか、あいつの悪運だけは本物だな。
詳しい事はウロガエルが帰ってきたら聞くことにするか」
話は終わったといわんばかりに、ディケーネが歩き出そうとする。
「まて、もう一つ聞きたいことがある」
「なんだ?」
「いや、ディケーネ。お前でなくて、そっちの男に改めて聞きたい」
グルキュフはもちろん、勇一のことを見ていた。
「なんだよ?」
問いただすとグルキュフが、真正面から見据えてくる。
「名前だ」
「名前? なんのことだ?」
いきなり”名前だ”と言われても何のことか、勇一には解らない。
そんな勇一を馬鹿にするような表情を浮かべてから、グルキュフが聞いてきた。
「お前の名前に決まってるだろう。 おまえ、名は何と言う?」
今頃、それを聞くのかよ!
思わず、勇一が心の中で突っ込みをいれる。
どうやら、今までは名前を知らないことも気にならないくらいに、勇一のことが、まったく眼中に入って無かったらしい。
「俺の名は、勇一 五百旗頭だよ」
「ユーイチ・イオキベか。覚えておくぞ」
その端正な顔を歪めて、グルキュフは、獣のように笑う。
今までは、”どこにでもいるただの新人の一人”と思い、まるで眼中になかった男。
その男を初めて敵として、いや、"獲物"と認識した。そんな感じの表情だった。
――――――
その後、三人で冒険ギルドの建物を出る。
すると、急にディケーネに腕を引っ張られた。
「ユーイチちょっとこっちへ来い。大事な話がある」
腕を引っ張られたまま、少し離れた路地に連れて行かれた。
ディケーネがいつにも増して厳しい表情だ。
「また、いきなり何だよ、大事な話って」
「ニエスの事だ」
少し離れた所で、手もちぶさたに待っているニエスをチラリと見る。
「彼女がどうしたんだ?」
「ニエスは知りすぎた。
"嘆きの霊廟"で見つけた品々がとんでもない伝説級の物だと言う事は私にも解る。それらについてニエスは多くを知りすぎてしまった。
さらに問題なのは、"嘆きの霊廟"に、まだ多くの品が残っている事をニエスが知っていることだ」
「彼女が、他人にしゃべってしまうと?」
「ニエスを信用する、しないの問題じゃない。
ニエスは奴隷だからな。本人に喋るつもりがなくても、主人に命令されれば喋べらざるをえない」
「なるほど、納得。
さて、どうしたもんかな」
勇一の暢気な問いかけに対して、ディケーネの目が更に鈍く、ギラリと光った。
「口を封じるしかないだろう」
え?
口を封じるって……、それって、どういう意味だ?
勇一が困惑する。
ディケーネの目は、真剣だ。
その、あまりにも真剣すぎるディケーネの瞳が、勇一を更に困惑させる。
"口を封じる"って、まさか……
まさか、ニエスをコロス……とか、考えて……
「今回は金の力を使って口封じをしよう。
ドラゴンを退治したおかげで金はあるんだ。いっそのことニエスを買ってしまうのはどうだ?」
「あ、うん、そうだよな! それがいい! そうしようそうしよう!」
勇一はもちろん大賛成する。
あー よかった。
ニエスをコロスとか変な事、ディケーネが言いださなくて。
ディケーネなら、なんとなく言い出しかねない所があるから、怖いんだよなあ。
心の中だけで安堵のため息をつく。
「それって、明日でいいんだよな」
「ああ、元々のニエスの返却予定が明日だからな。返しにいくついでに買取の話をすればいい」
「OK、じゃあ、今日はもう宿屋に泊まって寝よう」
今日は、なんかもう疲れた。
とにかく眠りたい。
近くの宿屋に三人で部屋を取る。
部屋に入って、飯も食わずそのままベッドに倒れこみ、泥のように眠った。
こうして、長い長い一日が、やっと終わりを告げた。
*お知らせ
『異世界スクワッド』を愛読ありがとうございます。
この作品はいままで小説家になろうサイトと、アルファポリス 二つに同時に投稿しておりました。
ですが、二章に入り、作者も忙しくなった為、アルファポリスにはリンクのみの形に変更したいと思います。
続きは以下の作者ページより、リンクをご確認ください。
http://www.alphapolis.co.jp/author/detail/735223216/
お手数をおかけして大変申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる