乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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幕間

Psycho&Timidly ー402号室内での出来事ー

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僕は藤野先輩と別れて、自分の部屋に戻る。


玄関に入った僕はリビングに匂いがしないことに気付き、一旦僕の個室部屋に行き、カボスと柚子をブレンドして、空になったアロマと入れ替えてリビングに置く。


これはこの部屋に住む同室者、凪君のため。


なんで一つ下の僕が"凪君"って呼んでるのか。


それは僕と凪君は幼馴染で、僕のお父さんと凪君のお父さんが昔からの親友だから。


ガチャッと音がしたから振り返ったら、凪君がどんよりとしたオーラを出していた。


「七ちゃん、おかえり………」


いつも無邪気に明るく喋る声と違い、なんかオーラと同じくどんよりしていて、笑顔だったけど目が笑ってなかった。


「昨日から、その調子、だけど、凪君、なにか、あったの?」


昨日から凪君はこの調子のまま____正確には、藤野先輩が部屋に上げた時から。 
 


凪君はしゃがみ込み、口を開く。



「僕ね、"スピカちゃん"に酷いことしてしまったんだ。」
「えっ?藤野、先輩に、ですか?」




スピカちゃんって呼んでるから恐らく、藤野先輩のことだと思う。
でも藤野先輩の前では"スピカちゃん"って呼んでなかったような……


「あ、これ。スピカちゃんに言わないでね。ちゃん付けで呼ぶのダメらしいんだ。」


凪君は僕が思った事を答えてくれた。
僕、思ってる事は顔に出やすいから分かるんだ。


「僕の家系の事は、知ってるよね?」
「うん」



凪君の家系はヤンデレ気質が多くて、執着心が強い一族。凪君のように明るくて表情が豊かな人が多くて、一見接しやすいんだけど、好きな人となると一変するんだって。


「スピカちゃんと一緒にいると胸がときめく気持ちになるんだ。スピカちゃんといるだけで楽しいし、愛おしく思うんだ~」



その人を一度好きになったらとことん一筋で、その人が自分以外の異性と楽しく話していると、嫉妬以上の感情が黒く渦巻くんだって。


「でもスピカちゃんから、僕以外の匂いついてたから僕イラッときちゃって…」



下手すると相手の人に危害を与えるらしく、殺されかけたヴァンパイアがいたから、一部のヴァンパイア達から恐れられてるんだ。


「この性質のせいで僕は、スピカちゃんを傷つけてしまったんだ。」



その真剣な表情から凪君は、必死なんだと思った。



「僕、謝らなきゃ。スピカちゃんに嫌われたくないんだ!大好きだから!」



二人の間に何があったかは分からないけど……



「スピカちゃんが大好きなんだ。スピカちゃんが僕のクラスに転校してきた時から……」


凪君が藤野先輩の事を熱く語っていた。



凪君のその姿はまるで恋をした少年みたいに……


ん?"恋"??凪君が、誰に……?


「ねぇ、凪君って、藤野、先輩の事、友達として、好きなん、だよね?」



僕は疑問に思ったことを言えば、凪君はあーッと暫く考え込み…………


「まぁ、うん、好きだよ。………"友達"としてもね。」
「………?」


凪君は躊躇いながらも、答えた。
何故、凪君が躊躇っていたのか分からない僕は首を傾げる。



「七ちゃんのおかげで、少し楽になったよ。僕の話聞いてくれてありがとう」


そう言って凪君は立ち上がり、自分の部屋に戻って行った。


(そういえば……)


僕はふと、先ほどの藤野先輩のやりとりを思い出す。


(僕は、何と声かけようとしてたんだろう………?)


何か大事なことだったような気がする。そう、藤野先輩から漂う"匂い"について……


(今度、藤野先輩に会ってみれば分かるかもしれない……)



僕は疑問を抱きながらも、自分の個室部屋へと戻って行った。


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