乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第2章:第1節

可愛いは正義です!!

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六月中旬____




中間テストが既に終わりホッと一息を付いていた頃、私はミナトと二人で隣町のデパートに来ていた。



「……にしても、今日はやけに賑やかだな」


歩きながらミナトはデパート内をキョロキョロ見渡す。休日のデパートは平日より沢山来るのだが、今日はあるイベントがやっているためまわりはお客だらけで他の店舗も大繁盛していた。


「当たり前ですよ。このデパートには今日、イベントがやってるみたいですからね。」


そう言う私の瞳には何かを定めた獣のように鋭くなり、奥へと進む。



「なんだ?あそこだけ、人だらけじゃねぇか?」
「………並びますよ。」
「は?アレに、か?」
「当然です。嫌なら僕一人だけ行きます。」
「……チッ、誰も嫌って言ってねぇよ。」


奥に進むと私達は広場に到着する。広場には既に長い列が出来ていて、ミナトは渋々と私と横並びで列に並んでいた。



「並んだのはいいけどよ、これなんの列なんだ?」


ミナトは訝しそうな顔つきで私に尋ねる



「フッフッフッ、気になるんですね。これが一体なんの列なのか。そうですかそうですか、ミナトでも気になることがあるんですね。こういうの気にしない方だと思っておりました。」
「…………お前、この俺にケンカ売ってんのか?」


私はニヤケ顔でうんうんと頷くとミナトの眉がピクリと動く。


「冗談はさておき、これが何かご説明しましょう。これはですね…………と言いたいところですがどうやら、お店がオープンしたようですね」



と私が説明しようとしたら、前の列が進み始める。列の先には、何やら可愛いものが沢山置いてあり、女の子に喜ぶものばかりが並べられていた。


そして可愛いお店に入った私達は、真っ先にキーホルダースペースへと行く。


「なぁ…………これって、女が喜ぶもんばっかじゃねぇの?」
「そうですが何か?」


私は色んな種類のキーホルダーを物色しながらミナトと何気ない会話を交わす。


「あのな………今のお前、男だろ。こういうとこ平気なのか?」
「平気ですよ。由奈と二人でこの系統のお店に何回か入ってますから。」



そう答えたら、マジかよとミナトの声が呆れていた。表情は見えないが恐らく、眉を寄せて顔に手を当ててるだろうと予想する。



「そういうミナトは、こういうの苦手ですよね?」
「…当ったりめーだ。何が好きで女の品物を見なきゃいけねぇんだ。」


私は色違いの二つのキーホルダーを手にして、買い物カゴの中に入れて他のスペースを物色して、店を後にした。



「……ですがいずれ、ミナトにも好きな人が出来たら、あの系統のお店を入ることになりますよ。」
「あー…………そう、なるな。」


店を後にした私達はデパート内を散策して、ミナトは戸惑いながらも答える。


(あれ?意外だな。ミナトのことだからてっきり、んなもんこの俺には関係ねぇって言うと思ってたのに……)


ミナトの返答に疑問を抱きながらもデパート内を散策した私達は、デパートを後にして近くの駅まで歩く。



「そういうスピカはどうなんだよ?」
「えっ?何がですか?」
「何がってお前……俺に好きな奴がどうのこうの言ってただろうが。」



暫くして最寄り駅に着き、駅を降りて学生寮に向かっている時、ミナトが突然私に話を投げかけられる。私はきょとんとすればミナトが不機嫌そうにムッとする。



「……ああ、好きな人が出来たら先程のようなお店を入ることにはなるって僕言いましたね。」
「お前、好きな奴いんのか?」
「えっ…………」


ミナトから予想外なことを言われた私は一瞬、目を白黒させる。



「いきなりなんですか。僕に好きな人がいるかなんて……」
「いいから答えろ!」


恐ろしく真剣な顔つきをするミナトに私は、戸惑いの色を隠せなかった。



「い、いませんよ…………」


私は戸惑いながらもしどろもどろと答えた。するとミナトの声は、そうかと言って何処か安堵の含みを感じ、顔を正面に戻す。


「あっ、スーちゃん!」
「由奈」


そこに向こうから由奈がやってきて、私達に視界に入った由奈は歩み寄った。


「由奈はこれから夕ご飯の買い物ですか?」
「うん、よく分かったね!」
「そりゃ分かりますよ。エコバッグが持ち歩いているようですから」


由奈は私に抱きついて、フフッと悪意のない笑みを浮かぶ。私も由奈の頭を我が子を守る母親のように優しく撫でる。



「由奈に渡したいものがあります。学生寮だとなかなか会えませんから。」


そう言って私は一旦、由奈と真正面に向いてデパートで買った品物を由奈に渡した。




「えっ!スーちゃん、これ…………」



由奈は袋に描かれてるロゴを見て気づいたようだ。



「今日、隣町のデパートでミナトと一緒に期間限定の特設店舗『RIG×RIG』に行ってきました。」
「やっぱり、行ってきたんだ!」
「中身は部屋で見てください。」
「うんありがとう、スーちゃん!!」



そう言って由奈はまた私に抱きついて、私の胸にスリスリと顔を擦り付ける。


(由奈は本当に可愛いなー、女である私でさえ放って置けないよ。)


心の中で私は由奈の行動に癒されていた。



「…………おい、俺のこと忘れてんじゃねぇよ!」


ふと私はミナトの存在を忘れ、ミナトに顔を向ける。ミナトの眉がピクピクと動き、青筋を立てて怒っていた。


「スーちゃん…………!!」


由奈はミナトの存在に気付き、私を抱きついたまま剣幕のオーラを纏うミナトを見て怯えていた。するとミナトの顔がますます不機嫌顔になり始めていた。



「……ミナト、由奈を怖がらせないでくれますか?」


私は宥めるようにミナトに投げかけた。ミナトは、気まずそうな顔つきで舌打ちをする。



「由奈、そろそろ夕食の買い出し行った方が良いのでは?」
「あっ、そうだった!」



由奈はテヘッと可愛く私におどけて見せる。そして由奈は私達を通り過ぎ、夕食の買い出しへと走って行った。



「…………なんなんだ、あいつ」
「加々見由奈で栖蘭学園の二年生。あの子、僕の幼馴染です。とても良い子ですよ。この僕でも放って置けなくて……」
「あいつが良い子、だと…………ケッ、胸糞悪いぜ!」




由奈の背中を見届けるミナトの眼差しは軽蔑な目をしていた。何故そんな目で由奈を見るのか私には到底理解出来なかった。

 

「…………寮に帰るぞ」
「はい」


そして私達は学生寮に向かい、再び歩み始めた。







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