乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第2章:第5節

男装女子を観察する者

「香月先輩。遊びに来ました~♪」


ふと噂をすれば、玄関からドア越しで神無月の声がリビングに響く。


「チッ……」


私に抱きついたまま、何かをしようとしてたミナトは神無月の声を聞いて不機嫌な顔で舌打ちをする。


私から離れて、玄関へと歩み寄りガチャとドアを開けた。



「…………何の用だ。」
「んもう、先輩。顔が怖いっすよ♪」



ミナトが剣幕な表情で接待すると神無月はワザとらしい笑顔を見せる。


「神無月テメェ……ワザとか?」
「なんのことっすか?用件あるのは本当っすよ?」



そう言ってミナトは剣幕な表情のまま額に青筋を立てると、惚けた顔をしてニヤリと口元の角を上げる。


「ここだとアレなんで、入っていいっすか?」
「ダメだ。ここで用件言え!」
「……そんなこと言っちゃっていいんすか?ここで"アレ"を言っても。」


神無月が真剣な顔に変わり、ミナトは渋々入れと促してリビングへと入っていく。


「お邪魔します。スピカ先輩♪」


リビングを通って私に視線が入った神無月は一礼して、ミナトと共に左の部屋に入っていく。


(何処か行ってこうかな。)


ミナトによって吸血された耳下と首元には熱の余韻を残して私は二人に気を遣い、ガチャと玄関を出た。


※※※※※※※※※※


時刻は午後十時、いつも通りにデパートに寄って学生寮へと帰宅する。507号室に戻り自分の部屋に入って、ショルダーバッグを机の上に置いた私はバッグから貴重品を取り出して、臭い消しをバッグの隣に、かけていたシックのある眼鏡をスマホと共に枕元に置く。


「ハァー…………」


一つに纏めた髪を解いてから私はベットにダイブして顎を枕の上に乗せる。


(三つ子がこの栖蘭学園に転校してくるまであと一ヶ月半……)


十月に転校してくる三つ子のことを思い浮かべながら、曖昧な表情をして顔を横に向きを変えた。枕を下に向けた耳から心臓の鼓動が伝わってくる。


「………………」



ふと何かの気配を感じた私は険しい顔にして体を即座起こす。


辺りを見渡すが誰もおらず、何かを動いた痕跡はない。そもそも自分の部屋に帰ってきた時には即座鍵をかけるようにしてるのだ。入ってきた時にヴァンパイアハンターである私が余程のことがない限り、気配を見逃すはずがない。



「…………気のせい、か。」



警戒を解いて私は、寝間着に着替えて部屋を出て洗面所が設置しているお風呂へと向かう。




※※※※※※※※※※


「……ふぅー、危ない危ない」


月が浮かぶ夜空にて、空中に浮かぶ一人の青年が背後に月明かりに照らしながらスピカの部屋を窓越しで観察していた。


「弟に言われた時にはまさかと思ってたけど、本当だったとはね……」



シックの服装を纏う青年の表情は驚きながらも声は何処か愉しみが含む。


「"あの男"に報告しなきゃいけないんだけど、どうしようか……」


青年は難しい顔をして、顎に手を置いて考え始める。そして何かを閃いた青年は口元の角を上げた。


「……嘘も方便、だよね!」


そう呟いてスピカの部屋を背に向けて遠くの彼方へと飛んで行った。










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