乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第3章:第3節

オーナーと服巡り(下)

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「次は【Black and Milk】と言うゴスロリ専門店は、ゴシックは勿論、ゴスロリ、ロリータ御用達のお店だよ。」


次の目的地【Black and Milk】についてショウさんは歩きながら説明する。


「このお店のブランドコンセクトは、基本は女の子らしさをベースにして、三種類味がある。」
「味?」
「ざっくり言うとブラックとカフェオレと牛乳だよ。」



それ聞いた私は、完全に飲み物じゃんと心の中で突っ込みを入れた。



「……本当にざっくりですね」
「確かにそうだけど、ゴスロリ系愛用者は勿論、V系の人達もファッションの一部を取り入れてるからとても人気ブランドだよ。」


走行話してる内に【Black and Milk】と書かれたアンティークとゴシックが混ざった建物の前に到着する。ショウさんの後に入った私は目をキラキラと輝かせた。


(内装がゴシック調に統一されてるー!!)


建物内はゴシック調のインテリアで、黒を基調としつつ赤ワインの絨毯が敷き込まれていて、所々にフランス人形が配置されている。独特の雰囲気に私は興奮していた。


「……____いらっしゃいませ」
「っ!?」


暫くして歩きながら店内を見渡していたらいきなり後ろから声をかけられて私は声にならない悲鳴を上げて、背中に指をツゥとなぞられたみたいにビクッと反応して体を縮み込んで後ろを振り返った。



「貴女、綺麗な顔立ちね」


そこには黒のフォーマルドレスに胸元にはサファイアパレッタのタイをあしらう女性が目鼻立ちのキリッとした美しい顔で妖艶な眼差しを私に向ける。


「……気配消すなよ。この子初めてなんだから」


ショウさんは振り返って女性に目にした途端、呆れた声でその女性に問いかけた。


「だって気になるわよ!ショウが女の子を連れてくるぐらいだもの。」
「……だからって、気配消すか普通?」


話を聞く限り、その女性はショウさんと親しい仲にあるみたい。私は二人のやりとりを見て直感して、二人の関係を聞いてみた。


「ショウさん、お知り合いの方ですか?」
「まあね。こいつは、この店のオーナーだ。」
「ワタシ、陽子って言うの。宜しくね。」


そう言って女性…陽子さんはうふふと妖艶な笑みを浮かべる。


「藤野スピカです。」


私は名前を言ってペコリと陽子さんに頭を下げる。


「可愛い名前。ワタシもスーちゃんって呼んでいいかしら?」
「構いませんよ?」


私は陽子さんにあだ名で呼ぶことを許可すると、私のところに歩み寄り抱きつかれる。


「え?あ、あの……!?」


突然のことに私は慌てて、抱きつく陽子さんに尋ねる。

私の顔に陽子さんの豊満な胸が当たり、女の私でさえこの状況に顔を赤面する。


「ごめんなさいね、スーちゃんが可愛いからつい……」 


それと、と陽子さんは一旦ひと言言って距離を置いて私を定めるようにジッと眺める。ジッと眺められる私は強張りながら陽子さんを見た。


「もし良かったら、うちでバイトしてみない?」
「えっ、バイトですか?」
「顔立ちは綺麗だし、ここでバイトするときの服装はゴスロリ系ファッションよ!」


いきなりのバイトの誘いに私は一瞬驚いたが、すぐに平常心に戻り私は申し訳ない顔を浮かべて陽子さんを見る。


「すみません。私が通ってる学校はバイト禁止なんです。」
「あら、バイト禁止って……どこの学校?」
「栖蘭学園」


私がそう答えたら陽子さんが意外そうな表情を見せて、開けた口元を手で隠した。


「ワタシ達が通ってた学校じゃない。いつからバイト禁止なんて項目出来たの?」
「……弟が入学した時に出来たんだってさ。」
「そう言えばショウには弟がいたわね。」


陽子さんの言い方からして、この二人は栖蘭学園のOBで私の先輩に当たるようだ。さっきまで黙っていたショウさんが口を開いて陽子さんと話を交わす。


「確か名前は……」
「……____スーちゃん、店内じっくり見てきていいよ。俺は陽子と懐かしい話で長引きそうだからさ。」


陽子さんがショウさんの弟さんの名前を言おうとしたらショウさんが押し止めて、私に店内を見るよう促す。


「……分かりました」


私はショウさんの意味深の笑みを見て、一歩下がって店内を見渡して行く。


(なんだろ……)


ショウさんの先程の言動と表情を見て、私の中に何かが引っかかっていた。



※※※※※※※※※※



三十分くらいで【Black and Milk】を後にした私とショウさんは、夜に更けて街灯が点灯した道を多留兎駅前まで歩いて行く。




「明日はちょっと遠い所行くから、駅前で待ち合わせしよう」



時刻は午後八時過ぎでほとんどのファッションブランドが閉店していた。この時間帯で開いているのは一部のレストランとコンビニぐらいだ。


「何時に待ち合わせしますか?」
「10時半なら乗り換えに間に合うから余裕を持って、10時に。」
「分かりました。」


話をしてるうちに多留兎駅前に着いた私はショウさんに一礼してから駅内へと入って行く。


「ではショウさん、私はここで失礼します」
「また明日、スーちゃん。」


ショウさんに見送られながら私は駅内へと進んで、切符を買って改札口を通過して、階段を上りきったちょうどに柳原駅行きの電車が到着する。


電車に乗車して入り口付近の席を座って、荷物を上に乗せる。


(あの時のショウさん、陽子さんに弟さんの名前を言わせないようにしてたな。もしかして、私には弟さんの名前は知られたくない……?)


そして電車のドアが閉まり、動き出した後に私は【Black and Milk】での出来事を振り返り、考える仕草をする。



(でも弟さんの名前を私に聞かれても、問題ない気がするんだけど。知らないかもしれないし。)


ふとショウさんの弟さんが今栖蘭学園に通っていることを思い出す。


(そう言えば、お二人の話を聞く所によるとショウさんの弟さんは栖蘭学園の生徒、なんだよね?)


私はうーんと難しい表情を浮かべて眉を顰める。


(分からないなー……)


電車から見る窓辺からは、ビルばかりの眺めから緑が溢れて住宅地へと変わっていく。昼頃には見えるその景色は今は辺りが真っ暗であるため、ほとんど見えない。


(ショウさんの弟さん、どんな外見だろう……)



ガタンゴトンと電車に揺れながら私は柳原駅に着くまで、ショウさんの弟のことで頭はいっぱいになる。


(昨日ショウさんから聞いた話だと少なくても、奇抜なファッションしてそう……)


私はショウさんの弟さんの人像図を思い浮かべながら、顔を引きつる。


多留兎駅から乗車して三十分、柳原駅に着いた私は荷物を手にして下車する。


(さて明日は10時に待ち合わせだから、ここには9時までにこれば大丈夫だね)


柳原駅のホーム内にある電車の時刻表を見る。柳原駅に書かれている時刻表には9時帯は[9時02分][9時48分]の二つしかない。


スマホのカメラを使って、時刻表を写真に撮る。そして私は柳原駅を後にして学生寮へと帰って行った。





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