地獄の底から殺りに行きます

プリンケツ

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第10話 交流

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 旧クランマネキス支部の跡地に立ち尽くす2つの人影。

 「ミルよ...どうする?」
 「...わっからん」

 ミルとレベッカは冒険初日から金欠問題に直面し唯一の解決策であったクランの貯金引き出しさえも不発に終わり、野宿を覚悟していた。

 「地獄に戻って今夜だけでも私の部屋で寝るか?」
 「絶対嫌だ。」

 レベッカの救援策を跳ね除けミルは歩き始める。
 
 「どこへいく?」

 レベッカが後ろについてきながら話しかけてくる。

 「町の中じゃさすがに野宿は出来ねぇからな。一旦町の外に出て、あとはひたすら朝になるのを待つさ。なぁに俺は360年待ったからな、数時間なんてなんともない」

 レベッカはミルの発言を聞きクスクスと笑っている。
 2人は来た道をそのまま戻り待ちを出ようとした時、ある女性に話しかけられた。

 「ちょっとそこの!こんな時間からどこに行くのさ?」

 声に反応し振り向くとそこにはおばさんが立っていた。
 ミルが黙っていると替わりにレベッカが話し始めた。

 「あぁ先程この町に着いたのだが、いかんせん金がなくてな。宝石ならあるのだがこの時間では換金もできんから今から野宿でもしようかとおもっていたところなんだ。」

 レベッカの話し方にミルは正直にうまいと感じた。
 金はないが、金目のものは持っているぞというアピールをさりげなく織り込んでいた。

 「なんだい!それならうちに泊まりな、うちは宿屋だし部屋は空いてる。金は明日宝石を換金してから払ってくれればいいよ。」

 レベッカはどうだといわんばかりのドヤ顔でミルのほうを見た。
 ミルもやれやれと頭を傾けるとその好意を素直に受け取り宿で一泊することにした。
 宿につくとおばさんが簡単なキッシュをふるまってくれた。

 「こんな時間だからね、簡単なものしか出せないけど。よかったら食べて。」

 ミルはテーブルに出されたキッシュをペロリと平らげる。実に360年ぶりの食事に体中の細胞が喜んでいるのを感じた。

 「おいしいです、ほんとうに」

 ミルの素直な気持ちだった。思えばこんなに素直に気持ちを吐き出したのもエルザにブレスレットをもらったあの日から360年ぶりのことだ。
 そんなミルにおばさんが説教口調で話し始める。

 「それと、こんなきれいな彼女を野宿なんかさせるもんじゃないよ!」
 「彼女じゃありません。」

 おばさんの発言にミルは瞬時に答える。

 「妻です。」

 そこへ待っていましたと言わんばかりにレベッカが横から口をはさんでくる。

 「まぁまぁ!それなら同室でも問題ないね!」

 ミルは余計なことをとレベッカをにらみつけるが完全に気づかないふりで明後日の方向を見ている。

 結局2人同部屋になりしかも同じベッドで寝ることになってしまった。

 「ミル...明日はどこから情報収集を?」
 「クランの支部が消えていたからな...クラン自体が1年程度で消えるとは思えねぇから多分移動しただけだ。そこから探す。」
 「なるほど、了解だ。」

 ミルは明日の予定を一通り説明するとベッドに入り枕に顔をうずめた。

 「あの人間は非常に好意的な人間だったな...あの人間も構わず殺すのか?」
 
 レベッカはミルの隣で横になり質問するが答えは返ってこない。
 隣のミルの顔を覗き込む。
 実に360年ぶりのベッドは圧倒的な睡魔とともにミルを誘惑し、一瞬にして夢の世界へといざなっていた。
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