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第15話 断罪イベント的なやつ
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「カチュア様! 助けにきてくださってありがとうございます」
私は感謝と郷愁で胸がいっぱいになって上司に抱きついた。
「こら、ハルーティ。もう子どもではないのだから、人前ではやめなさい」
「ちえ」
しぶしぶ身を離す。
「ハ、ハルーティ……?」
陛下が呆然としている。どうしたんだろう。あ、紹介したほうがいいよね。
「フレイズ皇帝陛下、こちらは私の上司のカチュア様です。救援要請を受けてゼマリウス山から来てくれたんです。よね?」
上司は頷いた。
「セラム教、神官長のカチュア・リフです」
「あ、ああ、そうであったか。ご助力いただき感謝申し上げる」
陛下はやっと平静を取り戻したようだ。いやでも、ちょっと顔がひきつっているような。
「しかし、セラムの神聖魔法が、闇の魔法に勝てるとは驚きであった……」
「いや、それは誤解です」
賞賛を込めた陛下の言葉に、上司は頭を横に振った。金の前髪がゆらゆら揺れる。
「もともとセラム教は、闇の魔法に弱い。闇の魔法を発動しているアイテムには近づくことさえ難しい。ならば離れたところから破壊すればいいのです。そのために氷の玉をつくって強めに投げただけのこと。つまり物理的に対処したのです。別に魔法でなくとも弓でも石でも構わなかった」
なんだか難しいことを言っているので聞き流していたら、カチュア様が私のほうを向いた。
「いいか、ハルーティ」
「は、はいっ?」
「我々は雪と氷しか使えない。だが、使いようによっては、さまざまな効果を生み出せるんだ」
「はい。あの、でも、<こおりに魂は宿る>が私にはまだ使えないんですが……。使えるのは悪霊退治の神聖魔法だけです」
「信心が足りないな……」
うう、済みません。いつかあの魔法を覚えたときのために、投球練習だけはしておきます。
部屋で倒れていた人たちが続々と意識を取り戻し、あたりが騒がしくなってきた。ルタたちも起き上がって、アーシャを取り囲んでいる。
上司は部屋に入り、粉々になったナイフの検分を始めた。
「ハルーティ」
通路の端に寄りながら、陛下が手招きした。
「何ですか」
「いや、ちょっと確認しておきたいのだが」
小声だ。内緒話なのだろうか。
「カチュア殿のことなのだが、あのお方は男性ではないのか?」
「ああ、なんだ、それですか。上司は女性ですよ」
お顔立ちがキリッとしていて格好いいせいか、よく間違われるのだ。背も高いし。でも華奢な肩とかほっそりした手とかは、どう見ても女性なんだけどなあ。
「そ、そうか女性か。なら良い。てっきり二股なのかと……」
ほっとしたような顔になって、陛下は壁におでこをつけた。なんかひとりでぶつぶつ言っている。
そのとき部屋の中でセラムの神聖魔法が発動した気配を感知した。あ! ついうっかり忘れていたが、悪霊がいたんだっけ。でも上司が退治してくれたようだ。
アーシャが盗品を部屋に隠していることは、すぐさま城の人々の間に広まり、盗品を取り戻そうとする人たちがどんどん集まってきた。
アーシャは人だかりの壁を割るようにして、ルタとフーランディアに両脇を抱えられて部屋を出てきた。ルタが言うには、これから謁見の間へと連行するとのことである。きっとそこで本人の言い分を聞くことになるのだろう。
カチュア様は呪いのアイテムの検分が終わり、盗品を取り返そうと詰めかけた人々にもみくちゃにされながら通路に出てきた。陛下への調査結果の報告が終わると、ひとまず私の部屋へと案内することにした。ゼマリウス山から城まで2週間ほど旅をして、到着するなり神聖魔法を使ったのだ、きっとお疲れだろう。くつろいでほしい。
上司を部屋へと送ると、私はダッシュで謁見の間へと急いだ。
今回の事件を受けてアーシャがどうなるのか、陛下はどうするのか、見届けたい。
☆ ☆ ☆
「それで、あのナイフはどこで盗んできたのだ。闇の魔法が発動し、悪霊まで召喚するなど、悪神《あしきかみ》かその残党が仕掛けた罠だとしか考えられぬ」
私が到着したとき、アーシャは謁見の間の床にあぐらをくんで、ふてくされていた。
謁見の間にはエミナもいた。珍しい。でも、窃盗の被害者だもんね。きっと彼女もこの事件を最後まで見届けたいのだろう。
「まさかアーシャは悪神《あしきかみ》を信仰しているのではあるまいな。どういう目的で呪いのアイテムを所持していたのだ。闇の悪神ザジルの復活を企んでおるのか?」
陛下はいつになく怖い顔をしている。アーシャはそっぽを向いた。
「あたしは悪神なんて信仰なんてしてないし、何も知らないわよ。だって、あのナイフをどこで盗ったのかさえ全然覚えてないぐらいだし。でもまあ旅の途中で誰かから盗ったんでしょうね。城ではあんなナイフなんか見たことないもの」
「何もわからぬと、そういうことか……」
「役に立たないですねえ。本当に腹が立つ」
ルタは苛立ちを隠そうともしない。
「しかし、納得できぬことがある。カチュア殿がいうには、あのナイフは月明かりを受けると悪霊を召喚し、神官が触れることで闇の魔法が発動する仕組みであったそうだ。それなのに、どうしてアーシャが持っていても発動しなかったのだ」
「そんなの簡単な話よ」
アーシャはつまらなさそうに肩をすくめた。
「あたしはもともと神官じゃないもの。総本山のお札《ふだ》売り場で働いていただけだったのに、フレイズの幼馴染みだからフレイズを誘惑してこいって教団の偉い人たちに言われて、それで急きょ肩書きだけ神官になれたのよね。信仰心ってほとんどないから、ナイフはあたしには反応しなかったんじゃないかしら」
陛下が頭を抱えてしまった。ああ、サーニスラ教団よ、それでいいのか。
「それで今後はどうしますか。布教対決で負けたほうは城を出ていくのでしたよね。出ていってください、今すぐに」
ルタがアーシャに詰め寄る。
「そ、そんなのどちらも1票だったんだから引き分けだわ」
サーニスラ教はアーシャから1票、セラム教は陛下から1票という結果だ。
「自分で入れた票は無効でしょう」
ルタが冷たい声で言い放つ。
「ハルーティはどう思う。あれは引き分けだったか?」
陛下が私にふってきた。
「うーん」
個人的にはどちらの票も無効なんじゃないかという気がするなあ。
「ゼロ対ゼロの引き分けではないでしょうか」
アーシャがぱっと顔を輝かせた。
「じゃあ、あたしは城を出ていかなくてもいいわよね」
「ハルーティが引き分けだと言うのなら、我は構わぬ」
「ありがとうフレイズ! あたしって手癖が悪くて神殿を追い出される形でこの城に派遣されちゃったから、実はもう行くところがなかったの」
アーシャが抱きつくと、陛下は、「しょうがないやつだ」と、小さく笑った。
……むっ。
「布教対決については、それで構いませんが、まだ窃盗の罰をどうするかという話が残っています」
「ひい」
ルタは陛下からアーシャを強引に引きはがし、陰気に笑った。
「さて、どう償ってもらいましょうか」
「窃盗も一件や二件じゃないし、やっぱり追放したほうがいいんじゃないかなあ」
微笑みを浮かべたエミナがおっとりと言うと、ルタが頷いた。
「たしかに被害者の数が多すぎますね。これは見逃すのが難しい。城の多くの人たちがアーシャを許さないでしょう」
二人ともこの展開を狙って、これまでアーシャの犯行を見逃していたのだな。被害者の数を増やしたいってエミナも言っていたもんね。怖い……。
「じゃあ、永久追放ということで」
「そ、そんな……」
「ま、まあまあ。とりあえず盗品をみんなに返せよ、な?」
フーランディが割って入った。
「返して、謝って、みんなが許してくれたら、それでいいだろ。もしみんなの怒りがおさまらないなら、それはそのときにまた考えようぜ」
ルタが自分の前髪をくしゃくしゃにかきむしった。
「だから、フーランディアは本当に……。窃盗というのは厳しく処罰しなければならないんですよ」
「でもさあ……」
フーランディアも引き下がらない。
窃盗にふさわしい罰について二人の間で議論が始まってしまったので、私はそこで退室した。上司をいつまでも待たせたままでは悪い。
謁見の間を出て、少し歩いたところで、なんとなく立ち止まった。首にかけた革紐をたぐり、指輪を取り出す。金色の輝きを少し眺めてから、また服の下にしまった。
「ハルーティ、ちょっと待ってくれ」
フーランディアが追いかけてきていた。
「あれ、もう議論はいいんですか」
「ああ、どんなに話し合っても平行線だし。それより……」
言いよどむ。いつもはきはきしているフーランディアが珍しい。
「何ですか?」
「あのさ、さっきちらっと見かけたんだけどさ。あの美しい人はハルーティと知り合いなのか?」
少し気恥ずかしげにそんなことを言う。
私は感謝と郷愁で胸がいっぱいになって上司に抱きついた。
「こら、ハルーティ。もう子どもではないのだから、人前ではやめなさい」
「ちえ」
しぶしぶ身を離す。
「ハ、ハルーティ……?」
陛下が呆然としている。どうしたんだろう。あ、紹介したほうがいいよね。
「フレイズ皇帝陛下、こちらは私の上司のカチュア様です。救援要請を受けてゼマリウス山から来てくれたんです。よね?」
上司は頷いた。
「セラム教、神官長のカチュア・リフです」
「あ、ああ、そうであったか。ご助力いただき感謝申し上げる」
陛下はやっと平静を取り戻したようだ。いやでも、ちょっと顔がひきつっているような。
「しかし、セラムの神聖魔法が、闇の魔法に勝てるとは驚きであった……」
「いや、それは誤解です」
賞賛を込めた陛下の言葉に、上司は頭を横に振った。金の前髪がゆらゆら揺れる。
「もともとセラム教は、闇の魔法に弱い。闇の魔法を発動しているアイテムには近づくことさえ難しい。ならば離れたところから破壊すればいいのです。そのために氷の玉をつくって強めに投げただけのこと。つまり物理的に対処したのです。別に魔法でなくとも弓でも石でも構わなかった」
なんだか難しいことを言っているので聞き流していたら、カチュア様が私のほうを向いた。
「いいか、ハルーティ」
「は、はいっ?」
「我々は雪と氷しか使えない。だが、使いようによっては、さまざまな効果を生み出せるんだ」
「はい。あの、でも、<こおりに魂は宿る>が私にはまだ使えないんですが……。使えるのは悪霊退治の神聖魔法だけです」
「信心が足りないな……」
うう、済みません。いつかあの魔法を覚えたときのために、投球練習だけはしておきます。
部屋で倒れていた人たちが続々と意識を取り戻し、あたりが騒がしくなってきた。ルタたちも起き上がって、アーシャを取り囲んでいる。
上司は部屋に入り、粉々になったナイフの検分を始めた。
「ハルーティ」
通路の端に寄りながら、陛下が手招きした。
「何ですか」
「いや、ちょっと確認しておきたいのだが」
小声だ。内緒話なのだろうか。
「カチュア殿のことなのだが、あのお方は男性ではないのか?」
「ああ、なんだ、それですか。上司は女性ですよ」
お顔立ちがキリッとしていて格好いいせいか、よく間違われるのだ。背も高いし。でも華奢な肩とかほっそりした手とかは、どう見ても女性なんだけどなあ。
「そ、そうか女性か。なら良い。てっきり二股なのかと……」
ほっとしたような顔になって、陛下は壁におでこをつけた。なんかひとりでぶつぶつ言っている。
そのとき部屋の中でセラムの神聖魔法が発動した気配を感知した。あ! ついうっかり忘れていたが、悪霊がいたんだっけ。でも上司が退治してくれたようだ。
アーシャが盗品を部屋に隠していることは、すぐさま城の人々の間に広まり、盗品を取り戻そうとする人たちがどんどん集まってきた。
アーシャは人だかりの壁を割るようにして、ルタとフーランディアに両脇を抱えられて部屋を出てきた。ルタが言うには、これから謁見の間へと連行するとのことである。きっとそこで本人の言い分を聞くことになるのだろう。
カチュア様は呪いのアイテムの検分が終わり、盗品を取り返そうと詰めかけた人々にもみくちゃにされながら通路に出てきた。陛下への調査結果の報告が終わると、ひとまず私の部屋へと案内することにした。ゼマリウス山から城まで2週間ほど旅をして、到着するなり神聖魔法を使ったのだ、きっとお疲れだろう。くつろいでほしい。
上司を部屋へと送ると、私はダッシュで謁見の間へと急いだ。
今回の事件を受けてアーシャがどうなるのか、陛下はどうするのか、見届けたい。
☆ ☆ ☆
「それで、あのナイフはどこで盗んできたのだ。闇の魔法が発動し、悪霊まで召喚するなど、悪神《あしきかみ》かその残党が仕掛けた罠だとしか考えられぬ」
私が到着したとき、アーシャは謁見の間の床にあぐらをくんで、ふてくされていた。
謁見の間にはエミナもいた。珍しい。でも、窃盗の被害者だもんね。きっと彼女もこの事件を最後まで見届けたいのだろう。
「まさかアーシャは悪神《あしきかみ》を信仰しているのではあるまいな。どういう目的で呪いのアイテムを所持していたのだ。闇の悪神ザジルの復活を企んでおるのか?」
陛下はいつになく怖い顔をしている。アーシャはそっぽを向いた。
「あたしは悪神なんて信仰なんてしてないし、何も知らないわよ。だって、あのナイフをどこで盗ったのかさえ全然覚えてないぐらいだし。でもまあ旅の途中で誰かから盗ったんでしょうね。城ではあんなナイフなんか見たことないもの」
「何もわからぬと、そういうことか……」
「役に立たないですねえ。本当に腹が立つ」
ルタは苛立ちを隠そうともしない。
「しかし、納得できぬことがある。カチュア殿がいうには、あのナイフは月明かりを受けると悪霊を召喚し、神官が触れることで闇の魔法が発動する仕組みであったそうだ。それなのに、どうしてアーシャが持っていても発動しなかったのだ」
「そんなの簡単な話よ」
アーシャはつまらなさそうに肩をすくめた。
「あたしはもともと神官じゃないもの。総本山のお札《ふだ》売り場で働いていただけだったのに、フレイズの幼馴染みだからフレイズを誘惑してこいって教団の偉い人たちに言われて、それで急きょ肩書きだけ神官になれたのよね。信仰心ってほとんどないから、ナイフはあたしには反応しなかったんじゃないかしら」
陛下が頭を抱えてしまった。ああ、サーニスラ教団よ、それでいいのか。
「それで今後はどうしますか。布教対決で負けたほうは城を出ていくのでしたよね。出ていってください、今すぐに」
ルタがアーシャに詰め寄る。
「そ、そんなのどちらも1票だったんだから引き分けだわ」
サーニスラ教はアーシャから1票、セラム教は陛下から1票という結果だ。
「自分で入れた票は無効でしょう」
ルタが冷たい声で言い放つ。
「ハルーティはどう思う。あれは引き分けだったか?」
陛下が私にふってきた。
「うーん」
個人的にはどちらの票も無効なんじゃないかという気がするなあ。
「ゼロ対ゼロの引き分けではないでしょうか」
アーシャがぱっと顔を輝かせた。
「じゃあ、あたしは城を出ていかなくてもいいわよね」
「ハルーティが引き分けだと言うのなら、我は構わぬ」
「ありがとうフレイズ! あたしって手癖が悪くて神殿を追い出される形でこの城に派遣されちゃったから、実はもう行くところがなかったの」
アーシャが抱きつくと、陛下は、「しょうがないやつだ」と、小さく笑った。
……むっ。
「布教対決については、それで構いませんが、まだ窃盗の罰をどうするかという話が残っています」
「ひい」
ルタは陛下からアーシャを強引に引きはがし、陰気に笑った。
「さて、どう償ってもらいましょうか」
「窃盗も一件や二件じゃないし、やっぱり追放したほうがいいんじゃないかなあ」
微笑みを浮かべたエミナがおっとりと言うと、ルタが頷いた。
「たしかに被害者の数が多すぎますね。これは見逃すのが難しい。城の多くの人たちがアーシャを許さないでしょう」
二人ともこの展開を狙って、これまでアーシャの犯行を見逃していたのだな。被害者の数を増やしたいってエミナも言っていたもんね。怖い……。
「じゃあ、永久追放ということで」
「そ、そんな……」
「ま、まあまあ。とりあえず盗品をみんなに返せよ、な?」
フーランディが割って入った。
「返して、謝って、みんなが許してくれたら、それでいいだろ。もしみんなの怒りがおさまらないなら、それはそのときにまた考えようぜ」
ルタが自分の前髪をくしゃくしゃにかきむしった。
「だから、フーランディアは本当に……。窃盗というのは厳しく処罰しなければならないんですよ」
「でもさあ……」
フーランディアも引き下がらない。
窃盗にふさわしい罰について二人の間で議論が始まってしまったので、私はそこで退室した。上司をいつまでも待たせたままでは悪い。
謁見の間を出て、少し歩いたところで、なんとなく立ち止まった。首にかけた革紐をたぐり、指輪を取り出す。金色の輝きを少し眺めてから、また服の下にしまった。
「ハルーティ、ちょっと待ってくれ」
フーランディアが追いかけてきていた。
「あれ、もう議論はいいんですか」
「ああ、どんなに話し合っても平行線だし。それより……」
言いよどむ。いつもはきはきしているフーランディアが珍しい。
「何ですか?」
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