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第1部 第78話
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エディの登場にアッシュを含め、多くの者が安堵の表情を見せた。
「話は、先に事務所に立ち寄って、そこで色々と聞いて来た」
険しい顔をしたエディが、アッシュの元へ所長と共に駆け寄る。
アッシュは、エディに抱えられた所長に目をやり、声を掛けた。
「所長、大丈夫ですか?」
アッシュの声に、弱々しいが所長が「あぁ、何とかな・・」と小さくだが返事を返した。
そんな所長の姿に、ウラスは言葉を失っている。
エディは、動揺しているウラスに対して、ここぞとばかりに言葉を投げかけていく。
「ウラスさん、驚いただろう。所長がここに戻って来た事が。王都への出張の先で行方不明にさせて、そのまま帰らぬ予定だったんだろう。残念だったな」
エディが口角を上げてフッと笑って見せる。
その仕草に、ウラスは酷く狼狽えだす。
「後、あなたの共犯の叔父のジムラルさん、死んでいたよ。切り捨てられたようだね。薬物の過剰摂取で精神崩壊の上、放置されていたらしい。あぁ、そうそう、役場のセフィさんもその部屋で見つかってね。今、騎士団預かりの元、病院に搬送されたよ。あなたの手駒はもう使えない状態だ」
エディの言葉に、ウラスは目を大きく見開いていた。
「それから、娼婦の女も殺されたようだ」
エディから出た「娼婦の女」という言葉に、ウラスは頭を捻り「娼婦とは誰だ?」と問い返しきたのだった。
その問いに、エディは薄く笑って、ウラスに娼婦の正体を教えてやることにした。
「あぁ、あなたには、准男爵の貴族籍を持つ女で名乗っていたのでしたっけ?」
エディがフフフと笑いながら、ウラスに優しく言葉を掛けた。
「「平民議員」だったというのに、あなたは何も知らないんですね?准男爵の爵位なんて、もうこのビスタには存在すらしないのに、あれは戦争時に功績を上げた平民へ贈る為に作られた爵位で、貴族と呼べるようなものでもないのにね。ましてや、今、戦争がないこの世に、准男爵の爵位なんてのは必要ないんですよ。あなたは、そんなことも知らないで、中央にいたんですか?」
エディは呆れた目で、ウラスを見やる。
「どこの誰だかわからないが、奴らは、お前のようなバカな「平民議員」を探していたんだろうね」
ウラスは、エディの言葉に何の言葉も返せないで、ただ、エディから放たれる言葉を聞くので精一杯のようで、目は左右に彷徨い、何かを必死に考えようとしている。
いや、早く考えて、この状況を回避しないと・・・
ウラスは、もう逃げ道もないというのに、まだ、諦めていないのか、何かを求めるように、ブツブツと呟き出した。
「父さん、もう、ダメだよ。認めるしかないんだよ!」
堪り兼ねて、ケーシーが諭すように言うが、ウラスは「煩い!煩い!黙れ!黙れ!い、今、何とかする!」と喚き出した。
「う、ウラス、もう、あき、らめろ・・」
所長も、ウラスに対して言葉を掛ける。
だが、ウラスは、所長の声を聞いて激高しだした。
「クソ―!わしは、お前らとは違うんだ!捕まるものか!」
そんなウラスの元へ、エディの指示で動いた部下により、この場へ駆け付けるように動かされた駐屯騎士の者に、ウラスは拘束されたのだった。
「離せ!わしが何をしたんだ!貴様ら、わしを誰だと思っているんだ!」
拘束されても尚ウラスは罪を認めず、駐屯騎士の者へも悪態をついている。
しかし、拘束された状態で、いつまでも抵抗出来る訳もなく、ウラスは駐屯騎士の手により連れ立たされて行った。
ウラスが去った役場前は急に静かになった。
残された者は暫し言葉もなく佇んでいる。
そんな中動いたのは、アッシュのライバルのケーシーだった。
「もう、こうなっては選挙どころではないな。俺は、辞退するしかない。謝って済むことじゃないが、親父が・・・そのう、すまん」
そう言って、ケーシーはアッシュに深く頭を下げた。
しかし、アッシュは、ケーシーの言葉に首を横に振り、悲し気な視線をケーシーへ向けた。
「いや、お前のせいではないだろう・・」
苦い顔をし、目元には涙も溜まりながらも、ケーシーは決して下を向かずに、アッシュの顔をじっと見つめる。
アッシュは、ケーシーの姿を見ながら、彼のこれまでの行動を思い起こす。
彼自身は、この選挙中も実直に活動してきていた。
自分に課せられた役目を熟そうと、彼なりにこれまで頑張ってきていた。
そんなケーシーの行動に反して、周りが罪を犯していったのだ。
アッシュは、そんなケーシーが憐れに思えてならなかった。
生まれた家によって、定められた役割、それに添う為に、ケーシーなりに努力をしていた。
それが、よりに寄って家族により奪われるなど、掛ける言葉がない。
「アッシュ、今更、戯言かと言われるかもしれないが、俺は、父さんみたいな「平民議員」にはなるつもりはなかった。俺なりに、一から「平民議員」を築いていくつもりだったんだ」
ケーシーは、悔し気な顔をしながら、アッシュに言った。
そのケーシーの言葉を聞いたアッシュもまた、悔しい顔を見せていた。
「あぁ、信じるよ。お前の言葉を信じるさ」
ケーシーの言葉は本心だろう。アッシュは、そう思い、ケーシーに向けて大きく頷いてみせた。
「私は、お前の思いも継いで、このトウの町の代表として頑張っていくよ」
アッシュは、この日、最終の投票結果を待たずに、トウの町から選出された「平民議員」となった。
空は、青く晴れ渡り、良く聞けば小鳥のさえずりもしている。
とても清々しい日。
何だかよくわからない状況から始まったアッシュの選挙活動、今日まで良く頑張った。
自分を褒めてやりたい!
アッシュはそんなこと思いながら、周囲を見渡す。
カルロがニヤリと笑い、ロビンは声を出して泣いている。
ラドは、いつもの美しい顔にフンと鼻を鳴らしてから、口角の端をぺろりと舐めた。
そして、エディが「私の言った通りの結果になっただろ?」と爽やかに微笑んでいた。
アッシュはそれぞれに向けて、感謝を述べていると、背後から声がした。
「兄さーん!おめでとう!」
甥のフェイを抱いた妹メイが駆けつけて来た。
そんなメイたちの傍には、父や母、祖母の姿まである。
メイは嬉しさのあまり、フェイを抱えたままアッシュへも抱き着いてきたので、アッシュは転びそうになった。
そこへ、涙で顔がぐしゃぐしゃになっているロビンが手を差し伸べる為に動いてくれたことで、何とか転ばずに済んだ。
「お前、気を付けろよ!」
アッシュに指摘されて、メイは「ごめん」と謝るが、またすぐに「兄さん、おめでとう!」と笑顔を見せながら伝えたのだった。
「あぁ」
アッシュは苦い顔をしながらも、少し照れくさそうにそう応えた。
「とにかく、終わったね!」
ヤッター!とはしゃぐメイとロビン。
母と祖母は泣いている。
そんな家族の姿に、アッシュは苦しかったこの選挙での日々も良い想い出となったなと思いながら、周りを見ている
アッシュが一人、想い出に浸りながら喜びをも噛みしめている所へ、父ウォルトがアッシュの元に駆け寄ってきた。
「アッシュ、おめでとう。これで父さんも肩の荷が下りたよ。これからは、父さんも、仕事ばかりでなく自由に生きていくよ」
ウォルトの言葉に、アッシュは一瞬固まり、それから目を大きく見開いた。
折角、人が勝利したことを喜んでいる最中だというのに!
「はァ?」
何て?いった?このクソ親父!
「ちょっと待て!今、何て言った?だいたいだな。クソ親父のせいで、この私はだな・・・」
ウォルトのまたまたしょうもない宣言を聞いたアッシュは怒りだす!
「いい加減にしろ!お前に自由なんかあるかっ!仕事しろ!」
アッシュの怒鳴り声を聞いた皆が、「平民議員」になってもアッシュは変わらないなぁと、どこか安堵したのはいうまでもなかった。
だけど、アッシュ、本当に良かったね、おめでとう!
父に向けて、小言を言うアッシュの姿を見ながら、そう、皆がお祝いの言葉を述べたのでした。
「話は、先に事務所に立ち寄って、そこで色々と聞いて来た」
険しい顔をしたエディが、アッシュの元へ所長と共に駆け寄る。
アッシュは、エディに抱えられた所長に目をやり、声を掛けた。
「所長、大丈夫ですか?」
アッシュの声に、弱々しいが所長が「あぁ、何とかな・・」と小さくだが返事を返した。
そんな所長の姿に、ウラスは言葉を失っている。
エディは、動揺しているウラスに対して、ここぞとばかりに言葉を投げかけていく。
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エディの言葉に、ウラスは目を大きく見開いていた。
「それから、娼婦の女も殺されたようだ」
エディから出た「娼婦の女」という言葉に、ウラスは頭を捻り「娼婦とは誰だ?」と問い返しきたのだった。
その問いに、エディは薄く笑って、ウラスに娼婦の正体を教えてやることにした。
「あぁ、あなたには、准男爵の貴族籍を持つ女で名乗っていたのでしたっけ?」
エディがフフフと笑いながら、ウラスに優しく言葉を掛けた。
「「平民議員」だったというのに、あなたは何も知らないんですね?准男爵の爵位なんて、もうこのビスタには存在すらしないのに、あれは戦争時に功績を上げた平民へ贈る為に作られた爵位で、貴族と呼べるようなものでもないのにね。ましてや、今、戦争がないこの世に、准男爵の爵位なんてのは必要ないんですよ。あなたは、そんなことも知らないで、中央にいたんですか?」
エディは呆れた目で、ウラスを見やる。
「どこの誰だかわからないが、奴らは、お前のようなバカな「平民議員」を探していたんだろうね」
ウラスは、エディの言葉に何の言葉も返せないで、ただ、エディから放たれる言葉を聞くので精一杯のようで、目は左右に彷徨い、何かを必死に考えようとしている。
いや、早く考えて、この状況を回避しないと・・・
ウラスは、もう逃げ道もないというのに、まだ、諦めていないのか、何かを求めるように、ブツブツと呟き出した。
「父さん、もう、ダメだよ。認めるしかないんだよ!」
堪り兼ねて、ケーシーが諭すように言うが、ウラスは「煩い!煩い!黙れ!黙れ!い、今、何とかする!」と喚き出した。
「う、ウラス、もう、あき、らめろ・・」
所長も、ウラスに対して言葉を掛ける。
だが、ウラスは、所長の声を聞いて激高しだした。
「クソ―!わしは、お前らとは違うんだ!捕まるものか!」
そんなウラスの元へ、エディの指示で動いた部下により、この場へ駆け付けるように動かされた駐屯騎士の者に、ウラスは拘束されたのだった。
「離せ!わしが何をしたんだ!貴様ら、わしを誰だと思っているんだ!」
拘束されても尚ウラスは罪を認めず、駐屯騎士の者へも悪態をついている。
しかし、拘束された状態で、いつまでも抵抗出来る訳もなく、ウラスは駐屯騎士の手により連れ立たされて行った。
ウラスが去った役場前は急に静かになった。
残された者は暫し言葉もなく佇んでいる。
そんな中動いたのは、アッシュのライバルのケーシーだった。
「もう、こうなっては選挙どころではないな。俺は、辞退するしかない。謝って済むことじゃないが、親父が・・・そのう、すまん」
そう言って、ケーシーはアッシュに深く頭を下げた。
しかし、アッシュは、ケーシーの言葉に首を横に振り、悲し気な視線をケーシーへ向けた。
「いや、お前のせいではないだろう・・」
苦い顔をし、目元には涙も溜まりながらも、ケーシーは決して下を向かずに、アッシュの顔をじっと見つめる。
アッシュは、ケーシーの姿を見ながら、彼のこれまでの行動を思い起こす。
彼自身は、この選挙中も実直に活動してきていた。
自分に課せられた役目を熟そうと、彼なりにこれまで頑張ってきていた。
そんなケーシーの行動に反して、周りが罪を犯していったのだ。
アッシュは、そんなケーシーが憐れに思えてならなかった。
生まれた家によって、定められた役割、それに添う為に、ケーシーなりに努力をしていた。
それが、よりに寄って家族により奪われるなど、掛ける言葉がない。
「アッシュ、今更、戯言かと言われるかもしれないが、俺は、父さんみたいな「平民議員」にはなるつもりはなかった。俺なりに、一から「平民議員」を築いていくつもりだったんだ」
ケーシーは、悔し気な顔をしながら、アッシュに言った。
そのケーシーの言葉を聞いたアッシュもまた、悔しい顔を見せていた。
「あぁ、信じるよ。お前の言葉を信じるさ」
ケーシーの言葉は本心だろう。アッシュは、そう思い、ケーシーに向けて大きく頷いてみせた。
「私は、お前の思いも継いで、このトウの町の代表として頑張っていくよ」
アッシュは、この日、最終の投票結果を待たずに、トウの町から選出された「平民議員」となった。
空は、青く晴れ渡り、良く聞けば小鳥のさえずりもしている。
とても清々しい日。
何だかよくわからない状況から始まったアッシュの選挙活動、今日まで良く頑張った。
自分を褒めてやりたい!
アッシュはそんなこと思いながら、周囲を見渡す。
カルロがニヤリと笑い、ロビンは声を出して泣いている。
ラドは、いつもの美しい顔にフンと鼻を鳴らしてから、口角の端をぺろりと舐めた。
そして、エディが「私の言った通りの結果になっただろ?」と爽やかに微笑んでいた。
アッシュはそれぞれに向けて、感謝を述べていると、背後から声がした。
「兄さーん!おめでとう!」
甥のフェイを抱いた妹メイが駆けつけて来た。
そんなメイたちの傍には、父や母、祖母の姿まである。
メイは嬉しさのあまり、フェイを抱えたままアッシュへも抱き着いてきたので、アッシュは転びそうになった。
そこへ、涙で顔がぐしゃぐしゃになっているロビンが手を差し伸べる為に動いてくれたことで、何とか転ばずに済んだ。
「お前、気を付けろよ!」
アッシュに指摘されて、メイは「ごめん」と謝るが、またすぐに「兄さん、おめでとう!」と笑顔を見せながら伝えたのだった。
「あぁ」
アッシュは苦い顔をしながらも、少し照れくさそうにそう応えた。
「とにかく、終わったね!」
ヤッター!とはしゃぐメイとロビン。
母と祖母は泣いている。
そんな家族の姿に、アッシュは苦しかったこの選挙での日々も良い想い出となったなと思いながら、周りを見ている
アッシュが一人、想い出に浸りながら喜びをも噛みしめている所へ、父ウォルトがアッシュの元に駆け寄ってきた。
「アッシュ、おめでとう。これで父さんも肩の荷が下りたよ。これからは、父さんも、仕事ばかりでなく自由に生きていくよ」
ウォルトの言葉に、アッシュは一瞬固まり、それから目を大きく見開いた。
折角、人が勝利したことを喜んでいる最中だというのに!
「はァ?」
何て?いった?このクソ親父!
「ちょっと待て!今、何て言った?だいたいだな。クソ親父のせいで、この私はだな・・・」
ウォルトのまたまたしょうもない宣言を聞いたアッシュは怒りだす!
「いい加減にしろ!お前に自由なんかあるかっ!仕事しろ!」
アッシュの怒鳴り声を聞いた皆が、「平民議員」になってもアッシュは変わらないなぁと、どこか安堵したのはいうまでもなかった。
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