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番外編 後日譚
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ばたばたと先を争って、砦の中へ駆け込んでいく。
「馬鹿者、何たる態か!」
「逃げるな! 戦え!」
上官から叱責が飛ぶが。
農民などから召集されたこれら歩兵たちに、炎に包まれてのた打つ仲間の姿は斬り死にに勝る恐怖を与えたようだ。
一人が逃げ腰になるともう抑えが効かず、我先にと重なり合いそうなばかりの勢いで屋内に逃げ込んでいくのだ、
建物の入り口庇の下に、先刻まで外で指揮を執っていた中隊長と取り巻き数名だけが残り、必死の形相で剣を構えるのみになっていた。
その目の前、十ガターほど手前まで、小軍は歩み寄った。
「止まれ」とこちらで小隊長が指示を出し、百名ほどの歩みが止まる。
火の攻撃に備えてだろう。対する中隊長たちは両腕で顔の前を覆った。
そこへ、少女の声がかけられた。
「あなたたち、頭上注意しなさい」
「え?」
一瞬虚を衝かれた顔で、中隊長たちの視線が揺れる。
次の瞬間、ガラ、と異様な音がした。
「な――」
「わああ!」
異変に気づき、慌てて敵兵たちは横へ飛び退いた。
ガラガラガラ、と直前まで彼らの立っていた地面に衝突音が響いた。すぐ頭上の石の庇が、崩れ落ちてきたのだ。
一つずつは数百ミターほどの大きさだが、脳天に食らえば命を落とすことになりそうだ。
ひええ、と中隊長を始め数名が、腰を抜かしている。
こちらの小隊長エテュアンが、鋭く声をかけた。
「動くなよ。次は予告なしに落とす」
「は、は――」
もうすっかり、戦意を喪失したらしい。
確かめて、エテュアンは建物の上方を仰いだ。
この位置からは見えにくいが、真上付近の見張り台におそらくここの司令官がいるはずだ。
一息吸って、エテュアンは大声で呼ばわった。
「砦内にいる者に告ぐ! 今この庇を破壊したのは、警告である! 今すぐ武器を捨て投降して、入口前の広間に集まれ! 十数えるまでに司令官が投降せねば、この建物すべてを破壊する!」
「な、な――」
「何を戯れ言を! 敵は少数だ、全軍出て迎え撃て!」
中隊長はただ、腰を抜かしている。
対照的に勇ましい司令官らしき声が聞こえたのは、三階に当たる見張り台と思しき窓からのようだ。
数歩下がって、エテュアンはその窓を見上げた。
すぐ隣の荷車に乗る、鎧姿の令嬢と頷きを交わす。
「武器を持って兵たちが動くなら、直ちに破壊するぞ! 石造り建築の下敷きになって、全員助からないであろう! もう一度だけ警告を与えてやろうか!」
「何を――」
声とともに、窓の内側に人の姿が動く。
次の瞬間、その見張り台窓の上枠がガラガラと崩れ落ちた。
「わあ!」
「納得したか? 次には建物すべてが同様に崩れることになる。何処かに隠れても、すべてを破壊したら命は助からぬぞ! くり返す。十数えるまでに、司令官を先頭に投降せよ! 一、二、三――」
「わ――分かった、待て――すぐ降りる」
「馬鹿者、何たる態か!」
「逃げるな! 戦え!」
上官から叱責が飛ぶが。
農民などから召集されたこれら歩兵たちに、炎に包まれてのた打つ仲間の姿は斬り死にに勝る恐怖を与えたようだ。
一人が逃げ腰になるともう抑えが効かず、我先にと重なり合いそうなばかりの勢いで屋内に逃げ込んでいくのだ、
建物の入り口庇の下に、先刻まで外で指揮を執っていた中隊長と取り巻き数名だけが残り、必死の形相で剣を構えるのみになっていた。
その目の前、十ガターほど手前まで、小軍は歩み寄った。
「止まれ」とこちらで小隊長が指示を出し、百名ほどの歩みが止まる。
火の攻撃に備えてだろう。対する中隊長たちは両腕で顔の前を覆った。
そこへ、少女の声がかけられた。
「あなたたち、頭上注意しなさい」
「え?」
一瞬虚を衝かれた顔で、中隊長たちの視線が揺れる。
次の瞬間、ガラ、と異様な音がした。
「な――」
「わああ!」
異変に気づき、慌てて敵兵たちは横へ飛び退いた。
ガラガラガラ、と直前まで彼らの立っていた地面に衝突音が響いた。すぐ頭上の石の庇が、崩れ落ちてきたのだ。
一つずつは数百ミターほどの大きさだが、脳天に食らえば命を落とすことになりそうだ。
ひええ、と中隊長を始め数名が、腰を抜かしている。
こちらの小隊長エテュアンが、鋭く声をかけた。
「動くなよ。次は予告なしに落とす」
「は、は――」
もうすっかり、戦意を喪失したらしい。
確かめて、エテュアンは建物の上方を仰いだ。
この位置からは見えにくいが、真上付近の見張り台におそらくここの司令官がいるはずだ。
一息吸って、エテュアンは大声で呼ばわった。
「砦内にいる者に告ぐ! 今この庇を破壊したのは、警告である! 今すぐ武器を捨て投降して、入口前の広間に集まれ! 十数えるまでに司令官が投降せねば、この建物すべてを破壊する!」
「な、な――」
「何を戯れ言を! 敵は少数だ、全軍出て迎え撃て!」
中隊長はただ、腰を抜かしている。
対照的に勇ましい司令官らしき声が聞こえたのは、三階に当たる見張り台と思しき窓からのようだ。
数歩下がって、エテュアンはその窓を見上げた。
すぐ隣の荷車に乗る、鎧姿の令嬢と頷きを交わす。
「武器を持って兵たちが動くなら、直ちに破壊するぞ! 石造り建築の下敷きになって、全員助からないであろう! もう一度だけ警告を与えてやろうか!」
「何を――」
声とともに、窓の内側に人の姿が動く。
次の瞬間、その見張り台窓の上枠がガラガラと崩れ落ちた。
「わあ!」
「納得したか? 次には建物すべてが同様に崩れることになる。何処かに隠れても、すべてを破壊したら命は助からぬぞ! くり返す。十数えるまでに、司令官を先頭に投降せよ! 一、二、三――」
「わ――分かった、待て――すぐ降りる」
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