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――さて、どうするか。
現在地は、おそらく人の足が踏み込まない森の奥地。
森を出るのにどちらを目指せばいいのかも、分からない。
地図はない。
方位磁石もない。
道を尋ねる相手もいない。
ついさっきまで曲がりなりにも、一方通行だったりしながらも、会話の相手がいたんだけど。現状、そんなものの求めようもない。
――本当に、完全無欠の、「おひとり様」になっちまったぜよ。
これまでもさまざま考えてきたように。何もなければ、あたしに必要なものはない。
特に生きているっていう実感もないんだし、このままじっとしていようがふらふら歩き回ろうが、飢えることも朽ちることもないみたいだ。
人に会える当てもない森の中だろうが、何不自由もない。
ずっと気ままにジャングルブックごっこをしていたって、誰からも文句のつけられようもない。
――颯人の件さえ、なかったらね。
ただ一つこの懸案のため、あたしはできるだけ早急にこの国の王都を目指す必要がある。
それなのに、現在地から王都を目指す径路が、まったく分からないんだ。
せいぜい見当をつければ。
ここはまだ、今までいたハインケス大森林、通称中ツ森の中のはずだ。エトヴィンたちと歩いていた範囲からは、かなり南下した位置と思われる。
聞いた知識で、この世界の東西南北、および日周の動きは、元の地球と同様とのこと。
なので、今の時刻およそ15時と太陽の方向から、だいたいの南の向きは分かる。
また、王都の位置は大森林から見て北西だという。
森林から西方向に出れば、そのまま北に向かう街道沿いに王都に至る。
東に出れば、大きく森林の北か南側を迂回しなければならない。
さっきまでいた位置は、エトヴィンの自領と薬草群生地の位置関係から、南北で見ると森林の中央よりやや北側、東西で見るとかなり東側になっていたはずだ。
今は、それよりかなり南に来ている。まったく正確には分からないけど、あの鷲魔獣の飛行速度からして軽く数十キロからへたをすると百キロ超、森林の中央より南側に来ているんじゃないか。東西については、完全に不明。
ということを考慮すると、王都を目指す上で最もまちがいなくかつ最速そうなのは、西向きに森を出る方向と思われる。
問題は、やっぱり――
――地図がないこと、なんだよなあ。
西へ向かって、どんな障害があるのかないのか、まったく分からないんだ。
まあこの身体、生身の人間にとっての障害はほとんど問題にならない。
毒草や毒虫の類いは、まず無視できる。
獣や魔獣に出遭っても、じっとしていれば相手にもされないだろう。少なくとも、餌認定される心配はない。
川は急流でなければ水中走行で横断できるだろうし、峡谷は断崖絶壁でないルートを探せば上り下りできる。
聞いた限りで、高山は森の北東方向にしかないらしいから、ある程度平地に近い箇所を辿れるはずだ。
問題は、このキャタピラで走行できない箇所に填まってしまうことか。
底なし沼とかアリジゴクの巣とか、そんなところに填まったらどうなるのか、検証はしていない。してみたいとも思わない。
とにかくそういう場所に近寄らないように気をつける、一手だろう。
――そういう見込みで、行くしかないか。
とにもかくにもあたしは、颯人かもしれない少年と会うと決めたんだ。
王都を目指すんだ。
何が待ち受けるかしれない、この森を半横断する。
そう心の中に再確認して、推定西の方向を見やる。
それこそ北東と思われる方向、木々越しの遥か遠くに山並みは見えるけれど。それ以外は森の緑以外何も見通せない。
それでも木立の間を抜けて、進むしかない。
ジメジメしていそうな草の地面を踏みしめて、あたしは前進を開始する。
現在地は、おそらく人の足が踏み込まない森の奥地。
森を出るのにどちらを目指せばいいのかも、分からない。
地図はない。
方位磁石もない。
道を尋ねる相手もいない。
ついさっきまで曲がりなりにも、一方通行だったりしながらも、会話の相手がいたんだけど。現状、そんなものの求めようもない。
――本当に、完全無欠の、「おひとり様」になっちまったぜよ。
これまでもさまざま考えてきたように。何もなければ、あたしに必要なものはない。
特に生きているっていう実感もないんだし、このままじっとしていようがふらふら歩き回ろうが、飢えることも朽ちることもないみたいだ。
人に会える当てもない森の中だろうが、何不自由もない。
ずっと気ままにジャングルブックごっこをしていたって、誰からも文句のつけられようもない。
――颯人の件さえ、なかったらね。
ただ一つこの懸案のため、あたしはできるだけ早急にこの国の王都を目指す必要がある。
それなのに、現在地から王都を目指す径路が、まったく分からないんだ。
せいぜい見当をつければ。
ここはまだ、今までいたハインケス大森林、通称中ツ森の中のはずだ。エトヴィンたちと歩いていた範囲からは、かなり南下した位置と思われる。
聞いた知識で、この世界の東西南北、および日周の動きは、元の地球と同様とのこと。
なので、今の時刻およそ15時と太陽の方向から、だいたいの南の向きは分かる。
また、王都の位置は大森林から見て北西だという。
森林から西方向に出れば、そのまま北に向かう街道沿いに王都に至る。
東に出れば、大きく森林の北か南側を迂回しなければならない。
さっきまでいた位置は、エトヴィンの自領と薬草群生地の位置関係から、南北で見ると森林の中央よりやや北側、東西で見るとかなり東側になっていたはずだ。
今は、それよりかなり南に来ている。まったく正確には分からないけど、あの鷲魔獣の飛行速度からして軽く数十キロからへたをすると百キロ超、森林の中央より南側に来ているんじゃないか。東西については、完全に不明。
ということを考慮すると、王都を目指す上で最もまちがいなくかつ最速そうなのは、西向きに森を出る方向と思われる。
問題は、やっぱり――
――地図がないこと、なんだよなあ。
西へ向かって、どんな障害があるのかないのか、まったく分からないんだ。
まあこの身体、生身の人間にとっての障害はほとんど問題にならない。
毒草や毒虫の類いは、まず無視できる。
獣や魔獣に出遭っても、じっとしていれば相手にもされないだろう。少なくとも、餌認定される心配はない。
川は急流でなければ水中走行で横断できるだろうし、峡谷は断崖絶壁でないルートを探せば上り下りできる。
聞いた限りで、高山は森の北東方向にしかないらしいから、ある程度平地に近い箇所を辿れるはずだ。
問題は、このキャタピラで走行できない箇所に填まってしまうことか。
底なし沼とかアリジゴクの巣とか、そんなところに填まったらどうなるのか、検証はしていない。してみたいとも思わない。
とにかくそういう場所に近寄らないように気をつける、一手だろう。
――そういう見込みで、行くしかないか。
とにもかくにもあたしは、颯人かもしれない少年と会うと決めたんだ。
王都を目指すんだ。
何が待ち受けるかしれない、この森を半横断する。
そう心の中に再確認して、推定西の方向を見やる。
それこそ北東と思われる方向、木々越しの遥か遠くに山並みは見えるけれど。それ以外は森の緑以外何も見通せない。
それでも木立の間を抜けて、進むしかない。
ジメジメしていそうな草の地面を踏みしめて、あたしは前進を開始する。
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