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45 殺戮した 1
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走る速度は、敵わないか。
少し草が途絶え土が露出した場所に出て、あたしは決断した。
――忍法、土遁の術。
何処かの受け売りみたいな名称だけど、勘弁願いたい。
土魔法で、自分直下の地面に縦横50センチ、深さ20センチほどの穴を開ける。あたしのこの車体だと、それですっぽり収まってしまう。すぐ真上から土を被せ直すと、まったく姿は見えなくなるはずだ。
以前から方法は考えていたものの、実行するのは初めてだった。人間の身体だと無理だけど、呼吸の必要がないあたしにはこんなことができてしまう。
何も見えず聞こえなくなるけれど、何となく真上辺りを地響きみたいなのが通り過ぎたようだ。
少し間を置いて、柔らかめにしておいた頭上の土を貫いて潜望鏡を突き出した。
数メートル先に、緑色の後ろ姿が五つ、右往左往している。さっきまでの速度関係で、見失ったのが納得いかないんだろう。
手分けして探すことにしたのかやや広がり、辺りを探し回り、やがてまた集結してくる。
――さて、どうするか。
少し落ち着いて、あたしは熟考に沈んだ。
いや元日本人の癖というか、ほぼ一択で非戦闘の方針を選んだわけだけどさ。相手は二本足とはいえ、人間じゃない、森の中の魔獣と同様、征伐する選択もあるわけだ。
さっきあのゴブリン五人衆は、人間三人衆を追いかけていた。
人間の逃げていった方向には、村とかがあるのかもしれない。
これはラノベなんかの知識だけれど。もしゴブリンが大きな集落を形成していて、狩りなどに出た少数が人間を獲物として見つけた場合、集落に戻って報告、数を増やして人間の村を襲うことになるかもしれない。さっきの『鑑定』結果もその想像を補填する。
あたしにとっては人間もゴブリンも、他人と言っちゃ他人なんだけどさ。やっぱりどちらを味方するかということになったら、人間だろう。
利己的な目的としても、人間は生きていてくれれば情報を得ることができるかもしれないしね。
この五人衆をゴブリン集落に帰還させて、人間の村が襲われることになったら、寝覚めが悪いことになりそうだ。
――やって、みるか。
頭の上の土を消し。脇の土壁は斜めにしておけば、キャタピラで登ることができる。
穴を埋め戻し、なるべく草に隠れるようにしてゴブリンたちに近づく。
何か相談をしている様子の五匹は、まだこちらに気がつかない。
全速で、その足元に近づく。
ようやくこちらに気がつき、振り向くけれど。
足元を、通り過ぎざま。
――風魔法、『風刃』!
一閃(光らないけど)、人間で言うアキレス腱を切断。
ギャ、と一匹が屈み込む。
全員が戸惑う間にその足元を駆け回り、次々と腱を切断していった。
五匹の片足を使えなくして、続けて残る足の腱も斬っていく。
これで逃げも抵抗もできないだろうし、それぞれ屈み込んで頭部が低くなっている。五十センチ程度の高さなら届く、ということでその首目がけて風刃を振るった。
首筋から緑色の血を噴き出し、やがて五匹ともに動かなくなっていた。
あまり身近に経験したことのない、酸鼻極まる光景。嗅覚のないことが、ありがたく思える。
――長居は、無用。
急いでその場を離れ、あたしは街道に戻った。
どの程度人間のためになったかは、分からないけど。こいつらが集落に報告してすぐに村が襲われる、という緊急事態程度は防げただろう。
そのまま、北方向への旅に戻る。
元通り、人も獣も見えない長閑な風景が続く。
前進、ただ前進。
――と、続けたのだけれど。
――さて、困った。
少し草が途絶え土が露出した場所に出て、あたしは決断した。
――忍法、土遁の術。
何処かの受け売りみたいな名称だけど、勘弁願いたい。
土魔法で、自分直下の地面に縦横50センチ、深さ20センチほどの穴を開ける。あたしのこの車体だと、それですっぽり収まってしまう。すぐ真上から土を被せ直すと、まったく姿は見えなくなるはずだ。
以前から方法は考えていたものの、実行するのは初めてだった。人間の身体だと無理だけど、呼吸の必要がないあたしにはこんなことができてしまう。
何も見えず聞こえなくなるけれど、何となく真上辺りを地響きみたいなのが通り過ぎたようだ。
少し間を置いて、柔らかめにしておいた頭上の土を貫いて潜望鏡を突き出した。
数メートル先に、緑色の後ろ姿が五つ、右往左往している。さっきまでの速度関係で、見失ったのが納得いかないんだろう。
手分けして探すことにしたのかやや広がり、辺りを探し回り、やがてまた集結してくる。
――さて、どうするか。
少し落ち着いて、あたしは熟考に沈んだ。
いや元日本人の癖というか、ほぼ一択で非戦闘の方針を選んだわけだけどさ。相手は二本足とはいえ、人間じゃない、森の中の魔獣と同様、征伐する選択もあるわけだ。
さっきあのゴブリン五人衆は、人間三人衆を追いかけていた。
人間の逃げていった方向には、村とかがあるのかもしれない。
これはラノベなんかの知識だけれど。もしゴブリンが大きな集落を形成していて、狩りなどに出た少数が人間を獲物として見つけた場合、集落に戻って報告、数を増やして人間の村を襲うことになるかもしれない。さっきの『鑑定』結果もその想像を補填する。
あたしにとっては人間もゴブリンも、他人と言っちゃ他人なんだけどさ。やっぱりどちらを味方するかということになったら、人間だろう。
利己的な目的としても、人間は生きていてくれれば情報を得ることができるかもしれないしね。
この五人衆をゴブリン集落に帰還させて、人間の村が襲われることになったら、寝覚めが悪いことになりそうだ。
――やって、みるか。
頭の上の土を消し。脇の土壁は斜めにしておけば、キャタピラで登ることができる。
穴を埋め戻し、なるべく草に隠れるようにしてゴブリンたちに近づく。
何か相談をしている様子の五匹は、まだこちらに気がつかない。
全速で、その足元に近づく。
ようやくこちらに気がつき、振り向くけれど。
足元を、通り過ぎざま。
――風魔法、『風刃』!
一閃(光らないけど)、人間で言うアキレス腱を切断。
ギャ、と一匹が屈み込む。
全員が戸惑う間にその足元を駆け回り、次々と腱を切断していった。
五匹の片足を使えなくして、続けて残る足の腱も斬っていく。
これで逃げも抵抗もできないだろうし、それぞれ屈み込んで頭部が低くなっている。五十センチ程度の高さなら届く、ということでその首目がけて風刃を振るった。
首筋から緑色の血を噴き出し、やがて五匹ともに動かなくなっていた。
あまり身近に経験したことのない、酸鼻極まる光景。嗅覚のないことが、ありがたく思える。
――長居は、無用。
急いでその場を離れ、あたしは街道に戻った。
どの程度人間のためになったかは、分からないけど。こいつらが集落に報告してすぐに村が襲われる、という緊急事態程度は防げただろう。
そのまま、北方向への旅に戻る。
元通り、人も獣も見えない長閑な風景が続く。
前進、ただ前進。
――と、続けたのだけれど。
――さて、困った。
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