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71 絶叫された 1
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いつも通り、夜中に出立。
街道をひた走るうち陽が昇り、少しずつ通行人が増えてきた。大きな町でも近いのか、旅人の往き来が盛んなようだ。
途中、脇の草叢に潜りながら、立ち止まって交わす人の会話を聞くことができた。それによると、もう少し先の分かれ道を左折すると間もなくキュンツェル伯爵領の領都に入るらしい。
以前のエトヴィンからの説明で、この領都から王都まで徒歩で五日程度ということだった。そうだとすると、ほぼ目算通り進行できていることになるか。
あと五日。
以前の話の通りだと、病気の少年を救うことができる期限はあと半月程度ということになるはずだ。
エトヴィンが二日前に到着して、薬草が間に合っていればいいのだけど。もしこれまでのような信じがたい障害が起きてそれが失われてしまったとしたら、残された道はあたしが王宮に入ることしかないはずだ。
何となく、そのまずあり得ないはずの信じがたい障害、そんな事態が生じていても驚くに値しない、ここのところの成り行きになっている。
とにかくも、急がなくては。
街道に人通りが増えて、ほぼずっと脇の草の中を進まなくちゃならないことに苛つきながら、それでも前へと進む。
領都に至るらしい分かれ道を過ぎ、さらに北へと。
さらに半日程度が過ぎ、陽が暮れきった後、森に入った。
いつもの頃合いに、夢会話を試みる。けれどこの日、エトヴィンに通じることはなかった。
――いったい、どうした?
彼らが王都に間に合って着いたか、是が非でも知りたい思いなのだけど。
確かに、前回から五日後なのはまちがいないはずなのに。
考えられるのは。
この「夢会話」の能力に変化が生じたか。
この時間、エトヴィンがまだ就寝していないか。
二つに一つ、という気がする。
後者なら、もう少し待って再度試みればいいのかもしれないけど。
何だか、考えにくい。もうすっかり夜は更けて、エトヴィンはいつも寝入っているはずの時刻なんだよね。
この世界、夜更かしをするだけの照明の自由がないので、まず就寝時刻を変えることはないはずなんだ。
一方、前者だとしたら。
対処のすべに、見当がつかない。
そもそもこんな信じがたい遠距離通信の能力、何処から生まれているのかさえ知りようがないんだ。
とりあえず後者であることを祈りつつ、ただ木陰で充電に励む。
やがて、充電完了。
夜中の0時まで少し間があり、いつもなら時間をとって魔法の練習などをしているところだ。
そんな闇の中で、もう一度通信を試みる。
ありがたいことに、今度は通じた!
『エトヴィンさん?』
『ああ、ハル殿。ご無事でしたか。もしかして早い時間に連絡くれましたか? 今夜は夜更かししていたので、失礼しました』
『そうなのか。王都には到着した?』
『はい、お陰様で、と言いますか』
『では、王子殿下に、薬を――』
『それが、果たせていないのです』
『え、何故?』
『また、信じがたい事態が重ねておきまして。何とも、悪夢を見ている思いです』
『何とも』
『公にできない事態続きなのですが、ハル殿には聞いていただきたい。この鬱憤、誰かにぶつけたいと言いますか』
『ああ、聞かせてくれ』
『最初は、四日前のことです。私とカルステンの他、王都から呼んだ護衛も加えて十人以上の集団で移動していたのですが。侯爵領から王領に入る境に流れる川の橋に差しかかったところで、黒毛狼の集団に襲われました』
『何と、街道でそんな危険があるのか』
『もう王都近く、人通りの多い街道で、まずあり得ないことなのですけどね。それでも十人以上の護衛をつけていましたので、大切な薬草を所持する私とカルステンを護る隊形で狼を征伐しました。しかしそれを離れて見ている間に、私は近くにいた護衛にいきなり突き飛ばされ、川に落ちてしまったのです』
『何だって?』
街道をひた走るうち陽が昇り、少しずつ通行人が増えてきた。大きな町でも近いのか、旅人の往き来が盛んなようだ。
途中、脇の草叢に潜りながら、立ち止まって交わす人の会話を聞くことができた。それによると、もう少し先の分かれ道を左折すると間もなくキュンツェル伯爵領の領都に入るらしい。
以前のエトヴィンからの説明で、この領都から王都まで徒歩で五日程度ということだった。そうだとすると、ほぼ目算通り進行できていることになるか。
あと五日。
以前の話の通りだと、病気の少年を救うことができる期限はあと半月程度ということになるはずだ。
エトヴィンが二日前に到着して、薬草が間に合っていればいいのだけど。もしこれまでのような信じがたい障害が起きてそれが失われてしまったとしたら、残された道はあたしが王宮に入ることしかないはずだ。
何となく、そのまずあり得ないはずの信じがたい障害、そんな事態が生じていても驚くに値しない、ここのところの成り行きになっている。
とにかくも、急がなくては。
街道に人通りが増えて、ほぼずっと脇の草の中を進まなくちゃならないことに苛つきながら、それでも前へと進む。
領都に至るらしい分かれ道を過ぎ、さらに北へと。
さらに半日程度が過ぎ、陽が暮れきった後、森に入った。
いつもの頃合いに、夢会話を試みる。けれどこの日、エトヴィンに通じることはなかった。
――いったい、どうした?
彼らが王都に間に合って着いたか、是が非でも知りたい思いなのだけど。
確かに、前回から五日後なのはまちがいないはずなのに。
考えられるのは。
この「夢会話」の能力に変化が生じたか。
この時間、エトヴィンがまだ就寝していないか。
二つに一つ、という気がする。
後者なら、もう少し待って再度試みればいいのかもしれないけど。
何だか、考えにくい。もうすっかり夜は更けて、エトヴィンはいつも寝入っているはずの時刻なんだよね。
この世界、夜更かしをするだけの照明の自由がないので、まず就寝時刻を変えることはないはずなんだ。
一方、前者だとしたら。
対処のすべに、見当がつかない。
そもそもこんな信じがたい遠距離通信の能力、何処から生まれているのかさえ知りようがないんだ。
とりあえず後者であることを祈りつつ、ただ木陰で充電に励む。
やがて、充電完了。
夜中の0時まで少し間があり、いつもなら時間をとって魔法の練習などをしているところだ。
そんな闇の中で、もう一度通信を試みる。
ありがたいことに、今度は通じた!
『エトヴィンさん?』
『ああ、ハル殿。ご無事でしたか。もしかして早い時間に連絡くれましたか? 今夜は夜更かししていたので、失礼しました』
『そうなのか。王都には到着した?』
『はい、お陰様で、と言いますか』
『では、王子殿下に、薬を――』
『それが、果たせていないのです』
『え、何故?』
『また、信じがたい事態が重ねておきまして。何とも、悪夢を見ている思いです』
『何とも』
『公にできない事態続きなのですが、ハル殿には聞いていただきたい。この鬱憤、誰かにぶつけたいと言いますか』
『ああ、聞かせてくれ』
『最初は、四日前のことです。私とカルステンの他、王都から呼んだ護衛も加えて十人以上の集団で移動していたのですが。侯爵領から王領に入る境に流れる川の橋に差しかかったところで、黒毛狼の集団に襲われました』
『何と、街道でそんな危険があるのか』
『もう王都近く、人通りの多い街道で、まずあり得ないことなのですけどね。それでも十人以上の護衛をつけていましたので、大切な薬草を所持する私とカルステンを護る隊形で狼を征伐しました。しかしそれを離れて見ている間に、私は近くにいた護衛にいきなり突き飛ばされ、川に落ちてしまったのです』
『何だって?』
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