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91 驚嘆した 1
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相手が目的の人物だと分かると、真っ先に確かめたいことがある。
王子相手に無礼極まりない話しかけになってるわけだけど、先方もあまり気にしていないようなので、思い切ることにしよう。
『王子殿下に失礼なことは承知しているのですが、申し訳ありません、一つお尋ねしてよろしいでしょうか』
『何だろう』
『〈チョーゴーキン〉という言葉に、覚えはありませんか』
『え?』
絶句。数呼吸分、沈黙が続く。
相手の姿形は見えないんだけど、目を丸くして硬直している、という感じだ。
そうして次に声が戻ってきたときには、こちらの方が驚嘆させられてしまった。
『もしかして、叔母ちゃん?』
『はあ?』それこそ目を瞠る感覚で、無防備な声を返してしまう。『何でこれだけで分かるの? つまりあんた、颯人でまちがいない?』
『うん、小鹿原颯人が転生した、オイレンベルク王国のテオバルト第三王子ということになる。そっち、悠姫叔母ちゃんが転生したんだね?』
『――うん――まあ――そうなんだけど――ここで颯人が生きていることが分かって喜ばしいって言うか、なんだけど――それにしても颯人、こっちを信用するの安直すぎない? チョーゴーキンの一言だけで結論出しちゃうなんて。もっといろいろ警戒しなくちゃならない立場なんでしょうに』
『チョーゴーキンっていう日本語の発音を口にする人、転生者だとしか考えられないからね』
『まあ、そうだね』
『それに、生前ってことになるんだろうけど元の世界で、同年代辺りでこの超合金っていう言葉を知っている人、まずいなかったんだ。若い世代には死語ってことになるんだろうね、すぐに反応するのは中年以上のほぼ男性だけって感じみたい』
『そうなんだ』
『だから僕の周辺でこの言葉を知っているのは、まず叔母ちゃんだけだったんだ。そして考えてみれば、僕があの交通事故で死んで転生したということなら、叔母ちゃんも同様ということはあり得るだろうし』
『なるほどねえ』
『それにしても僕も、叔母ちゃんが転生しているって知って、嬉しいよ。あの事故で助かったってわけじゃないだろうけど、とにかく生まれ変わって生きているってことだね』
『それなんだけどねえ。まあいろいろお互い確かめ合わなきゃいけないことがてんこ盛りだけど、真っ先に伝えなきゃいけないのはこれかな。あたし、転生したってことにはなるんだろうけど、生きているのかどうかってのは微妙でさ』
『どういうこと?』
『今のあたしの身体、あのときあんたが抱えていた超合金装甲車模型なんだ』
『――はああーー?』
颯人――と言うか、第三王子の声が、ひっくり返った。まあ、無理もないけどさ。
とにかくも、かいつまんで説明する。
今のあたしの外観は、あの模型そのものだ。ただし中身や材質も含めて、まったく同じというわけじゃないみたい。
自力で、走行できる。
潜望鏡とマジックハンドとレーザー砲を出し入れして使える。レーザーは撃てないけど。
装甲は、とにかく頑丈だ。何百メートルもの上空から落下して地面に衝突しても、傷一つ負わない。
潜望鏡でものを見、音声を聞きとれるけど、発声はできない。
その代わりにと言うか、今しているように睡眠中の人の夢の中に侵入してテレパシーのような会話ができる。
この世界にある魔素というものを充電のように取り入れて、動力にしているらしい。
ここの人間と同程度に、魔法が使える。
ひと月弱ほど前に突然上空遥かでこの世界に出現し、落下の際森の中でエトヴィンたちを襲っていた大王熊の頭を破壊して、彼らと知り合った。
その後の詳しい顛末は後に譲るけど、最低限知ってほしいのはこんなところだ。
一気に話すと、王子は呆然と声を失っていた。
そうしてから数往復分深呼吸、ようやく呻くみたいな声を漏らす。
『何とも凄いって言うか、理解を超えた話だね』
『だね』
王子相手に無礼極まりない話しかけになってるわけだけど、先方もあまり気にしていないようなので、思い切ることにしよう。
『王子殿下に失礼なことは承知しているのですが、申し訳ありません、一つお尋ねしてよろしいでしょうか』
『何だろう』
『〈チョーゴーキン〉という言葉に、覚えはありませんか』
『え?』
絶句。数呼吸分、沈黙が続く。
相手の姿形は見えないんだけど、目を丸くして硬直している、という感じだ。
そうして次に声が戻ってきたときには、こちらの方が驚嘆させられてしまった。
『もしかして、叔母ちゃん?』
『はあ?』それこそ目を瞠る感覚で、無防備な声を返してしまう。『何でこれだけで分かるの? つまりあんた、颯人でまちがいない?』
『うん、小鹿原颯人が転生した、オイレンベルク王国のテオバルト第三王子ということになる。そっち、悠姫叔母ちゃんが転生したんだね?』
『――うん――まあ――そうなんだけど――ここで颯人が生きていることが分かって喜ばしいって言うか、なんだけど――それにしても颯人、こっちを信用するの安直すぎない? チョーゴーキンの一言だけで結論出しちゃうなんて。もっといろいろ警戒しなくちゃならない立場なんでしょうに』
『チョーゴーキンっていう日本語の発音を口にする人、転生者だとしか考えられないからね』
『まあ、そうだね』
『それに、生前ってことになるんだろうけど元の世界で、同年代辺りでこの超合金っていう言葉を知っている人、まずいなかったんだ。若い世代には死語ってことになるんだろうね、すぐに反応するのは中年以上のほぼ男性だけって感じみたい』
『そうなんだ』
『だから僕の周辺でこの言葉を知っているのは、まず叔母ちゃんだけだったんだ。そして考えてみれば、僕があの交通事故で死んで転生したということなら、叔母ちゃんも同様ということはあり得るだろうし』
『なるほどねえ』
『それにしても僕も、叔母ちゃんが転生しているって知って、嬉しいよ。あの事故で助かったってわけじゃないだろうけど、とにかく生まれ変わって生きているってことだね』
『それなんだけどねえ。まあいろいろお互い確かめ合わなきゃいけないことがてんこ盛りだけど、真っ先に伝えなきゃいけないのはこれかな。あたし、転生したってことにはなるんだろうけど、生きているのかどうかってのは微妙でさ』
『どういうこと?』
『今のあたしの身体、あのときあんたが抱えていた超合金装甲車模型なんだ』
『――はああーー?』
颯人――と言うか、第三王子の声が、ひっくり返った。まあ、無理もないけどさ。
とにかくも、かいつまんで説明する。
今のあたしの外観は、あの模型そのものだ。ただし中身や材質も含めて、まったく同じというわけじゃないみたい。
自力で、走行できる。
潜望鏡とマジックハンドとレーザー砲を出し入れして使える。レーザーは撃てないけど。
装甲は、とにかく頑丈だ。何百メートルもの上空から落下して地面に衝突しても、傷一つ負わない。
潜望鏡でものを見、音声を聞きとれるけど、発声はできない。
その代わりにと言うか、今しているように睡眠中の人の夢の中に侵入してテレパシーのような会話ができる。
この世界にある魔素というものを充電のように取り入れて、動力にしているらしい。
ここの人間と同程度に、魔法が使える。
ひと月弱ほど前に突然上空遥かでこの世界に出現し、落下の際森の中でエトヴィンたちを襲っていた大王熊の頭を破壊して、彼らと知り合った。
その後の詳しい顛末は後に譲るけど、最低限知ってほしいのはこんなところだ。
一気に話すと、王子は呆然と声を失っていた。
そうしてから数往復分深呼吸、ようやく呻くみたいな声を漏らす。
『何とも凄いって言うか、理解を超えた話だね』
『だね』
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