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119 披瀝した 1
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『それでね、少し観点は違うけどこの世のあらゆること、森羅万象隅々まで神さんの観察干渉が行き届いているわけじゃないと思うんだ。能力的にどうなのかは知んないけど、あらゆる生物の活動すべてに目を向けているかどうかは疑わしい。ましてや非生物になると、どっかの人里離れた山の中でたまたま|何かの弾みで石が転がったなんてレベルのこと、いちいち感知してその原因や影響について考察するなんてしていないんじゃないか』
『まあ、そうかもしれないね』
少年の頷きを確かめて。あたしは――まあ比喩的表現だけど――ゆっくり、一息入れる。
長々とたいして重要とも思えない私的や考察を続けてきたけど、ようやくこの先が本題だ。
そう頭を切り替えていると、王子の方から続けてきた。
『それでも神さんがこの世界に関与することができる、特にやろうと思えば人の行動を操作することができると想像される以上、このシナリオ強制の流れに抗うのはかなり困難というか、ほぼ絶望的ってことになるよね』
『だねえ』
『何か策があるの? 叔母ちゃんに』
『一つだけ、確信は持てないけどそうじゃないかと仮定してよさそうな点がある』
『何だろう』
『我らがこの神さん、おそらくだけど、あたしという存在に気づいていないと思う』
『はあ?』
『何しろあたしは生物じゃないし、人との会話はこうして無音声でしかしていないからね』
『ああ』
『まあそれだけじゃ何の証明にもならないけどさ、かなりのところ信じるに足る情況証拠があるんだ。さっきいろいろ、ここ最近起きた魔物の襲来やら感染病やらの話をしたけどね』
『うん』
『あれ全部、解決したのはあたしなんだ』
『ええーーー?』
『こら、声を出さないように』
漏れかけた声を、王子は手で口を塞いで堪えている。
まあ、驚嘆に無理はないけど。
あたしは一件ずつ、経緯や対処を説明した。
『つまり――村人たちとの夢の会話と叔母ちゃんが身に着けた魔法なんかで、みんな解決できたと』
『そういうことになるね』
『呆れたっつーか、感心するつーか』
『その辺はともかく、これらの件みんな、神さんが小麦収穫に打撃を与えるために仕組んだと想像されるわけだ。一つ一つなら偶然と片づけられるかもしんないけど、この短期間にこれだけのことが続けざまに起きるなんてまずあり得ない。中でもジャイアントモールの出没なんて数十年に一度、地面龍に到ってはおそらくダンジョンの外に現れるのは史上初の出来事らしいし。それに、少なくとも隣国とか某侯爵とかの力で実現できるとも思えない』
『そうだね』
『その上これらの件、もう残り時間に余裕がないってことで、神さんとしても形振り構わずやってのけたことじゃないかと思われる。もし神さんがあたしの存在に気がついていたら、自分の思わくを邪魔する行為、絶対阻止していたはずだよ。あたしの行動は人目につかないようにしながらばかりだったから、かなり強引な手を下しても問題なかったと思うし。天からいきなり、あたしを破壊するくらいの雷を落とすとかさ』
『ああ』
『それにもう一つ、薬草の運搬の件さ。エトヴィンたちに対してはしつこいくらい阻止の手を差し向けてきたことになるよね。それも同行する他の者にさえ誰が何処に薬草を所持しているか分からないようにしていたものを、ピンポイントで狙ってきたっていうくらいに。それなのにあたしが運んだ薬草については王都に入るまで気がつかなかったみたいに放置、その後もただ相手がカルステンだから念のため狙ったっていうみたいにやや的外れの攻撃を仕掛けてきたことになるんだ。最後にはほとんど自己ルール破りすれすれじゃないかっていう、エトヴィンの助手を操作するってことまでして』
『そういうことになるね』
『まあもの凄く邪悪に考えると、今回はギリギリまで薬草を運び込ませておいて最後の最後にダメにさせるってことで、王子やエトヴィンを絶望のズンドコに落とそうとしたって可能性もあるけどね。あたしについてもずっと気がついていないふりをしておいて、土壇場で行動阻止してみんなの絶望の様を楽しもうとか。だけどちょっとこれ、余裕がなさ過ぎる綱渡りになると思う』
『うーん、そこまで深読みすると、何とも何ともだね』
『まあ、そうかもしれないね』
少年の頷きを確かめて。あたしは――まあ比喩的表現だけど――ゆっくり、一息入れる。
長々とたいして重要とも思えない私的や考察を続けてきたけど、ようやくこの先が本題だ。
そう頭を切り替えていると、王子の方から続けてきた。
『それでも神さんがこの世界に関与することができる、特にやろうと思えば人の行動を操作することができると想像される以上、このシナリオ強制の流れに抗うのはかなり困難というか、ほぼ絶望的ってことになるよね』
『だねえ』
『何か策があるの? 叔母ちゃんに』
『一つだけ、確信は持てないけどそうじゃないかと仮定してよさそうな点がある』
『何だろう』
『我らがこの神さん、おそらくだけど、あたしという存在に気づいていないと思う』
『はあ?』
『何しろあたしは生物じゃないし、人との会話はこうして無音声でしかしていないからね』
『ああ』
『まあそれだけじゃ何の証明にもならないけどさ、かなりのところ信じるに足る情況証拠があるんだ。さっきいろいろ、ここ最近起きた魔物の襲来やら感染病やらの話をしたけどね』
『うん』
『あれ全部、解決したのはあたしなんだ』
『ええーーー?』
『こら、声を出さないように』
漏れかけた声を、王子は手で口を塞いで堪えている。
まあ、驚嘆に無理はないけど。
あたしは一件ずつ、経緯や対処を説明した。
『つまり――村人たちとの夢の会話と叔母ちゃんが身に着けた魔法なんかで、みんな解決できたと』
『そういうことになるね』
『呆れたっつーか、感心するつーか』
『その辺はともかく、これらの件みんな、神さんが小麦収穫に打撃を与えるために仕組んだと想像されるわけだ。一つ一つなら偶然と片づけられるかもしんないけど、この短期間にこれだけのことが続けざまに起きるなんてまずあり得ない。中でもジャイアントモールの出没なんて数十年に一度、地面龍に到ってはおそらくダンジョンの外に現れるのは史上初の出来事らしいし。それに、少なくとも隣国とか某侯爵とかの力で実現できるとも思えない』
『そうだね』
『その上これらの件、もう残り時間に余裕がないってことで、神さんとしても形振り構わずやってのけたことじゃないかと思われる。もし神さんがあたしの存在に気がついていたら、自分の思わくを邪魔する行為、絶対阻止していたはずだよ。あたしの行動は人目につかないようにしながらばかりだったから、かなり強引な手を下しても問題なかったと思うし。天からいきなり、あたしを破壊するくらいの雷を落とすとかさ』
『ああ』
『それにもう一つ、薬草の運搬の件さ。エトヴィンたちに対してはしつこいくらい阻止の手を差し向けてきたことになるよね。それも同行する他の者にさえ誰が何処に薬草を所持しているか分からないようにしていたものを、ピンポイントで狙ってきたっていうくらいに。それなのにあたしが運んだ薬草については王都に入るまで気がつかなかったみたいに放置、その後もただ相手がカルステンだから念のため狙ったっていうみたいにやや的外れの攻撃を仕掛けてきたことになるんだ。最後にはほとんど自己ルール破りすれすれじゃないかっていう、エトヴィンの助手を操作するってことまでして』
『そういうことになるね』
『まあもの凄く邪悪に考えると、今回はギリギリまで薬草を運び込ませておいて最後の最後にダメにさせるってことで、王子やエトヴィンを絶望のズンドコに落とそうとしたって可能性もあるけどね。あたしについてもずっと気がついていないふりをしておいて、土壇場で行動阻止してみんなの絶望の様を楽しもうとか。だけどちょっとこれ、余裕がなさ過ぎる綱渡りになると思う』
『うーん、そこまで深読みすると、何とも何ともだね』
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