はなかすみ

敷咲 蜜

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怖い夢

3

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 何か、軋む様な音がする。

 目を覚ませば、知らない風景がそこにあった。
「…ん、どこ…?」
 見覚えの無い高い天井と、白い漆喰の壁が闇の中に浮かぶ。
 自分の部屋ではない。
 
 では自分はどこで寝ているのか。
 横になったまま見上げれば、ローテーブルに鈍く光る、金の十字架と、小さな聖母像が見えた。

 記憶と現実が一致して、瑞波は安堵の嘆息を吐いた。

 新しい生活が始まったんだった。
 ここは、寄宿舎の、寮の、部屋だ。

 何か音を聞いて、目を覚ました様な気がした。
 それは何だったかと、靄のかかった思考を巡らせる。

「………」

 くぐもった様な声の様な音か、何かが耳に触れた。
 次いで、軋むような音。

 音がした方を見ると、うっすらとベッドが見える。
 確か、深苑が寝ている筈だ。起きたのか。

 目を凝らせば、白い何かが、動いているように見えた。 

「……ゃ…」

 小さな深苑の声が聞こえた。何かを拒むような、泣くような声。
 怖い夢を、早速見ているのかもしれない。
 約束したとおり、起こすべきだろうか思案していると、軋むような音が再び連続して始まった。

 寝ている者が、こんなにもベッドを揺らすものだろうか。

 まるで、子供が悪戯をして揺らしているかのような、激しさがあった。
 もしかしたら、寝ぼけて深苑が藻掻いているのかもしれない。
 

「深苑…?どうし…」

 上半身を起こして、瑞波は深苑の名を呼んだ。
 軋みは止まるどころか、瑞波を構うこと無く、続いている。
 サイドテーブルのランプに手を伸ばし、スイッチを入れる。が、音ばかりで明かりは点かない。
「…え?あれ?」
 二度三度試すが、点かなかった。

 辺りはただ暗闇に支配され、時折小さく呻く深苑の声と、軋みだけが響いていた。
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