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小さな気付き、転じる未来
1-6 密談
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「対と言うなら私は、その子を助けに行きたい。
外の世界に出て行きたい。それは可能かな?」
反対されるのを覚悟でリリシが、二人に問う。
しかし、その瞳には強い意志が見て取れた。
「それは、難しいわね。巫女としてのリリシは、この教団に
必要不可欠な存在だし外の世界は危険過ぎるわよ」
ラピが、静かにそう言うとそれでも、と言う風にリリシは
反論する。
「私は10歳になるまでは、外で居たんだよ。外が危ないと言うのは
とてもよく知ってる。でも、この世界にもう一人同じ能力を持っているかも
しれない子を見捨てるの?どんな手を使っても、私は外に出る!」
決意は、固く一度こうと決めたら曲げないリリシだった。
短い付き合いだが、それを良く知っているアミルアと。
外に出ないようにどう説得しようかと頭を巡らせるラピと。
アミルアは、少し待っていてください。と控室に
何かを取りに行くのだ。
「色鉛筆を持ってきましたわ。その夢の中の少年の特徴を思い出せる限り
絵として描いてくれるかしら。
全く手がかりの無い状態よりも、探す対象の事が少しでも分かれば
見つかる可能性も高いと思いますわ」
「なるほど、それも一理あるわね」
アミルアの案に、ラピも賛同したようだ。
リリシは、テーブルに紙を置いてもらって夢の少年を描き始める。
真っ先に思い出すのは、紅い瞳と……髪の毛は何色だっけ。
炎に包まれていて鮮明では無いが、朧げに思い出すのは不思議な髪色だった。
やがて、紙には少年の絵姿が描かれそれをアミルアとラピが覗き込む。
髪の毛は、頭頂部は黒色で毛先にかけて赤毛のグラデーション風。
ショートの長さで、それが炎を纏っている。
服装は、白くシュッとした筒を上からかぶったような奇妙な服だ。
腰の部分を、布で留めていた。
「この服……私達の国では見ないですね」
「確かに、珍しいですわ」
「これは、ひょっとして」
紙をじいっと見ていたラピが、何かに思い至った風に
眼鏡の奥の瞳をキランッとさせていた。
「私の推測が、正しければこの服は隣国のツジヤ王国の
民族衣装ですわ。名称は『着物』。
ツジヤ王国では、一般的に普段着としても礼装としても
着用される物です。そしてこの少年の髪色。
黒い髪部分は、ツジヤ王国の民を連想させます。
彼らは、私達の国には無い特徴を幾つか持ち、黒髪もまた
その特徴の一つなのよ」
ツジヤ王国。まだ未知の領域。
そこで助けを求める少年──。微かにだが、手がかりを
掴めた事でリリシは、一歩前へと踏み出せた気がした。
ラピにお礼を言い、今度はアミルアにすがるようにして
頼み込む。
「何とか、教団から抜け出せないかな?」
「もしかして、ツジヤ王国まで行くつもりですの?」
外の世界に出て行きたい。それは可能かな?」
反対されるのを覚悟でリリシが、二人に問う。
しかし、その瞳には強い意志が見て取れた。
「それは、難しいわね。巫女としてのリリシは、この教団に
必要不可欠な存在だし外の世界は危険過ぎるわよ」
ラピが、静かにそう言うとそれでも、と言う風にリリシは
反論する。
「私は10歳になるまでは、外で居たんだよ。外が危ないと言うのは
とてもよく知ってる。でも、この世界にもう一人同じ能力を持っているかも
しれない子を見捨てるの?どんな手を使っても、私は外に出る!」
決意は、固く一度こうと決めたら曲げないリリシだった。
短い付き合いだが、それを良く知っているアミルアと。
外に出ないようにどう説得しようかと頭を巡らせるラピと。
アミルアは、少し待っていてください。と控室に
何かを取りに行くのだ。
「色鉛筆を持ってきましたわ。その夢の中の少年の特徴を思い出せる限り
絵として描いてくれるかしら。
全く手がかりの無い状態よりも、探す対象の事が少しでも分かれば
見つかる可能性も高いと思いますわ」
「なるほど、それも一理あるわね」
アミルアの案に、ラピも賛同したようだ。
リリシは、テーブルに紙を置いてもらって夢の少年を描き始める。
真っ先に思い出すのは、紅い瞳と……髪の毛は何色だっけ。
炎に包まれていて鮮明では無いが、朧げに思い出すのは不思議な髪色だった。
やがて、紙には少年の絵姿が描かれそれをアミルアとラピが覗き込む。
髪の毛は、頭頂部は黒色で毛先にかけて赤毛のグラデーション風。
ショートの長さで、それが炎を纏っている。
服装は、白くシュッとした筒を上からかぶったような奇妙な服だ。
腰の部分を、布で留めていた。
「この服……私達の国では見ないですね」
「確かに、珍しいですわ」
「これは、ひょっとして」
紙をじいっと見ていたラピが、何かに思い至った風に
眼鏡の奥の瞳をキランッとさせていた。
「私の推測が、正しければこの服は隣国のツジヤ王国の
民族衣装ですわ。名称は『着物』。
ツジヤ王国では、一般的に普段着としても礼装としても
着用される物です。そしてこの少年の髪色。
黒い髪部分は、ツジヤ王国の民を連想させます。
彼らは、私達の国には無い特徴を幾つか持ち、黒髪もまた
その特徴の一つなのよ」
ツジヤ王国。まだ未知の領域。
そこで助けを求める少年──。微かにだが、手がかりを
掴めた事でリリシは、一歩前へと踏み出せた気がした。
ラピにお礼を言い、今度はアミルアにすがるようにして
頼み込む。
「何とか、教団から抜け出せないかな?」
「もしかして、ツジヤ王国まで行くつもりですの?」
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